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466 The Seven Deadly Sins③

アイリスの過去退行から外れたヴィルはマーリンを名乗るヴィヴィアンと行動し、”オーバーザワールド”の魔王、または『日蝕の王』を名乗り統率していた。


主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS


サタニア・・・魔王代理の少女。転生前は人間であり、その前は星の女神アスリアというゲームのキャラだった。

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


ユイナ・・・異世界住人の一人。魔女との契約により、アバターで転移してきた。肉体は現実世界にある。

リュウジ・・・ユイナのアバターを異世界住人から避けるようにアップデートした。”オーバーザワールド”のプレイヤーとして、ゲームに入って来た。


イオリ・・・セイレーン号の操縦に長けている異世界住人。

フィオ・・・イオリが勝っていたペット。転移する際に擬人化してついてきてしまった。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。

ガラディア王子・・・ポセイドン王国第一王子。陸軍のトップ。


ヴァリ族・・・”オーバーザワールド”の魔族。”オーバーザワールド”の魔王となった、別時間軸のヴィルが魔族と区別するために名付けた。

 アイリスが魔神レヴェイアサンの吐いた炎を避けながらこちらに来る。


「魔王ヴィル様、強いの。あの魔神、体力が削れない。私の計算ミス。デバフとバフを同時にかけてぶつかれば、私とエヴァンに勝算があると思ってたんだけど」


 

 バチバチッ


 ― 雷皇帝龍 ―


 エヴァンが空中で大きく剣を振る。



 バンッ


 エヴァンが剣をドラゴンのように光らせて、魔神レヴァイアサンに落とした。

 

 ギャァァァアア


 天を仰いで声を上げていた。

 魔神レヴァイアサンは自分の皮膚を硬化して、雷を地面に逃がそうとしていた。


「マジか」

 エヴァンが降りてくる。


「ヤバいよ。あいつ、すげぇ強い」

「デバフをかけて素早さを落としたけど、魔力が一定でダメージを負っていない。むしろ数パーセントずつだけど強まっている。私とエヴァンが戦ってここまで時間を取られるなんて、想定外」

 アイリスが髪を後ろにやる。


「とりあえず、私たちの魔力と体力を回復をするね」


 アイリスが魔神レヴァイアサンが足止めされている間に、光の柱を強化する。

 黄金の枝が伸びていき、巨大な木のようになっていた。


 ぶわっ

 

 俺とエヴァンの体力魔力が一気に回復して、軽くなった。


--------------------------------------------


「あたち7体の魔神と契約したから」

「は?」


「あたち7体の魔神と契約した」

「いや、2回言わなくていいって」

 アベリナが魔導士の三角帽子を脱いで、自信ありげに報告に来ていた。

 グランフィリア帝国には入ってくるなと言ったのに・・・。


「お前の主人はどうなってるんだ? この城にお前らがいること自体、プレイヤーや開発者からすれば想定外だ」

「プレイヤーいなかったことは確認した」

 アベリナが正面のソファーに座る。


「あたちたちは転移魔方陣がある。アスリア様が創り出した特別な魔法。アスリア様が来た場所は、あたちたちも自由に行き来できる」

「・・・・・」


「あ、デンデだけ覚え悪い。まだ覚えてない」


 転移魔法は、アスリアが七つの大罪をこの世界から逃がすために創った魔法だ。

 アベリナにはまだわからないだろうけどな。


 指を動かして、部屋の鍵を閉める。


「アスリア様はベリアルのところならたまに行ってもいいと話してた」

「ったく、お前の主人は危機感が無いな」


「アスリア様、ゼアルがいなくなってから寂しい」


 アベリナが窓の外を見つめながら言う。


「アスリア様元気そうに振舞ってるけど、いつも悲しそう。可哀そう。あたちたち、ゼアルと同じくらい強くなりたい。だから、あたち、魔神と契約した」

「そうか・・・」

 足を組みなおす。


「とても強い魔神、この世界で一番強い7体だ」

「代償は?」


「成長。あたちはずっとこのまま歳を取ることがない」

 小さな足を見ながら言う。


「・・・なるほど。不老不死か」

「ベリアル、アスリア様、魔神との契約、あまり喜ばなかった」

 魔神との契約には相応の代償が求められる。


 強ければ強いほど、な。


「召喚しないほうがいい? あたちわからなくなった。本当に魔神を召喚していいのか・・・」 

 アベリナが俯く。


「じゃあ、試しにここに魔神を召喚してみろ」

「ここに?」

 

