↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】追放寸前の俺、魔族に召喚されて最強の魔王に覚醒しました~ポンコツAIの王女様がなぜか俺に懐いて離れない~  作者: ゆき
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/594

41 からくりだらけのダンジョン

「アイリスが勝手にボタンを押したりするから、床が動いてたんだ。何もしてないって」

「それはごめんなさいだけど・・・魔王ヴィル様に主人公にありがちなラッキースケベ属性が・・・」

「何属性だよ。それ」

 アイリスがぶつぶつ言いながら階段を下りていた。


「あの・・・本当に、さっきは何もなくて・・・からくりの反動であんな風になってしまって。に、人間ですか?」

 セラがそっと、口を挟む。


「あぁ、アリエル王国の王女アイリスだ。いろいろあって、ダンジョンクエストに同行している」

「アイリスです。初めまして」

 アイリスが足を止める。

 スカートをつまんで、軽くお辞儀をしていた。


 初めて、王室らしい姿を見た気がするな。 


「私はセラと言います。吸血鬼族の魔族です」

「よろしくお願いします」

「お、お願いします」

 2人とも少し緊張しながら話していた。

 セラが微笑むと安心したような表情を浮かべる。



「ここのダンジョンはからくりが多いんです。こうゆうボタンやレバー一つ一つ押すと、違う部屋に入っちゃったりするんです。私もずっとこのダンジョンにいますが、まだわからないところとかたくさんあるんですよ」

「へぇ、私こうゆうの大好き」

 アイリスが楽しそうに歩く。


「アイリスは、もう何もするなよ」

「わかってる。もう絶対、ボタンやレバーは押さないから」

「ふふふ、そんな怯えなくても大丈夫なんですよ」

 3人で、ゆっくりと螺旋階段を降りていった。


「あ、セラはなんとなく、マキアに似てるね? 顔のパーツが重なる・・・」

 アイリスがぽんと思いついたような表情をしていた。


「確かにな・・・顔とか話し方も似てる気がするし」

「声の質も同じ?」

「マキアを知ってるんですか? 青髪の?」

 セラが食いついてきた。


「あぁ、魔王城で料理をしてくれているからな」

「すっごく美味しいの。マキアはお城のことなんでもこなしちゃう」


「そ、そうなのですね! マキアは私の姉なんです」

 セラが震えるような声で話す。 


「え? そうなの?」

 思わず、アイリスと顔を見合わせた。

 セラが何度も何度も大きく頷いていた。


「嬉しいです・・・お姉ちゃんが、生きているなんて・・・激しい戦闘に巻き込まれたあと消息不明になったんです。お姉ちゃんは魔族の中でも弱いほうなので、もう助からないと思っていて」

「よかったね。きっとマキアも喜ぶよ」

 アイリスがセラの背中をさすりながら、微笑んだ。


「そうだったのか。ジャヒーに助けられたと聞いているよ」

「ジャヒー様が・・・・」

 セラが頬を押さえて感極まっていた。 


 ということは、マキアも吸血鬼族だったのか。

 見た目ではわからなかったが・・・。

 なるほど。なんとなく、思い当たることはある。


「私と魔王ヴィル様がダンジョンの精霊が出すクエストを攻略したら、セラもここから出れるね。魔王城に行けばマキアに会えるよ」

「あぁ、マキアの作る料理は美味しいからな。楽しみにしてるといい」


「あ、ありがとうございます!」

 涙目になりながら、喜んでいた。


「そうだ。意外とダンジョンの仕掛けは安全なんですよ。ダンジョンに魔力がある場合、罠があって危険ですけど、このダンジョンはただ、仕掛けがあるだけなんです!」

 セラがテンション高めに話し出した。

 魔族は、本当にわかりやすいからな。


「そうなの? じゃあ、隠し扉があったってことは、最下層への近道に続くボタンもあるのかな?」

 アイリスがでっぱったボタンやレバーを見ながら言う。

 そこら中に怪しい場所があるんだよな。


「どうなんでしょう? この辺のボタンを押してみたら・・・・?」


「え!?」

「あ、間違えちゃ・・・・」

 セラが足元のボタンを踏んでいた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 


 螺旋階段が急に動き出した。

 せり上がってくる階段を、セラが綺麗にかわしていた。


「わわわわ・・・・・・」

「アイリス、落ちるなよ」

 手すりにつかまりながら、突き出てくる棒を避けた。

 何に使う棒だ? 罠ではないはずなんだが・・・。


 飛び上がって、階段を上がろうとしたとき、アイリスの前に壁の一部が突き出てきた。


「あっ・・・・ヴィル様」

 届かない。


「アイリス!!」

 アイリスが穴に押し込まれた。


「ったく・・・」


 ザッ・・・


 棒を掴んで勢いよく、穴の中に滑り込む。




「魔王ヴィル様、アイリス様・・・・」

 セラの呼ぶ声が小さくなっていく。


 ドタン


 押し込んでいた、岩の動きが止まった。


「な、なんだこれは・・・・」

「きゃっ」

 滑り台のような、傾斜のある場所を滑走していた。

 止まらない。磨かれているせいか、どんどん加速していく。


「ま・・・魔王ヴィル様、止まらないの。暗くて何も見えない。時速・・・あー計算もできない」

「このまま行くしかない」

「えー」

「しょうがないだろ」

 腕を組んで、マントを直す。


 ダンジョンの精霊に会ったら、まず文句を言いたい。 


 床が急に途切れた。


「ふわっ」

 

