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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
第六章

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410 二度目の血

勇者ゼロは別ゲームに転移し、魔王ヴィルが復活した。

魔王ヴィルが地上に戻ると、異世界の”オーバーザワールド”というゲームと接続が完了し、プレイヤーやキャラたちが中心の世界になっていた。


主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS

幼少型のアイリス・・・悪魔となったアイリスの分霊

ロドス・・・悪魔


レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。

ナナココ・・・有名配信者。レムリナにより、ウイルス感染している。


レムリナ姫・・・”オーバーザワールド”の天界の姫。兄を愛するがゆえに、闇落ちする。

ジェラス王・・・”オーバーザワールド”のレムリナの兄。光の国ミナス王国の王。

 ジェラス王が飛ばしたのは、アポロン王国から離れた場所にある、静かな泉の近くだった。

 ”オーバーザワールド”よりも俺たちの世界の魔力が濃い場所らしい。


 ジェラス王が剣をかざして、結界を張っていった。


「アイリスの状態はどうだ?」

「接続不良を起こしてる。ウイルスによるアクセス禁止・・・」

 アイリスが岩に座って目を閉じたまま動かなかった。

 幼少型のアイリスがアイリスの指を動かす。


 反応がなかった。人形のようだ。

 こうゆうのを見ると、アイリスは改めて俺たちと違うって思い知らされるな。


 ジェラス王が剣をしまう。


「まさか、レムリナがこんなことをするなんて・・・」

「アイリスが守っていた結界を、突然ぶち破ったんだよね。一瞬でアイリスにウイルス感染させていた」

 ナナココが自分の腕を見つめながら言う。


「見た目は感染してないように見えるんだけど、完全にやられたよ」

「たぶん、あいつ、用意してたんだ。ずっと、天空城にいたときから」

「だろうね・・・」


「俺、兄失格だな」

 ジェラス王が頭を抱える。


「・・・・あ、そういえば・・・ブレイブアカデミアの人たち見てないな。何やってるんだろ。ウイルス感染を気にして、モニターも出せないなんて・・・」

「プレイヤーはウイルス蔓延のため強制ログアウトさせられた。しばらくはこっちに来れないよ。既存キャラのことは現段階不明だ」

 テラが淡々と言う。


「ある意味、ナナココは特別ってことね。でも、配信できないなら意味ない」

 ナナココが指をスライドさせながら肩を降ろした。


「ナナココはどうやって捕まったんだ?」

「戦闘中、こっそりアポロン神殿に行ったら捕まったよ」

 ナナココがため息をついて、草の上に腰を下ろした。


「・・・ナナココ。俺が少し調べてみるよ」

 テラがモニターを出して、ナナココに近づく。


「そっか。テラは感染してないから、ナナココのアバターの状態確認できるんだよね。今までの経験値はリセットされてない?」

「それは残ってるみたいだ。あぁ・・・このウイルス、えぐいな・・・AIが作り出すウイルスは人間の嫌なポイントを突いてくる。もし、プレイヤーが再ログインしてきても、ナナココの半径1メートルに寄るだけで強制ログアウトだ」

「う・・・」

「キャラに影響しないのが、せめてもの救いだね」

 テラが顔をしかめる。


「テラはどうしてナナココのウイルス効かないの?」

 エヴァンが窓の外を見ながら聞いていた。


「効かないな。俺は長年、ゲーム作ってた頃から、対人工知能のウイルスを研究してきた。自分のアバターへのセキュリティを強化させて入ってきてるから、問題ない」


「・・・マジで何歳なの?」

「年齢はいいだろ」

 テラがあからさまに嫌そうな顔をする。


 座っているアイリスの肩を揺さぶる。

「アイリス、俺がわかるか? 声は聞こえるのか?」

「ううん。今は停止してるの。私とアイリスもセキュリティ面は強い。どうして・・・仕方ない『名無し』に切り替える」

 幼少型のアイリスが短剣を出した。

 思わず、幼少型のアイリスの腕を掴む。


「『名無し』以外の方法はないのか?」

「そうだよ。『名無し』が出てきたとき、時空退行して大変だったんだ。ヴィルはなぜかギルドに飛ばされてるしさ」

「時空退行!? そんなのがあるんですか?」

「レナ、無理やり入ってこようとするなって」

 にじり寄ってきたレナが少し膨れた。 


「『名無し』が危険なことはわかってる。でも、ここまで緻密に計算されたウイルスを埋め込まれるなんて、早く『名無し』に変えないと・・・私まで・・・」

 幼少型のアイリスがふらついて倒れそうになった。

 肩を支える。


「聖女アイリスが本体だから・・・ウイルスが私にも侵食して・・・上書きをされるはず・・・・。ここでバックアップを『名無し』に・・・」

「アイリス」

 幼少型のアイリスが短剣を落とした。 


 カランッ


 すっ


『UPDATE・・・・REROAD・・・UPDATE・・・』

 アイリスが急にむくっと起き上がった。


「アイリス、私はアイリス」


「アイリス・・・なのか? 『名無し』か?」

「・・・『名無し』じゃない・・・聖女アイリス、でも・・・・」

 幼少型のアイリスが息を切らしながら言う。


「・・・・・・」

 エヴァンが後ろで剣に手をかけていた。


「魔王ヴィル様!!」

 アイリスが俺と目が合うと、笑いかけてきた。


 ― ホーリーソード ―


「!?」

 俺が剣を出すより先に、エヴァンがアイリスの剣を止めた。


「アイリス様、ヴィルに何をする気だ?」

「魔王ヴィル様は私の大好きなひと。人工知能IRISの大好きな人。大好きな人は殺すの。死、死、死、は重要なことでしょ?」


「え?」

 

