決死
ジン達が決死の撤退戦を開始してから更に数十分がたった。
「隊長!ザパァ小隊壊滅!」
「ゴンのとこも負傷だ!」
「負傷報告はもういい!俺らは止まったら終わりだ!進め!退路はこの先にしかない!」
混戦もここに極まれり、まさにこの言葉通りだろう、地獄あるならまさにここだろうと撤退部隊全兵がそう思う。
ジン達はなんとか味方兵士を拾いながら森林へと向かうが増える兵と減る兵では現状着々と兵が減っていっていた。
「隊長!もう進行方向に味方らしい影はみえねー!」
ダリルがそう言うとジンは刀を振りながら頷く。
その瞬間ジンの目に入ったのは力尽きている味方だ、それはジンが入隊した時に突っかかって来たデールズのものだった。
(クソが!)
「わかった!速度はこのまま維持する!なんとしても抜けるぞ!」
それから数分でダリルからの報告が入る。
「隊長!森が見えてきた!」
「そうか、ダイナ!ここから先導はお前がしろ!」
「え!?」
いきなり大役を任されたダイナは戸惑いの声を上げる。
「俺は少し下がって間延びした後方を支援する!お前ならできる任すぞ!」
そう言われたダイナは何故か胸が熱くなる感覚を伴って大きく応える。
「了解!」
この時ジンはダイナに全幅の信頼を置いていた訳ではなかったが一人でも多く生き残る道はそれしかないと賭けたのだ。
ジンはダイナの返事に満足そうに頷くとダリルとガオンを見る。
「お前ら二人も補佐を頼む!」
「「了解」」
そう言った二人はあと少しという決意を胸に道中何度もした覚悟をまた新たに決める。
ジンは三人の表情を見て一歩下がりダイナに任せると声を張り上げる。
「森林まであと少しだ!踏ん張れお前ら!」
「「「おお!!」」」
「ミシェル!お前はついてこい!」
「は、はい!」
そういうとジンはミシェルを伴って素早く後方に下がる。
残された三人は各々剣を振りながら口を開く。
「なんだかな!さっきまでバカにし腐ってた隊長殿に言われたのにこの胸が熱くなる感じ!不思議だぜ」
「全くだ!誰だ?隊長をコネで入ったくそガキだと言ったのは!」
「ダリルでしょ」
「うるせー!お前も似たようなこと言ってたろうが!」
「そうだっけ?」
「隊長には後で謝らないとな、とりあえず隊長から任された大役だ!道を切り開くよ!」
「了解」
「おおよ!」
三人は獰猛な笑みを浮かべて剣を持つ手にさらに力を込めるのだった。
後方に下がったジンはトールと合流して左右の敵を薙ぎ払っていた。
「隊長!前はどうしたんですか?!」
「ダイナに任せて間延びした後方の支援に来た」
「ダイナに!?」
「速度は少し落ちたが、ちょうどいい今のうちに前に詰めるぞ」
「は、はい!了解です!」




