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481 ラグナロク ~はじまりのエリア~ ②

主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS


サタニア・・・魔王代理の少女。転生前は人間であり、その前は星の女神アスリアというゲームのキャラだった。

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


リュウジ・・・ユイナのアバターを異世界住人から避けるようにアップデートした。”オーバーザワールド”のプレイヤーとして、ゲームに入って来た。

エリアス・・・リーム大陸のダンジョンの精霊であり、ゼロのアバターを創った。人工知能に恨みを持っている。


イオリ・・・セイレーン号の操縦に長けている異世界住人。

フィオ・・・イオリが勝っていたペット。転移する際に擬人化してついてきてしまった。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。

「メタルドラゴンは石化する息を吐く。マーリンたち・・・いや、勇者オーディンの仲間が石化されて戻らなかった。気をつけろ。弱点は、赤い心臓だ」

 長い尻尾と鋭い爪を避けながら説明していた。


「咆哮するたびに、硬化される皮膚も特徴だ。奴らの皮膚は攻撃を通さないと思え!」

「おわっ・・・・」


「避けることに専念して。こんなところで殺されちゃ駄目」

「シエル・・・」

 シエルがナナココを連れて飛んだ。

 下がって、メタルドラゴンから距離を取る。


 

 ドドドドドドドッ


「!!!」

 メタルドラゴンが次々と地上に降りてくる。

 こいつらは門番といったところだな。 


 一体、一体の図体はでかく、攻撃力も高いが、メタルドラゴンには個体差がない。

 全く同じものをコピーして増やしたようにも見えた。


「う・・・・うわぁああああ」

「トム! 落ち着いて!」

「メイリアたん! 逃げよう!」

 トムディロスがメイリアを引っ張って、元来た道を引き返す。

 雪の地から出ようとしていた。


「こんなの危なくてやってられないよ! げ、出れない!?」

「当然でしょ。ここに入った瞬間から、『クォーツ・マギア』の世界に入ってるんだから」

 サタニアが魔女のウィッチソードを出した。

 アメジストのような瞳を、メタルドラゴンに向ける。


「後戻りはできない」


「えっ!? マジ? 引き返せないの? これ」

「そう、でも落ち着いて。幸い、ここに居るメンバーは最強なんだから、必要以上に怖がる必要ないわ」

 サタニアが長い髪を後ろにやってほほ笑む。


 ミーナエリスとオベロンが前に出た。


「遠距離戦、物理攻撃、スピード勝負ってことは、私たちが適任ね」

「んー、ま、仕方ない。ジオニアスはあんなんだし」

 オベロンがふわっと浮いて、槍を出した。


「なんだと!? うぅ、寒い・・・凍える」

「ジオニアス、今出たら足手まとい」


「ぐぐっ・・・・アベリナ、もっと温度を上げるバフはないのか?」

「属性に弱すぎ。これ以上、上げるバフなんかない」

「生意気な、ぶえっくしょん」

 アベリナがジオニアスの前に立ってため息をついていた。


「トム、メイリア、こっちに来てください。バフを付与してシールドを張ります」

 レナが変革サガスの杖を両手で持つ。


「はい!」

「メイリアたん、待ってー」

 メイリアが走ると、トムディロスが慌ててレナのほうへ駆け寄ってきた。


 レナが小さく詠唱する。


 ― リレイフ ―


 変革サガスの杖先が光って、半透明の膜が降りてきた。

 各々の身体を覆って、ふわっと消えていく。


「全員に攻撃力、移動速度のバフを付与しました。ヴィル、エヴァン、ゼロ、メタルドラゴンは任せますよ。レナはシールド展開に集中します」

「あぁ、ありがとう」


「なるべくこっちにメタルドラゴンが来ないようにしてくださいね。みんなを守ることに集中します。まぁ、数体くらいならレナが倒してもいいですけど」

「さんきゅ、レナ」

 レナが誇らしげな表情をする。


「おぉ、さすがだね。動きやすいし、一気に軽くなったな」

 ゼロが腕を回した。


「バフの効果は1時間。切れたら、またかけ直します」

「1時間以内に収めるって」

 体中が熱くなって、ステータスが底上げされるのを感じた。


「囲まれた・・・数だけは多いね・・・・。これで全部なのか?」

 ドレークが炎の剣を出して、周囲を見渡した。


「そうみたいね」

「っ・・・・こんな巨大なドラゴンが・・・」

 メイリアが剣を出して額に汗をにじませている。


 いつの間にかメタルドラゴンが俺たちを取り囲んでいた。


「行くぞ。レナ、間違っても石化されるなよ」

「当然です」

 レナが杖を回した。


 ザガンの弓矢を持って飛び上がる。


「ヴィル、右側から時計回りにいこう」

「わかった。ゼロ、ミーナエリス、オベロン、反対側を頼めるか?」

「了解」


「まずは一発!」

 

