帰宅
ジンとジゲンは帰りの馬車に揺られていた。
デイダラとテンゼンは城下町を一日二日と堪能して帰ると言うことで帰りはジンとジゲンのみであった。
「まぁ、なんだ、惚れたなら仕方がねえが、敵を作ったな」
ジゲンが城から少ししてから喋りかける。
「だね」
ジンは短く答えた。
ジンはリナリーの件で間違いなくドールと敵対した。
いくら傍若無人と言ってもこの国の第二王子である。その力は絶大だ。
「お前に関しちゃ心配はしてねぇが、家のことは心配している」
ジゲンは隠しても仕方がないのでハッキリとジンに伝える。
「わかってる。あれはそういうことをする部類なのはね」
「ならどうする」
「大丈夫考えはある。親友を頼るとするよ」
「ふっ、そうか」
鼻で笑ったジゲンはなんとも懐かしい気持ちになるが、それ以上の追求はしなかった。
すでにジゲンの方であらかた手は打っていたがジンがしっかりと相手を把握して行動しようとしていることに成長を感じてうれしくもなった。
「だがしかし、一目惚れとはな、かっかっか」
「ううぅ、あまり言わないでくれよ」
ジンは気恥ずかしくなり、頭を抱える。
「だが、定めたのならやり遂げろ」
急にジゲンが真剣な目で言う物で先程の大笑いと落差が激しく困惑するジンだったが、しっかりと頷くのだった。
数時間かけて屋敷に辿り着くと家族総出で出迎えがあった。
「おかえりなさい」
挨拶も早々にルイはジンに抱きついて頭を撫でる。
「母上、苦しいです」
「そうです!母様!私も兄様を抱きしめ、じゃなくて兄様が困っています!」
「そうです!俺も兄さんとお話ししたいです!」
「あら、オウカもリュウキも母にヤキモチは少し見苦しいわよ?」
「「うう!!」」
オウカとリュウキは可愛らしく頬を膨らまして唸る。
それを微笑ましく見守るジャスとジョゼ。
「そのぉ、わしも帰ってきたんだが」
「あらおかえりなさい、あなた」
「おかえり父様」
「おかえり、父さん」
素っ気ない家族にジゲンは肩を落とす。
そんなジゲンの方にポンと手が乗せられ、ジゲンが振り返るとジャスが笑って立っていた。
「ジャス、主だけだ、わしを支えてくれるのは」
「おかえりなさいませ、旦那様。お仕事が山積みになってらっしゃいます。すぐに書斎に行って片付けて頂きたい」
「薄情者め!」
ジゲンとジャス、ルイとオウカとリュウキが騒いでいる横でニコニコ笑うジョゼ、オオトリ家のいつもの光景だった。
ただ、静かにジンがルイに絞め落とされていることに気づいたのはもうちょっと後のことである。




