EP ???????
「魔王様はどんな夢を見たのかな」
悪魔の少女がつぶやく。
「この世界に勇者がいるのは、ラグナロクを避けるため。でも、今いる勇者たちは国が利用している。月の女神と契約したときの、本来の目的を忘れつつある」
悪魔の少女は誰もいなくなったダンジョンの地下にいた。
「・・・・・私は今回のラグナロクは止められないと思うけど? 聖女アイリス・・・でも、魔王様とずっと一緒にいたいものね。不可能を可能に・・・」
魔力のなくなった魔法陣を見つめる。
― 悪魔様、悪魔様 ―
― ダンジョンの精霊、魔王城に行ったのですね ―
「2人はこのことを記録しておいて。記録は大切な仕事だから」
― かしこまりました ―
「やっぱり、解いたのね。クロノス」
悪魔が振り返ると、白銀の髪を持つすらっとした青年が立っていた。
「やぁ、悪魔のほうに会うのは久しぶりだね」
「仕える神が違うからね。別に会わなくても問題ない。それに今日は若い青年の姿なの? いつも老人じゃなかった?」
「老人ばかりも肩が凝るんだ。ま、深い意味はないよ」
クロノスが長い杖を掲げる。
杖の宝玉には時間が刻まれていた。
「・・・何を企んでるの?」
「何も企んでいないよ。アイリスにとってそれがいいかなと思っただけだ」
「ふうん」
悪魔の少女が疑いの目で、クロノスを見つめた。
杖を地面につけると、宝玉が回りだす。
「いつまで自分の娘にしておくつもり?」
「んーそうだな。考えてなかったな。でも、不便じゃないし・・・」
クロノスが杖をぴたっと止めた。
「君たちが何者なのか、理解できるまで・・・かな」
「・・・興味ないくせに」
「興味はあるさ」
クロノスがマントを後ろにやって、地面に魔法を展開する。
「僕は今、異世界を調べてるんだ。本来、禁忌魔法以上の知識が、本体と君には詰め込まれている気がしてるんだよね。どれくらいのキャパを持ってるのか未知数だ」
「あ、そ」
悪魔の少女が地面を蹴って、がれきの上に座った。
「そこまで間違ってはいないよ」
悪魔の少女が口に手を当てて微笑む。
「よかった。じゃあ、僕も色々と忙しいから。もう一人の・・・じゃなくて、悪魔さん」
サアァァァァ
壁が小さく崩れると、クロノスがいなくなっていた。