 ドン


 ミーナエリスがバズーカを肩に担いで、メタルドラゴンに撃っていた。

 硬化した体には通用しない。

 すぐに弾かれていた。


「クソッ・・・・」

「ミーナエリス、聞いてなかったのかよ。俺が動きを止める。その一瞬で心臓を狙え」

「わかってるってば! 試し撃ちしてみたかっただけだからね」

 ゼロが言うと、ミーナエリスが膨れていた。



 エヴァンがメタルドラゴンに剣の先を向ける。


「この距離ならいけそうだな」

「避けろ!」


「っと」

 エヴァンの腕を持ち上げた。

 急上昇して止まる。


 ゴオォォォォォォオオオオオ


 メタルドラゴンが中央に向かって一斉に石化の息を吐いた。

 レナがシールドを張り、サタニアの起こした風が煙を飽和させていた。


「ごめんごめん、ぼうっとしてた」

「大丈夫か? お前が集中力を欠くなんて珍しいな」


「リョクに会えないかなって考えて、集中力が切れてたよ」

「死んだら会えないぞ」

「あはは。だよね、こんなところで死ねない」

 エヴァンが切り返して、剣を持ち直す。


「俺が仕留める。エヴァンは奴らの動きを止めてくれ」

「任せて」

 エヴァンが息を吐いて、剣の刃先に魔力を集中させた。


 ― 黒雷帝 ―


 ジジジジジジジジジジ


 黒い雷がメタルドラゴンの頭上に直撃する。

 

 ― XXX ル・ワール XXXXX ―


 ザガンの弓矢を放った。


 キィンッ


 ドンッ


 メタルドラゴンの動きが一瞬止まる。


 グアアアァァアァァァァア


 天に向かって咆哮を上げた。

 隣にいたメタルドラゴンの目が連鎖するように赤く光っていた。


「おしい!」

「攻撃力が足りないか・・・」

 ザガンの弓矢は正確に的を狙う。

 でも、まだ力は出し切れてないようだ。


「ヴィル、代ろうか?」

「いい。このまま撃つ」

 メタルドラゴンの息をかわしながら、矢を射る位置に移動する。

 加速して弓を引いた。


「・・・・焦るなよ、ザガン。お前は元々冷静だが、他の魔族に譲歩し過ぎだ。元々眠っている力を解放しろ、俺がコントロールする」

 ザガンの弓矢から魔力が溢れ出す。

 

 ― XXX ル・ワール XXXXX ―

 

 パァンッ


 メタルドラゴンの心臓を射抜いた。

 

 ドドドドッドドドドド


 心臓の割れたメタルドラゴンが倒れていく。

 尻尾から光の粒になって消えていた。


「おぉ、すごいね。向こうも一体倒したみたいだよ」

 エヴァンが飛び上がったメタルドラゴンを避けながら言う。


 ミーナエリスがゼロに突っかかっているのが見えた。

 オベロンがあくびをしながら槍を持って飛んでいた。


「・・・なんか揉めてそうだけど」 

「まぁ、元々仲悪いからな・・・ミーナエリスが一歩的に怒ってるだけだろうけど・・・・」


 ゴオォ


「っ・・・・」

 メタルドラゴンの腕を避けた。

 こいつらは、図体がでかいくせに、素早い。

 

 エヴァンが体勢を整えて、剣の先に魔力を溜めていた。


「え、あの組み合わせで、大丈夫なの?」

「ゼロも適当だから奇跡的に息は合うんだよ。エヴァン、向こうは気にする必要ない。倒していくぞ」

「おっけー。なんとなく負けたくないしね」

 エヴァンが飛び上がろうとしたメタルドラゴンの背に乗った。


 ― 黒雷帝 ―


 ドンッ


 硬い背に剣を突き刺した。

 黒い雷がメタルドラゴンに巻き付く。


 メタルドラゴン以外の敵がいないか確認しながら、矢を放っていった。

 

 ドオォオオオオオン


 メタルドラゴンが雪の上に倒れる。


「!?」

 張っていたシールドは、メタルドラゴンの猛攻で破られていた。

 レナが襲い掛かって来たメタルドラゴンに、氷のブリーズソードを突き刺している。

 サタニアがシールドを張り直して、石化の息を止めていた。


 カマエルは悔しそうにしていたが、上位魔族は冷静だ。

 戦闘経験も多い分、勘も鋭く、自分の立ち回りをよくわかっている。


「うわぁぁ・・・・」

 トムディロスだけ、落ち着きがなく、明らかに置いていかれているな。 

 まぁ、そのうち慣れるだろう。


「ヴィル、次行くよ」

「あぁ」

 レナとサタニアがいれば、地上を気にする必要はなさそうだ。

 

 ザガンの弓矢の魔力を整える。

 空中を蹴るようにして、隣で咆哮を上げているメタルドラゴンへ飛んでいった。

読んでくださりありがとうございます。

★やブクマで応援いただけると大変うれしいです。


また是非見に来てください!

ラグナロクは最終戦になります!

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