八咫烏
遅くなって申し訳ありません!
時は戻り、リュウキがジンとの実力差を痛感する手前、ジンとテンゼンはお互いに刀を構える。
ジゲンの合図でお互い動き出せる準備に入る。
ジンがまず注目したのはテンゼンの足の位置だった。二年前の構えと基本的には変わらないが数センチ左足が後方に下がった状態の構えを見て繰り出される技を断定しようとする。
瞬刃流と烈刃流は互いに親密な間柄でありよく弟子同士が交流的に手合わせをする、実際にジンも二年前にテンゼンと手合わせをしていた。
その時はなすすべもなくやられたがこの二年何度も何度もあの日を振り返りイメージトレーニングをしていた。
お互い手の内は割れているその構えからどの技が来るか大体の絞りはできている。
(あの構えなら使える技は五つ、けどもしあの足がブラフなら)
お互いに構えをミリ単位で変えて牽制しあう。
動き出す前の勝負、ここで八割が決まるのが瞬刃流と烈刃流の戦いだった。
お互いが動きを止める。技を断定したということだ。それを見計らったようにジゲンが開始の合図を送る。
「はじめ!」
短い合図でジンは地面を強く切って常人では反応しきれない速度でテンゼンへと真っ直ぐに進む。
テンゼンも同じようにジンへと突進してくる。
瞬刃流が先手必勝ならば烈火流はカウンターの流派だ、一見相性は烈刃にあるように見えるが、カウンターはもし外した場合隙が大きく次の攻撃を繰り出すのに若干の時間がかかる。
それを見逃してくれるほど瞬刃流の使い手達は甘くない、つまりジンがカウンターを見切るか凌げばジンの勝ち。テンゼンがカウンターを入れればテンゼンの勝ち。選択肢が多いのはジンである。
(中段から下段に刀を下ろした)
冷静にコンマの世界でジンがテンゼンの動きを観察する。
(岩斬か、霧斬り舞)
短く思考してテンゼンが繰り出すであろう技を断定する。
もはや時間はない断定したと思った瞬間にジンは刀を抜刀する。
「第八門、緋剣、八咫烏」
誰にも聞こえない声でそう呟き、抜刀する。
テンゼンが繰り出したのは『岩斬』である、これは敵の武器に自分の刀が触れる瞬間に重心の真ん中を烈刃が誇る技法で叩くことによって相手の腕を痺れさせる技だ。
ジンとテンゼンの刀が交わる、テンゼンは刀と刀が交差した瞬間に力を入れてジンの手を潰しにかかる、がジンが抜刀した刀の剣速が見えずにテンゼンは慌てる。
(うそだろ!?)
テンゼンは何かないかとコンマの世界で考えるがもう動き出した手は止まらない左下段から右上段へと振り抜く刀を止められずそのまま執行する。
ジンはテンゼンの刀を抜刀したと同時に刀の全体を使って縦に受け流しテンゼンが振り抜いた。
テンゼンの刀を受け流し終えたと判断したジンは次の瞬間には刀を首に突きつけていた。
テンゼンはまさかここまで成長していると思っておらずやれやれと困った風に首を振る、ジゲンがそのタイミングで「勝負あり」と掛け声を出し二年ぶりの手合わせはジンの勝利に終わった。
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