 ばっしゃーん


 がぷぷぷぷぷぷ


 水か?


「ぷはぁ・・・・」

 同時に顔を出した。アイリスが眉を下げて、バタバタしている。


「わわわ、ま、魔王ヴィル様」

「お、落ち着けって、足付くぞ」

 背伸びして、ギリギリ付くくらいの深さだった。


「あ・・・・ほ、本当・・・・」

 アイリスが上を見ながら息をつく。


「でも、これからどこへ? 扉はないのかな?」

「そうだな・・・」

 天井は高かったが、幅は3メートルくらいしかない場所だった。

 飛べばどうにでもなるんだけど、浮遊系の魔力は封じられているらしい。


 このまま、最下層に向かうしかないか。


「どうしてこんなところに水があるのかな? ちょっと、温かい」

「天井をよく見てみろ。水が流れてるだろ」

「なるほど・・・湧き水・・・」

 壁から、ちょろちょろと水が流れていた。

 臭みは無いから、太陽の熱を含んでろ過された湧き水だろう。


「ダンジョンなら出口につながるような、ボタンがあるはずだ。探そう」

「うん」

 背伸びをしながら壁を触っていく。

 ぺたぺた触っても、まっさらだった。


「アイリス、そっちは何かあったか?」

「えっと、あったんだけど、これ、押していいのかな? なんか、色が青くなってるの」


「この状態よりマシだろ。押せ」

「うん。わかった。えいっ」

 アイリスが両手で、岩を押していた。


 ゴトゴトゴト

 ドドドドドー


「きゃー」

 底が抜けるボタンだったのか。


「っ・・・・・」

 水とともに降りていくと、ぼよんと柔らかいものにバウンドして芝生に降りた。


「わっと・・・・・」

「・・・・・・・」

 ここが最下層みたいだな。


 ほのぼのとした草木、柔らかい芝生。

 ダンジョンの精霊の趣味が現れている。


「わー、ずぶぬれだよ。乾くかな?」

 アイリスが髪を触りながら、芝生にぺたんと座った。

「・・・・・・」

 マントが水で重くなっていた。

 ブーツを脱いで、水を流す。魔法さえ使えれば、な。


『お前らが魔王とアイリスとかいう者たちか?』

「!?」

 大きな白い物体が、急に動き出した。

 バウンドしたのは、この者の腹だったのか。


 しゅうううぅぅぅぅぅぅ


 ダンジョンの精霊が小さくなる。


『ふぅ、このほうが話しやすいな』

「お前がここのダンジョンの精霊か?」

『私は、ダンジョンの精霊シナガワ。お前らの話はよく聞いている』

 ゆっくりと顔が見えてきた。


『随分、派手な登場だったな。水浴びなど久々だったわ』

「ダンジョンのからくりが派手でね」

『はははは、褒められると嬉しいものだな』

「・・・・・・」

 ダンジョンの精霊ってプラス思考に考える傾向にあるんだな。

 文句を言おうとしたら、アイリスに止められた。


『よく来た。待っていたぞ』

 目を細めて、にんまりと口角を上げた。


『ぜひ、私のダンジョンが要求する宝も持ってきてほしい』

「もちろん、喜んで。くしゅん」

 アイリスが両手で押さえて、くしゃみをした。


『お前たちは、最下層まで、近道で来たのだな?』

「あれが近道・・・・」

「荒い近道だな」

 マントを脱いで、水を絞る。


「くしゅん・・・風邪引いちゃったかな」

「アイリスが風邪ひくの珍しいな。魔王城に来てから一度もないだろ」

「私だって人間なんだから、風邪くらい引ける」

「・・・なんで怒ってるんだよ・・・」

「怒ってない」

 なぜか、少し膨れていた。


『はは、あのルートは、今まで通ったことのないルートだ。面白い奴らだな』

「・・・・・・・」

 だろうな・・・。

 シナガワが、びしょぬれになった俺たちを見て豪快に笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
暗闇滑り台からの水にジャポン!は怖そうですね~(;^ω^)そんな中時速計算しようとするアイリスが可愛かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。