表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

558/594

465 The Seven Deadly Sins②

アイリスの過去退行から外れたヴィルはマーリンを名乗るヴィヴィアンと行動し、”オーバーザワールド”の魔王、または『日蝕の王』を名乗り統率していた。


主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS


サタニア・・・魔王代理の少女。転生前は人間であり、その前は星の女神アスリアというゲームのキャラだった。

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


ユイナ・・・異世界住人の一人。魔女との契約により、アバターで転移してきた。肉体は現実世界にある。

リュウジ・・・ユイナのアバターを異世界住人から避けるようにアップデートした。”オーバーザワールド”のプレイヤーとして、ゲームに入って来た。


イオリ・・・セイレーン号の操縦に長けている異世界住人。

フィオ・・・イオリが勝っていたペット。転移する際に擬人化してついてきてしまった。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。

ガラディア王子・・・ポセイドン王国第一王子。陸軍のトップ。


ヴァリ族・・・”オーバーザワールド”の魔族。”オーバーザワールド”の魔王となった、別時間軸のヴィルが魔族と区別するために名付けた。

--------------------------


『日蝕の王ベリアル様が動けないときに攻撃してくるなんて卑怯です』

『そうです。卑怯です』

 ププウルが文句を言っていた。


『そうゆう世界なんだから仕方ない』

 息をついて、窓の外を眺めていた。


 太陽の出ている時間しか『日蝕の王』は行動できない。

 太陽が沈むとグランフィリア帝国から出ることができないようになっていた。


 魂を分けたゼアルは別だけどな。


『ゴリアテとババドフはグランフィリア帝国を守る盾として、敷地の外に配置した。俺の意思通り動いている。問題ない』

 指を動かしながら、足を組む。

 王の椅子は座り心地がよかった。


『プレイヤーを使えばいいのではないでしょうか?』

『そうです。プレイヤーは夜でも活動できます』


『ベリアル様自ら動かなくても・・・』 

 カマエルとザガンが口々に言う。


『ベリアル様はプレイヤーが嫌いですものね』

『あぁ、そうだ』

 シエルが隣でほほ笑む。


『だからお前たちと契約したんだ。俺に力を与えてくれて感謝している』


『そ、そんなベリアル様に使っていただけるだけで嬉しいです』

 サリーが頭を下げる。


『その通りです。ザガンも、サリーと同意見です。大変光栄です』


『夜、俺は動けなくてもお前たちがいる。問題ない』

『はい!』

『お任せください!』

 ププウルが満面の笑みで頷いた。

 

 数日に一度、たくさんの星が降り注ぐ世界だった。

 プレイヤーは我先に目立とうと、各国でいくつものギルドを結成していた。


 この世界にログインして、プレイヤー同士で組んで、レベルを上げて、ログアウトしていく。

 なぜかそんな奴らを、他国では救世主だとか英雄だとか名前を付けて、歓迎しているらしい。


 自国の兵士を育てたほうがいいものを・・・。


 プレイヤーの最終的な目的は、多くの国を滅ぼしている星の女神アスリアの討伐だ。

 各国の牢屋から出された七つの大罪だけがアスリアの味方だった。


 開発者が創ったストーリーには抗えなかった。


『今日は星が降り注ぐとアスリアが言っていた。ババドフとゴリアテで守り切れなかったらお前らも使わせてもらう』


『はい、ぜひ!』

 シエルが目をキラキラさせながら頷いていた。


--------------------------------------------


 ― ディ・バース ―


 サリーの剣を横に振る。


 ぶわっ


「っと・・・」


 キィン キィン キィン


 サリーの剣から放たれる風の刃がオベロンを襲った。

 オベロンの杖にあたる直前、加速して火の玉のように燃えていく。


 サリーの剣だからできる技だ。


 ボウッ


「まだ来るか・・・」

 オベロンが杖で弾きながら後ろに下がっていく。


 ― 閃光 ―

 

 エヴァンがオベロンの後ろに回り込む。


「そうはさせない!」

 アベリナが一瞬で光沢のある盾を出して、エヴァンの攻撃を防いだ。


 じゅううぅうううう


「なかなか強いね。さすがベリアルだ」

「余裕ぶるなよ。ガキが」

 体勢を低くして剣を回す。


 ザッ


「!?」

 サリーの剣は大きいのに、羽根のように軽かった。


 オベロンの身体に剣を突き刺す。

 全く手ごたえがない。

 

 サアァァァ


「あ、オベロン」

 光りの粒となって消えて、すぐにアベリナの近くに移動した。


「今のは危なかったかも。どう思う?」

「ベリアルに武器与えて、死んだら、アホ」


「まぁまぁ、久しぶりの戦闘で体がなまってただけだよ」

 オベロンが武器を槍に変えていた。


 オベロンの残影転移魔法を使われたようだ。

 アスリアの得意だった魔法だな。


「次は失敗しない」


 タンッ


 アイリスが隣に来る。


「リュウジがノアの船をしまった。私も戦うから」

「3対2か。ちょうどいいね」


「では、あたちから」

 アベリナが魔導士の三角帽子を被った。

 地面に巨大な魔法陣を展開して、ぴたりと止まる。


 ジジジジ ジジジジ


「!?」

 オベロンとアベリナが片耳を押さえる。


「え? どうゆうこと?」

「ベリアルは目の前にいるけど?」

「は? いや、こっちだってベリアルだよ。あの武器を持ってるんだから」

 アベリナが召喚陣を展開したまま、オベロンとこちらを見ていた。


 アベリナの召喚陣から現れるのは魔神だ。

 ユイナが契約した冥界の番犬バルムよりはるかに強い・・・。


「魔王ヴィル様」

「待て」

 手を上げてエヴァンとアイリスを制止していた。

 

