王子と王女
日本語って難しいですね。
ジンはソラルカに促せるままに自分の考えを話す。
「まず初めに挨拶ですね右手を胸に添えて挨拶するのは貴族の挨拶です。使用人などは逆の手を添えますので」
「なるほど確かに、これは失敗しましたね。ですがそれではまだ私が殿下であると決まったわけではありません」
「次にその髪と目でしょう。この国には金の髪と目を持つのは王族しかいません」
「なるほど、よくご存知ですね。どうやら私よりも二つか三つほど歳下であると思いますが?」
「今年で6歳です」
自分でもなんとも子供らしくない子供だと納得するジン。
「そして最後に......」
「最後に?」
「陛下との雰囲気が似てましたから」
「雰囲気、ですか?」
「ええ、雰囲気です」
「ふふ、あっはははは」
ソラルカはひとしきり笑うと目尻に浮かべた涙を拭って答える。
「いや、見事正解だ。これはすごいなまさか見破られるとは思っていなかった」
「お褒めに預かり光栄です」
「ジンと言ったな、敬語はなしだ。お前の目利きに免じて許す」
「いや、それはちょっとなんていうか恐れ多いと言うか身分違いとういかですね」
「構わん、俺が許すと言っている」
「うっ!わかった.......」
これ以上頑なに断れば逆に失礼に当たる。ジンは仕方なくソラルカの言葉を受け入れる。
「いや、久々に愉快だ。おっと忘れていた改めて、ロイストス・バン・ベータルだ」
そう言って右手を突き出すロイストスにジンは少し困った様な笑みで握手を交わすのあった。
握手の後にジンと向かい合う様に座ったロイストスはジンを真っ直ぐ見つめる。
「さて、ジンよ気付いたのはそれだけかな?」
「そぉですね、一つ聞きたいことはあります」
「ふむ、敬語は?」
「なしだったな」
はははと乾いた笑いをするジン。
まぁいいかとロイストスは咳払いをして話を中断させたため再開させる。
「それで、聞きたいこととは?」
「俺を案内してくれたメイドさん、あの方は殿下の親族かなぁとは思ったね」
「ふむ、なぜかな?」
「いやすまない、これは本当にただの勘だな。溢れる気品と金髪っていうとまぁそうかもな程度だな」
「なるほど、いやお前は気に入った」
「正解か?」
「正解だ、私の姉上だからな」
「姉......てことは」
ジンが言いかけたときに先程入ってきたドアが開く。
ジンがそちらに目を向けると先程案内してくれたメイドさんが煌びやかなドレスに着替えて立っていた。
「改めて、ご挨拶させていただきます。ベータル王国第一王女サファイア・バン・ベータルと申します」
「あ、えっと王女殿下とはつゆ知らず、先程のご無礼お許しください」
ジンは確かに王族の親戚ではないかと思ってはいたがまさか相手が第一王女であるなどとは思っても見なかった。
焦り散らかすジンにサファイアはふふふと笑って優しく落ち着いた声で喋る。
「いいのよ、先に無礼があったのは間違いなく私たちですもの。ね?ロイ?」
「ええ、姉上の言う通りです。すみません私の戯言につきあって頂き」
「いいのよ、私も楽しかったわ」
そう言いながらまたも朗らかに笑うサファイアにジンは今日何回目になるかわからない乾いた笑いをするのだった。
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