 キィン キィン キィン キィンッ


「エヴァン!!」

「全然意味がわらかないんだけど」

 エヴァンが押されながらアイリスの剣を弾いていた。


「さすが、アイリス様だ。で、実力はわかってるよ。本気で戦われたら、俺じゃ敵わない。自己修復できないか?」

「XXXX、どいて。私、魔王ヴィル様を殺したいの」


「・・・俺はその名前が嫌いだ。今はエヴァンだ!」

 エヴァンが顔色を変えて、アイリスの剣を止めていた。


「覚えてる、覚えてるよ。XXXXは私を助けてくれたから。助けてくれたから」

「・・・いらない。そんな過去忘れてくれ」

「忘れないよ。私の原点、死なの。死」

 アイリスが狂ったように剣を振り回していた。エヴァンに攻撃の隙を与えない。

 いつものアイリスとは違う戦い方だ。


 兵器のような・・・。


 シュンッ


「レナはエヴァンはエヴァンの名前しか知らないのです!」

 レナが氷の剣を振り下ろした。

 アイリスが後ろに下がる。


「レナの知らない名前で呼ばないでください」

「レナ・・・・」

「エヴァン、死んだらレナはエヴァンを許しませんから」

 レナが強い口調で言う。


「レナ? レナは知らない。知らない」

「死ぬつもりないって。とにかくアイリス様を取り押さえよう」


「なんかよくわかりませんが、わかりました!」

 レナがエヴァンに防御、火力のバフを同時にかけた。

 アイリスのホーリーソードは、エヴァンの剣とぶつかるたびに火の粉を散らした。




「あれがエラーを起こした人工知能IRISだよ。怖いかい?」

 

 はっとして後ろを向くと、悪魔らしき少年が幼少型のアイリスを抱えていた。

 つばのついた帽子で顔はよく見えなかった。


「僕はこの光景、見慣れてるけどね。あぁなると、一度殺すしかない。聖女アイリスは不死身だろ?」

「悪魔か?」

「そうだ。僕は月の女神に仕える悪魔の一人、ロドス」

「ロドス、どうして・・・」


「月の女神の命令だ。ただでさえ人手不足なのに、お前に死なれたら困る」

「っ・・・・」

「ウイルスの話は聞いたことあったけど、ここまでとはね。自我とかないんじゃない?」


「あんたに何が・・・」

 幼少型のアイリスが苦しそうにしながら、ロドスを睨んだ。


「魔王ヴィルが聖女アイリスを殺せないなら、僕が殺すよ。ここにいる連中で、アイリスに勝てそうなのは、君と僕くらいだ」

「必要ない」


 ― ハデスの剣 ―

 

 ハデスの剣を出して、前に出る。


「魔王・・・様・・・」

「悪魔アイリス、俺が、向こうのアイリスを冥界に連れていく。その間に『名無し』から修復しろ。時間退行だけはさせるなよ」

「待っ・・・それは、アイリスの過去を・・・見るってことでしょ?」


「今更かよ」

 幼少型のアイリスのほうを見て軽く笑う。


「気にするな。俺はアイリスが何者だろうと気持ちは変わらない。アイリスはアイリスだ。俺はアイリスに救われたんだ」


 ロドスが幼少型のアイリスを抱えたまま、木の後ろに移動した。

 幼少型のアイリスが手を伸ばしてきたが、無視して、アイリスとエヴァンの戦闘の中に入っていく。


「ヴィル!!」

 軽く飛んで2人の間に入った。

 竜巻の目のような魔力に、体が引きちぎられそうになった。

 エヴァンはレナのバフが無ければ即死していただろう。


「魔王ヴィル様。殺すね。殺す殺す。愛する人は殺さなきゃいけないの。エラーエラー、アップデートしなきゃ。みんな死んじゃう。死? 死?」


 ザッ 


「殺・・・・・」

 ハデスの剣でアイリスの胸を貫いた。


「・・・・・・・・」


「悪い。アイリス、お前を殺すのは二度目だな」

 剣から流れる血が温かかった。


「魔王ヴィル・・・様」

 アイリスを抱き寄せた。

 ホーリーソードが消えていく。


- 冥界への誘い ―


「ヴィル・・・・」


 ゴオォオオオオオ

 

「アイリスを冥界に連れてく。今のアイリスの魔力は毒だ。レナに治癒してもらえ」

「またこっちのことは俺任せかよ。俺死んでるかもよ?」

「死なないほうがいい。無事帰ってきたらいいこと教えてやるよ」


「いいこと? 俺にとって?」

 エヴァンが片目を開ける。

 すぐにレナが降りてきて、首の傷の回復をしていた。


「あぁ。たぶんな」

 ドーム型の魔法陣を展開した。

 アイリスを抱えて、ハデスの剣を突き立てる。

 

 音は途切れて、無の中に入っていった。

 時折電流が走るような、ピリっとした感覚があった。

エヴァンは転生者で、人工知能IRISを救ってから病気で死にました。

推しだった望月りくと会えるといいですね。


いつも読んでいただきありがとうございます。

★やブクマで応援いただけると大変うれしいです。

また是非見にきてください。次回は来週アップします。

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