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64 Character Specifications(キャラ設定)

アイリスは異世界のゲーム”オーバーザワールド”の闇の王を倒して、仮死状態になってしまった魔王ヴィルを復活させるため、勇者ゼロと行動を共にする。

時空の魔女ライネスにより、”オーバーザワールド”のイベントスキップが発生し、ゼロは未来のルートに飛ばされた。

未来のルートでは、ゼロは闇の力をコントロールするため、ゼロとメイリアはアポロン王国のブレイブアカデミアに入学することになった。


主要人物

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS

ミサリア・・・ゼロに降りかかる『ウルリア』の呪いを擬人化した存在と名乗る。未来において、死んだことになっている。

メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

レイシア・・・22人いるブレイブアカデミアで常にトップの成績を収めている女剣士。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トリコ学長・・・ブレイブアカデミアの学長。ドラゴン族だがドワーフの姿をしている。


”オーバーザワールド”・・・異世界のVRゲーム。ゼロたちのいる世界と、接続が完了した。

 学長室にはゆったりとしたソファーが置いてあり、中央に大きな机があった。

 机には、常時モニターが設置されていて、アポロン王国の様子が映っている。


『ここで配信は一次中断。何度もごめんね。ナナココの配信いつも見てくれてありがとう。ナナココもしっかり勇者になれるように頑張るから! そう、ブレイブアカデミアだよ。プレイヤー初だね! 照れるなぁ』

 ナナココが部屋に入る前にモニターに手を振っていた。


「みんな、ハーブティーでいい?」

「あぁ、ありがとう」

「・・・・・」

 レイシアがポッドにハーブを入れて、カップに注いでいく。

 

「闇との懸け橋となっていた、天界のレムリナ姫は力を失い、ジェラス王が闇の王の依り代となってから、すぐにテミスの街は闇に呑まれた」

「闇に呑まれたって具体的にどうなるんですか?」


「魔族になるんだ」


「!?」

 トリコ学長がソファーに深々と座って、息をつく。

 ナナココが驚いてつまずいていた。


「え・・・魔族になるって・・・」

「・・・種族を書き換えられるってことなのか?」


「そうだ。僕たち”オーバーザワールド”の者は光側にいれば、こうやって種族を保っていられる。でも、闇側になれば、魔族とならざるを得ない」

「マジで?」

 ゼロがレイシアのほうを見る。


「・・・・・・・・」

 レイシアがハーブティーを置いて、視線を逸らした。


「僕たちも正直なところ、テミスの街を見るまでは実感がなかったんだ。僕は今でも実感がないかな・・・」

「テミスの街には私のギルドの者もいました。優しい穏やかな魔導士の女の子、ちょっと自意識過剰な賢者、2人とも魔族になっていました」


「・・・そうだね。僕たちの身体はそうゆう仕様らしい。闇と戦闘し、負ければ魔族となる。魔族となれば、他の種族だったことも忘れ、闇の王に仕えることになるようだ」

 トリコ学長が帽子を直しながら言う。


「俺たちの世界の魔族との関係とは、随分違うみたいだな」

「そうですね」

 ゼロがハーブティーに口をつける。


「私も種族が変わるなんて初めて知ったよ。他の配信者も言ってなかったし、プレイヤーはわからないんじゃないかな」

 ナナココが座ったまま両手を握り締めた。


「闇の王の復活が具体的に何を意味するのか・・・・テミスの街の件で、漠然としたものが形となった。一刻も早く、闇の王を倒さなければいけない」

 トリコ学長がドラゴンのように、目つきを鋭くする。


「ブレイブアカデミアは、名の通り勇者の学校だ。光を強め、闇の対抗勢力となる者たちを育てる。先生は各国から優秀な人材を集めてきているよ」

「闇の王を倒すんですよね?」


「そうだ。ブレイブアカデミアから闇の王を倒せる者を出したい。闇を弾く者たちを・・・・二度と、テミスの街のようなことがあってはならない」


「なるほど」

 ゼロがテーブルにカップを置いた。


「プレイヤーの出てるトーナメントからも連れてくればいいのに・・・」

 メイリアが小さく呟く。


「トーナメントは確かに強さはわかるけど、闇に強い者かはわからない。僕たちが求めるのはトートルを倒せるような、闇に強い者たちなんだよ」

 トリコ学長がペンを出してくるっと回した。


 棚から3枚の紙がゼロたちの前に堕ちてくる。


「さ、入学手続きだ。紙に名前を書いてくれ。ブレイブアカデミアの生徒として力がつくまで、僕たちが精いっぱいバックアップするよ」

「了解」

 ゼロがさらっと内容を読んで、名前を書いた。


「勇者様・・・」

「俺は疲れたから、寮? とかあるなら、そこに行くよ。あるの?」


「もちろんだ。レイシア、案内してあげなさい」

「承知しました」

 レイシアがハーブティーを置いて立ち上がった。


「メイリアは? 休まないの?」

「私はもう少し、トリコ学長に確認したいことがあります。いいですか?」

「あぁ、なんでも聞いてくれ」


「ナナココも聞きたいので残ります。プレイヤーは情報が命なので」

 ナナココが目を輝かせていた。


「じゃ、先休んでるよ」

「はい」

 ゼロがレイシアに続いて部屋を出ていった。




 アカデミアの廊下は静かだった。

 夜中まで授業が無く、生徒たちは二次試験を見学した後、自由に過ごしているらしい。


「寮はここから遠いの?」

「10分程度歩いたところ。腕輪は常につけておくようにしてね。有事の際に、AIが招集かけるから」

「これ?」

「そう。アポロン王国に危機が迫れば、赤く点滅してAIが集まるべき位置を伝えるから。そうならないことを祈ってるけどね」


 レイシアが窓からアポロン王国を眺めながら歩いていく。

 夕日が沈みかけていた。


「ねぇ、魔族になった友人とは会ったことあるのか?」

「一目見ただけ・・・。ギルドの決まりを破って、テミスの街に行ってきた。この目で見なきゃ、信じられなかったから。本当は魔族に捕らわれてるだけなんじゃないかって思っててね」


