侯爵家と王家
ディノケイドはロイと別れて先程、ジン達と話していた部屋で一人で紅茶を飲んでいた。そろそろキリルが訪ねてくる頃合いだろうとドールを呼ばせに行ったのが数分前だ。
「失礼します。陛下、フォルム侯爵様がお見えです」
「そうか、入れ」
ディノケイドの許可と同時に部屋のドアが開きキリルとリナリーが入室してきた。
「陛下、本日は」
「よい」
キリルが礼儀作法に則った礼をして入ろうとするがディノケイドはそれを遮り入室を促す。
「近衛しかおらんのだ、気を使うな」
「ディノ、流石に軽すぎやしないか?」
「よいよい、お前に敬語を使われるとジゲン同様鳥肌が立つわい」
ディノケイドとキリルは侯爵子息と次期国王として物心ついた時から一緒にいるため、最早兄弟と言っても過言ではなかった。
「ジゲンか」
キリルは先程のことを鮮明に思い出してため息を吐く。
「ジゲンがどうかしたのか?」
不思議に思ったディノケイドが尋ねると真剣な顔になったキリルが口を開く。
「ディノ、少し二人で話したい、できるか?」
「構わんが、リナリーはどうする?」
入室した時ドレスの端を摘んでお辞儀をしてからどこか心ここに在らずと言ったふうに顔を少し赤て立っているリナリーに顔を向けるディノケイド。
「そのことで話がある、ドール殿下にはすまないが少し顔合わせの件遅らせられるか?」
「それは、ちと難しいの」
ディノケイドがそう言った時にドアがノックされた。
「陛下、ドール様がお見えになりました」
「と言うわけだ」
もうすでに呼んでいたと言うふうに伝えるディノケイドにキリルは少し顔を青ざめさせる。
「なら分かった!リナリーと二人で時間を潰してもらおう、どうしても話さなければならない話なんだ」
キリルがどうしてもと食い下がるため、ディノケイドは訝しみながら了承してドールを部屋に入れるのだった。
部屋に入ったドールはその瞬間結論から言えば恋をした。
白銀に近い金髪に、空よりも深いブルーの瞳、全ての美が完璧な調和を成した顔立ち。
今日この日二人の男が一人の女性に一目惚れしたのだった。
「初めまして、お初にお目にかかりますわ、殿下。リナリー・フォルムです、どうぞこれからよろしくお願いいたします」
リナリーはドールを見て綺麗にお辞儀をする。
リナリーに一目惚れしたドールはその場で固まったままであったためディノケイドが見かねて声をかける。
「ドール、リナリー嬢に挨拶をなさい」
「は、はい!父上!......ドールストスだ!」
なんともぶっきらぼうな挨拶だったがリナリーはニコニコと笑いかける。
その顔にまたしてもドールは胸を撃ち抜かれる。
そんな二人を尻目にディノケイドとキリルは話があるからと退室していくのだった。