「は? ちょっとまっ・・・」

「あーあ、切れちゃった」


「全然人の話を聞かないんだよなぁ、ジオニアスは。とりあえず行くしかない。アベリナ、足止めよろしく」

 オベロンがため息をついて槍を持ったまま地面を蹴った。

 こちらに背を向けて、サリエル王国のほうへふわふわと飛んでいく。


「もう、オベロンは相変わらず、人任せだ」



 ― XXXX ル XXX 魔神レヴェイアサン ―



 ドドドドドッドドド



 地面から赤い皮膚と巨大な尻尾を持つ、魔神レヴェイアサンが現れた。

 建物の3階くらいの大きさだろうか。


 アベリナがすぐに飛んで、魔神レヴェイアサンの肩に乗った。

 杖をこちらに向ける。


「あそこにいるベリアルもどき、足止めしろ。命令だ。よろしく」


 グアアァァァァァ


「いい子だ」

 咆哮を上げると、アベリナが魔神レヴェイアサンの頭を撫でて、オベロンの後ろをついていった。


「あの皮膚には毒がある。気をつけろ」

「ヴィル、戦ったことあるの?」

「戦ったことはないが、戦った奴を見たことがある」


「・・・なるほど」

 エヴァンがすんなりと納得していた。


「ねぇ、あいつらが「ベリアルが・・・」とか言ってたの、たぶん『日蝕の王』のことだよね?」

「だろうな。先を越されたか」


 リュウジとユイナが剣を構えているのが見えた。


 装備品は防御力で固めたか。解毒も付与してるようだ。

 あの2人なら自分の身くらい自分で守れるだろう。




 ザッ


 アイリスが走り出す。


「アイリス!」

「私が惹きつけるから、2人は後方から狙って。この魔神は光属性に反応を示す、闇が見えないと判断した。勝率99%、確実に勝つ」

 アイリスがホーリーソードをかざして、魔神レヴェイアサンの前で止まる。


 ― 聖なる息吹 ―


 剣を柱として光り輝く。

 黄金の木のように枝が伸びていった。


 グアアアァァァァア 


 魔神レヴェイアサンが光の柱を鷲掴みした。

 アイリスが魔力を強める。


「あれ? 聖属性じゃない?」

「闇属性のバフ効果みたいだな。敵にはデバフを与えてるのか」

「さすがアイリス様は器用だね」


 ズンッ・・・


「!!」

 急にサリーの剣はずっしりと重くなった。


「サリー、どうした?」

「ヴィル、その剣戻したほうがいいんじゃない? 解く方法わかれば、だけど」

「あぁ、覚えてる」

「了解。じゃ、俺あいつ倒してくるよ」

 エヴァンが詠唱しながら、アイリスのほうへ駆けていく。


 サリーの剣からは、焦りと不安が伝わってきた。

 当然か。急に武器にされたんだもんな。

 

 ― XXXX ディアリロ XXXX

   ロマXXXX ルロス ―


 しゅうぅううう


「あ・・・・・」

 サリーが元に戻って、その場に座り込んでいた。

 

「ま、魔王ヴィル様・・・・」


 バチンッ


 バチンッ


 空中に火花が散る。

 アイリスとエヴァンが交互に攻撃しながら、魔神レヴェイアサンの体力を削っていた。


 魔神レヴァイアサンが2人を捕まえようと空中を引っ掻いている。

 光の柱の結界内では、魔神レヴァイアサンの動きも遅くなっていた。


 魔神レヴァイアサンか。

 プレイヤーで倒せたパーティーは一組だけだと聞いていた。


「大丈夫か? 急に巻き込んで悪かったな。ゆっくり・・・」

「ベリアル様、思い出しました! あの頃を・・・思い出したんです」

 真っ赤な髪を押さえながら言葉を遮る。


 ― 魔王のデスソード


「シエルを見たときから、何か頭をよぎるものがあって・・・忘れようとしたのですが、こうゆうことだったのですね。私も、ジャヒーも、ププウルも、上位魔族みんな・・・・魔王ヴィル様はいつから・・・」

「今はいい。あとで話そう」

 サリーが目を潤ませて、視線を逸らした。


「休んでてくれ」

「・・・かしこまりました」

 魔王の剣を持ち直して、魔神レヴェイアサンのほうへ飛んでいく。

読んでくださりありがとうございます。

一人でもここまで読んでくださる読者がいることが、とても励みになります。

最終章頑張っていきます。


また是非見に来てください! テンポよく上げていきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