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血の繋がり

 全くもって蚊帳の外だったジンは、ゲイツとジゲンの話が終わるとジゲンと廊下に出た。

 まだ状況を飲み込めていないジンはジゲンに詰め寄る。


「なんでおじさんがここにいるの!?」


「お前さん侯爵殿から何も聞いてないのか?」


「なにってなにを?」


 ジンはゲイツから話など聞いていない。最近会話した覚えもなかった。


「......そうか」


 ジゲンは少し考えて、チラリとジンを見て言った。


「今から侯爵殿に聞いてこいわしは一年前の木の下で待っておる、話が終わったら来い」


 そう言ってジゲンは有無も言わさず歩き去った。

 ジンは訳がわからないが、言われた通りもう一度書斎の前に立ち、今からゲイツと話さなければならないという憂鬱とした気持ちを振り払うために深呼吸してから書斎のドアをノックする。


「誰だ」


「俺です、父上入室してもよろしいでしょうか」


「......入れ」


 ジンはもう一度深呼吸してから部屋に入室する。


「なんだ?」


 鬱陶しそうに言うゲイツに少し少し気圧されながらジンは先程のことを話す。


「先程の件で、オオトリ殿は父上に直接話を聞けと言われたのですが、お聞かせいただけませんか?」


 ジンは、出来るだけ丁寧な口調で言う。


「貴様は、オオトリの家に養子に出すことになった」


 ゲイツの発言にジンは思考する。

 ジンは一年前のあの日会ったジゲンのことが気になり自分なりに調べた結果ジゲンは最近の戦争で平民から成り上がった男爵だ。普通平民から成り上がる場合最初の貴族位は騎士爵だ、だがジゲンはそれを飛ばして領地を持たぬ男爵となった、これは異例の出来事だ救国の英雄でもない限りありえないはずだったが、だがディノケイド王の完璧な根回しの結果これが起こった。

 とどのつまり、ジゲンは現国王ディノケイドのお気に入りというわけだ。

 ならば、侯爵家としてジゲンと縁を結ぶのは悪い話ではない。ジゲンに貸しが有ればディノケイドとの関係に何かしらいい作用が生まれるかもしれないという打算もあるのかもしれない。

 ならば自分がジゲンの養子に出されることは侯爵家としての使命みたいなものだ、それにジンからすればどんな場所でもこの家よりはいいという気持ちもあったので特に拒否する必要はないと結論に至る。


「わかりました」


 ジンは一言、言って振り向き退室しようとしがゲイツがそれを呼び止める。


「待て、ジン」


 久しぶりに名前を呼ばれて、ジンは捨てたと思っていた感情が心に広がるのを感じる。

 

「なんでしょう?父上」


「今日限りで貴様は、オオトリ男爵の養子となるわけだが、今後一切、我が侯爵家の名前を口にするな」


「ど、どういうことでしょうか?」


 ジンはゲイツの言葉に先程の感情が霧散していくのを感じる。

 そんなジンの心内など知ろうともしないゲイツはなをも捲し立てる。


「あの成り上がり男爵などと我が侯爵家が縁を結んだなどと思われても困る貴様は金で売ったのだ。そのことを忘れるなこれは貴様との縁も切れ金も入る取り引きにすぎない、貴様は今日この日を持って我が侯爵家の人間ではない。そのことを肝に銘じ出て行け」


 ジンは絶句した、実の息子にここまでのことが言えるのかと心の隅で思うのと同時に心の中心では悲しみという感情が支配していた。


(俺はこの人達に何を期待していたんだ、期待なんてとっくの昔に諦めたはずだろう)


 頭ではわかっていた。この家の人間が自分を忌み嫌っていることをだが最後の最後の部分ではどこか期待していたのだ、自分は侯爵家の人間として使命を全うする、だから最後だけでも親と子としての会話ができると。

 だがそんなことにはならかった。


「わかりました。長い間お世話になりました」


 ジンは涙を堪えて頭を下げると、足早に部屋を出た。

 ジンはたしかに前世の記憶の断片を持っているため、他の五歳児よりも精神は成熟し思考力などもあるが、やはりどこまで行っても子供は親の愛を求める小さな存在でしかないのだ。

 ジンとゲイツにあったのは血の繋がり以外はなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 酷え話しだ。
[一言] 句読点がなくて読みにくいです
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