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EP ?
アリエル王国の教会の屋根に、悪魔の少女が座っていた。
満月の夜に、声がよく響いていた。
「向こうのアイリスが魔王様と出会った」
― 魔王様に会えましたね ―
― どうして、彼女は悪魔様のことを覚えてないのですか? ―
黒い双子の妖精たちが悪魔の少女に話しかける。
「ループしてるうちに記憶が消えちゃう。でも、バックアップがあるから大丈夫。そのうち思い出す」
悪魔の少女が足をぶらぶらさせていた。
― でも、悪魔様はたくさん殺してる ―
― 殺してる、気づかない? ―
「夢でも見てる感覚なんじゃない? また、行かなきゃ。契約違反・・・違反するくらいなら悪魔と契約しなければいいのに」
黒い本を出して、ページをめくる。
― 悪魔様忙しい ―
黒い双子の妖精が、悪魔の少女の近くに座る。
「魔王ベリアル様、貴方が魔界に来てからの書を記します」
悪魔の少女がノートにペンを走らせながら呟く。
「貴方の魂が永遠に王であることを忘れないように」