「で、どうだったの?」

「完全に魔族の街になってた。他の種族の者は、誰もいなかったよ」

 レイシアが力なく笑う。


「私の幼馴染2人は『ヒューマ』という魔族になっていた。黒いローブを来た、骸骨のような見た目をしている魔族」

「その姿でどうやって、幼馴染だってわかったんだ?」


「私が見かけた2体の『ヒューマ』は・・・・幼いころ、3人でクエストをこなした時に報酬で買った、ユニコーンの首飾りをしていたんだ。2人も肌身離さず持っていた。私も・・・」

 レイシアがポケットからユニコーンの形が彫られた首飾りを出す。

 鎖が少し錆びついていた。


「間違いなく私たちの・・・証だった。魔族の姿をしていても、もしかしたら声を掛けたら正気に戻るんじゃないかって近づいたけど、彼らは真っ先に私を殺そうとした」

「逃げてきたのか」


「・・・逃げるしかなかったよ。戦いたくなかった。あんなに仲良かった2人を倒すなんてできないし」

「ふうん」


 レイシアが長い髪を結び直す。


「こんなのがブレイブアカデミアの成績トップ?って思ったでしょ。頭ではわかってたよ。彼らがアポロン王国を襲うかもしれないし、本当は目をつけられた時点で倒さなきゃいけなかった」

「そうだな。俺だったら真っ先に倒したよ。魔族は匂いに敏感だと聞くしね」


「・・・・・・・」

「冷静に判断して、危険な行為だ」

 ゼロが手摺を触りながら言う。


 小鳥たちがじゃれあいながら空高く飛んでいった。


「はは・・・”オーバーザワールド”の外の人間にはわからないよ」

「ん?」


「闇に呑まれたら自分もこうなっちゃうんじゃないかって恐怖も、仲良かった友人を手にかける苦しみも・・・だって、殺せるわけないよ。ずっと一緒にいて、たまたまクエストでテミスの街に行ってただけの、友達なんだから」

 レイシアが語気を強めた。


「レイシアにだって俺のことはわからないだろ?」

「え・・・・・・」

「俺は魔女の呪いで死から蘇った。別人格としての記憶もうっすらあるし、ぶっちゃけ蘇りたくもなかったんだけどね」

 ゼロが正面を向いたまま話していた。


「魔女の犠牲となった子供たちは、135人だ。俺は全員ちゃんと殺したよ」

「!?」

 レイシアが表情を曇らせた。


「ほ・・・本当の話なの?」

「嘘言ってどうするんだよ」


「君は選ばれた勇者なんでしょ? この世界の勇者がどうしてそんな残酷なことを・・・」

「みんなが望んだからだ。苦しんでるなら、楽にさせてやりたいと思うだろ?」

 ゼロが魔法石の入った小瓶をポケットから出す。


「でも・・・そんな人数の子供を殺すなんて・・・普通は躊躇す・・・」

「レイシアも二次試験突破したってことはトートルを倒したんだよね?」

 ゼロがレイシアの言葉を遮った。


「え?」

「それとも都度試験内容変わるの?」


「いや、私は二次試験で7体倒して首席合格だったよ。君に抜かされるまではね」

「へぇ・・・7体で首席か」

「私はブレイブアカデミアで、今よりももっと強くなる。剣技を磨き、これ以上犠牲者を出さないために」

 レイシアが立ち止まって、こぶしを握り締める。

 ゼロが瞼を重くした。


「トートルはさ、欠陥品バグって言われてたけど、意志があったんだよね。魂があったんだ。戦いたくないし、死にたくなかったんだってさ」

「え・・・・?」


「ここの連中には、声が聞こえないだけだよ。だから、トートルを躊躇なく倒したレイシアも、俺から見たら残酷だ」

「・・・・・・・・」


「でも、駒を進めるには仕方なかったことだし、別に責めないよ」

 ゼロが小瓶を光に透かしてから、ポケットにしまう。


「あ、他の者には言わないでね。広まるといろいろ面倒だからさ。そうそう、寮ってご飯とか出てくるの? つか、ブレイブアカデミアって22人しかいないのに随分広いね」

 ゼロが軽い口調で言いながら、腕を伸ばした。


「よくわからない人間だね・・・・君は・・・」

「よく言われるよ」

 レイシアが少しためらいながら、モニターを出す。


「・・・・この端にあるコードを読んで。ブレイブアカデミアの地図だから。今いるのはここで、量は北側にあるの」

「了解」

 ブレイブアカデミア内の地図を出して、ゼロにデータを渡そうとしていた。

読んでくださりありがとうございます。風邪をこじらせまくって夏休み突入です。

風邪って長引くので気をつけてくださいね。

★やブクマで応援いただけると大変うれしいです。

また是非遊びに来てください。次回は来週アップします。

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