 シャッ


 手を動かして全てのカーテンを閉める。

 今の時間なら開発者からの監視も無いだろう。


「さぁ、外からは見えない。この部屋は俺の錬金術を試す場でもあるから、お前の魔神くらいどうってことない。一番強い魔神を召喚してみろ」

「うーん、大丈夫かな?」


「安心しろ。ここで暴れたら俺が締め上げてやる」


 下がって剣を出した。

 アベリナが魔導士の三角帽子を被り直す。


「召喚する」


------------------------------------


 制御できない魔神レヴァイアサンの暴走を止めたのは俺だった。

 あの頃はまだ、アベリナは魔神レヴァイアサンに太刀打ちできなかった。


 服従させるどころか、殺されそうになっていた。


「来るぞ」

 魔神レヴァイアサンがエヴァンがかけた縛りを吹っ飛ばした。


「私が正面からデバフをかける。その後に・・・」

「いや、こいつを潰すにはコツがある。2人は下がっててくれ」


「あ、魔王ヴィル様」



「よぉ、魔神レヴァイアサン、随分元気そうだな」

 魔王のデスソードを両手で握る。



 ― XXスレイヴXXXXX

    XXXXX ベリアXXXXXX ―


 ズンッ


「!?」


『ナンダ・・・?』

 魔神レヴァイアサンが低い声で唸る。


『グァア』

 地面に膝をつけた。

 魔神レヴァイアサンの周りだけ、地面が大きく凹んでいる。


 重力を操り、身体を地面に押し付ける魔法だった。


『誰ダァ、我ヲ服従さセようとスル奴は・・・』


「俺だよ」

 

 ガンッ


 剣を地面に突き刺した。


『アアァ アナタ様ハ・・・否、ソンナはずは』


「『日蝕の王』ベリアルだ。わかないのか?」

『ハァ・・・ハイ、でも我が主ハ』


「なんだ?」


 ズズズンッ・・・・


『ウグッ』

 手を広げて、魔力を強めた。

 重力逆らえなくなって、魔神レヴァイアサンが両手で這いつくばりながら、顔を持ち上げようとする。


『ナンデモ・・・』

「早く失せろ」


『カシコマリマシタ』


 シュンッ


 魔神レヴァイアサンが消えていった。

 アイリスが光の柱を消して、こちらへ駆け寄ってくる。


「魔王ヴィル様すごーい」

「今のって、どうゆうこと?」


「奴は服従の魔法しか効かない。アイリスとエヴァンが苦戦して当然だ。昔・・・服従の魔法は別の世界にいた頃の魔法だからな」

 軽く飛んで、魔神レヴェイアサンのいた場所から離れる。

 魔王のデスソードを消した。


「ん? あの子はヴィルが服従の魔法を知ってるってわかってて使ってきたの?」

「忘れてるんだろ。アベリナは基本アホなんだよ」

 息をつく。


「ふうん、あの子強そうだったけどね。天才と馬鹿は紙一重か」


 エヴァンが、ぼうっとしているサリーのほうを見つめる。


「サリーとシエルを見る感じ、上位魔族も同じ世界出身って感じ?」

「まぁな」


「私、私は!?」

 アイリスが前のめりになって聞いてくる。


「私も魔王ヴィル様と同じところにいた?」

「ほんの少しの間だ。アイリスは消えたよ。覚えてないだろ?」

「うん、『名無し』のバックアップ記録にもないって」

「だろうな」

 あの頃のアイリスは寝てばかりいた。


 まだ、自分は創られたばかりなのだと話していたのを覚えている。

 記憶が無くて当然だ。


「ちなみに、その世界に、望月りくはいないよね?」

「見なかったな」

「よかったー、俺がいないところで繋がりがなくて」

 エヴァンが剣をしまいながら、肩を撫でおろしていた。



「ヴィル様、上空を! 天使や堕天使たちが・・・」

 ユイナが駆け寄ってきながら上を指した。


 全員が空を見上げる。


「うわっ、何あれ」

「なんだ? 何をする気だ?」

 純白の羽根を持つ天使や、漆黒の羽根を持つ堕天使が、サリエル王国上空に集まってきていた。

 

「空が・・・天使で埋め尽くされていく・・・?」

 アイリスが呟く。


「ミハイル?」

「君らがここにいるとは、驚きましたね」

 ミハイルがすっと飛んできた。

 大きな翼をたたんで、地面に足をつける。


「どうしてここに天使が集まってきてるんだ?」

「堕天使サエルが冥界へ落とされたのです。殺されたということですね」

「で、葬式するのに集まってるの? ってだけには見えないんだけど」

 エヴァンが顔をしかめながら言う。


「君は時帝でしょう? クロノスから聞いてないのですか?」

「聞いてないね。ここに来る途中、唐突に現れたけど、何も言ってない」

「そうですか」

 ミハイルがサリエル王国のほうを見つめる。


「終末の時計がカウントダウンを始めました。サリエルの死亡を告げられて、この場所に天使と堕天使が集められています」


「終末の時計・・・?」


 シャラン シャラン

 

 小さな天使が、サリエル王国上空で透明な鐘を鳴らす。

 風に乗って、どこまでも鳴り響いていた。


「天使が鐘が鳴らした・・・」

 アイリスが呟く。


「何が起こるんでしょう」

「こっちにデータはない。でも、いい感じだね」

「え?」

 ユイナがリュウジを見た。


「・・・・・・」

 ミハイルが神妙な面持ちで、口を閉ざしていた。

 リーム大陸が浮上したときに、天使や堕天使が集まってきていたが、同じかそれ以上に飛び回っている。


 ただならぬ空気が、辺りを覆っていった。 

読んでくださりありがとうございます。

スタバのフラペチーノで贅沢してしまいました。

美味しかったなぁ。


また是非見に来てください。次回は今週中にアップ予定です!

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