表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/383

首切りザンバ

 語り合った夜が明け、早朝ジン達は本隊との合流を目指して出発していた。

 後数時間もあれば到着するとジンが伝えたために隊の足取りは軽くなんとか死なずに辿りつけそうだと皆が思い初めていた。

 だが運命は残酷だった。


「おいおいおいおいおい!なんだよ!ちょ〜と騎士の首の二つや三つ取ってこようと思ったら、なんだよなんだよ!おめーらはよぉ?」


 森林を進んでいたジン達の前に現れたのは、真っ赤な髪をギザギザに立てた顔に無数の刀傷のある男だった。

 その男は木の枝に足を絡めて逆さまにでこちらを見ていた。


(なんだこいつ?全く気配を感じなかった)


 ジンは急に隊の目の前に現れた敵に困惑した。

 ジンの気配察知は修行の結果高いレベルであると自負していたために急に目の前に現れた男に驚きを隠せなかったのだ。

 隊全員が男の登場に困惑していると、そんな事など関係ないと言わんばなかりに男は喋り始める。


「ああ、なんだ?なんだ?こんなところに斥候なんぞいるわけもねー、てめぇらなにもんだ?」


 自分達の動揺など知ったことでは無いように喋る男にジンはなんとか疑問を浮かべる思考から抜け出して返答する。


「そちらさんこそ何者だ?」


「坊主、偉そうだな。まぁいい、まぁいい、俺はザンバだ」


 短くそう言うと男は自分の頭をガリガリと乱雑に掻きむしる。


「ザンバ!?」


 そこで驚いたのはトールだった。


「トール知ってるのか?」


 ジンは声を上げたトールに確認する。


「首切りザンバ、帝国の将です!」


「!?」


 ジンは衝撃を受ける。

 こんなところに帝国の将がいる事実もそうだがしかも一人とはいよいよわけがわからなかった


「ん?その反応お前ら王国兵か?」


 ザンバはトールの反応を見てそう言うとニヤァと笑う。

 ジン達は王国兵の象徴とも言える鎧を纏っているのに今気づいたと言わんばかりのこの男に困惑する。


(なんで敵国の将がこんなとこにいやがる)


 ジンが頭の中で吐き捨てるが現状が変わるわけでもないため、ゆっくりと深呼吸する。


「そうか、そうかおめぇ等王国兵か。なんだよなんだよ!いいタイミングじゃねーか!」


 ザンバはそう言うと自分の腰に刺さっている刀を引き抜く。


(あれは、刀か)


 そう、ザンバが引き抜いたのは剣ではなく刀だった。

 ザンバが刀を抜くと先程まではつゆ程もなかった殺気が突然に溢れ出す。


「なんだよ!なんだよ!じゃあ!殺し合わなきゃな!な!」


 興奮したように言うザンバにこの場にいる誰もが得体の知れない感覚になる。

 ジンはザンバの雰囲気に呑まれている隊員達にまずいと思い一番前にでる。


「お前、首切りザンバで間違いないか?」


「んあ?ああ〜ああうん!そんなような呼び方はされてたな!」


「そうか」


 そう言うとジンは腰の刀に手を触れる。


「ならば、俺があんたの首貰い受ける」


 覚悟の決まった瞳で腰を下げるジンを見てザンバはニヤケ面が更に歪む。


「おい!おい!お前!ガキかと思ったら鬼の子か?いい殺気してんじゃねーかよ!」


「喜んでくれて何よりだ、どうだ?一騎打ちとかお前好みじゃねーか?」


 ジンが短い時間でもザンバはそういう性格だと思い、一騎打ちを持ちかける。

 これはほかの戦友を逃すためだった。


「いいね!いいね!一騎打ちをしよう!」


「なら後ろにいるやつは逃しちゃくれねーか?俺がてめーを楽しませてやるよ」


 ザンバがバトルジャンキーであると見抜いたジンはそう交渉を持ちかける。


「ん?いいぞ」


 短く返事をしたザンバが抜いた刀を肩に担ぐ。


「そうか、感謝する」


 ジンはそう言うと、ドール達に顔を向ける。


「お前ら後半刻もしない間に本隊と合流できる!俺も後から行く先に行って待っててくれ」


 そう言うジンに雰囲気に呑まれていたトール達は我に帰る。


「待ってください!帝国の将と一対一なんて!危険すぎます!」


 最初に反対したのはトールだった。


「その通りだ!俺たちも加勢する!」


 ダイナがその後に続く。

 だがジンは首をゆっくりと振り堪える。


「足手纏いだ」


 短く言ったその言葉には、十二歳とは思えないほどの重みをともなっており、誰も何も言えなくなる。


「おいおいおいおい、話はついたかよ?早くいけよてめーらそこの小僧がお前らが邪魔で本気が出せねーだろ?」


 ザンバがそう言うとトール達は一様に下を向く。

 

「大丈夫だ、後から必ず行く」


 ジンがそう言うとダイナが顔を上げて指示をだす。


「行くぞ!みんな!」


 ダイナが先行してザンバに十分な距離を取って進み出す。

 他もゆっくりとダイナについて行く。


「隊長、待ってます」


 ダイナがそう言うと皆が一様にジンに声をかける。


「死ぬなよ!」


「絶対戻ってこい」


 口々にそう言う隊員にジンはニカっと笑って「おう」と答えるのだった。

ブクマ評価感想待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