イタズラ
あー重い、こんなに重いなら引き受けるんじゃなかった。酒につまみにおにぎりなど。くじ引きが全て悪いのだが。
ひーこらと自分のパソコンと荷物を背負いやってきたここは廃墟である。廃墟探検家を名乗る友人のBが探し当てた場所である。今日はここで百物語をする予定だ。しかし待ち合わせ場所を決めたのはいいけれども、廃墟の「どこ」と決めていないので、あいつらが一体どこにいるのかが分からない。携帯には気づいていないようだ。仕方なしに耳をすませて歩くこと10分程度。1階にも2階にもいないので3階に来た。すると、少しづつ人の話し声が聞こえるようになってきた。どうやらここで良さそうだ。
「おーい、着い・・・」
声をかけるとその場の5人が一斉に自身の唇に人差し指をくっつけた。黙れということだろう。彼等が黙っているということは・・・あぁ。他の参加者が話しているらしい。自分もパソコンのセットをしつつ、耳を傾ける。
『これは友人のAさんから聞いた話なんですけどね、彼女は彼氏と一緒に車でドライブをするのが日課でした。その日はなかなか行かないところに行こうというので自然が綺麗なところというので山の中ほどにあるという花畑を目指したそうです。行きも着いた後も順調だったとのことで、無事愛を深めたらしいです。しかし、帰りはおかしなことが起きたそうなんです。彼の独特の癖はなんでもカーナビに答えるというものらしいんですね、なんだか「次は500m右です」、「分かってまーす」みたいな。もちろん会社とかの人を乗せる時はしませんよ?ただ、親しい人の前だとやってしまうみたいなんです。なんでも集中したいということで、会話していれば寝ないだろう?と言われたらおかしい癖とは思いつつも積極的に止めようとも思わなかったそうです。お弁当作りで疲れてた彼女に彼は寝ていても良いといったそうです。話し相手ならいるからナビを叩いて笑いながら。彼女も早起きしてたので、甘えて寝させてもらったそうです。少しずつ睡魔に落ちていくなか、彼のいつもの独り言が聞こえてきました。そうしてふと気づいたことがあったのですが、気にしないで寝たらしいんですね。彼にもそういう時はあるのかな。それからしばらくして彼女が目を覚ますと車はどこかの廃村にいました。慌てて彼を見てみると、一見何も変わっておりません。ただ、いつものように「うーぃ、次200m左だな」、「500m左ね」、「左多くね?大丈夫ナビ子?」とか独り言を呟いていました。無言の車中で。カーナビはついていなかったんですね。そこからは彼女が彼をビンタして、目を覚まさせたとのことで、目を覚ました彼は彼女よりもパニックになっていました。慌てて、廃村から出られれば良いと車を急発進させました。そうしたらいつものカーナビの声で一言「地獄、まで、あと、0mです」とノイズがかかった声が聞こえました。
そこからはあまり覚えていないそうで、ようやく民家が見え出したところで彼が口を開いたそうです。通っている時にこんな道は無かった。こんなに人気がない場所なら走ってればまず確認する。なんでこんな道を走っていたんだろう。
これでおしまいです。友人のAにそれからを聞いたところ、彼女は車ごと彼氏を捨てたそうです。彼氏は車を捨てたと。ただ、一つ彼女は付け足してくれました。というのも、隣で眠っていた彼女が言うには途中から車のナビは作動しておらず、彼氏が自分で運転をしていたのだと思ったのだと言うんですね。ナビは私に配慮したのかなと。しかし、彼はナビ消してなどしておらず、ただただナビ通り運転をしていたと言うんです。だからおかしいところと言えば、明らかに目的地を外れているにもかかわらず、まただんだんと人気がなくなっているにもかかわらずそれを疑問にも思わないで運転を進めていたことそれ1番の疑問である。彼女はそう話を私にしてくれました。蝋燭を消しますね、ふっー』
パソコンの画面を見れば色々とコメントがついている。「語りが上手かった」、「ただ単にカーナビの怖い話じゃなくて、彼が良い味を出していた」、「ナビ子ちゃん萌え」、「花畑でピクニックww乙女かww・・・良いなぁ」
「良いなぁ、今何話目だよ」
「おっ、チューハイあるとか分かっているねぇ、40話だな。ほら40話目って名前になっているだろう?」
「お、そこで把握していたのか。もっと早く参加しとけばよかった。こんな時間まで残しやがってあの糞上司。じゃあちょちょいと」
41話目の人に交渉を持ちかける。
遅刻者:さっきのナビの話に関係がある話はんで、いきなりですが順番変えてもらって良いですか?
41話目:えっ、じゃあ俺が100話目!?・・・まぁ良いよ、自信作だから!
遅刻者:あざーす!!
「お、何着いた早々に行くの?」
「行かないと酒飲めねぇじゃん」
「「「「あぁ!!」」」」
『あ、あー、マイクテス、マイクテス。聞こえてます?お、挙手がいっぱい、便利な世の中ですねぇ。
じゃあさっそくですが、私からも怖い話を一つ。蝋燭を片手に。
さて、よくある話で恐縮だが駅の怖い話をしたいと思います。今日の為に怖い話を探していて、でもどれもありきたりなと言うふうに思ったので実際に起こった事故を調べてみたんですよ。でも怖い話と言ったら何を思い浮かべるでしょうか。やっぱり駅なら皆さんが思い浮かべたのは、こういうのじゃないですか。ある友人のお話なんですがね。彼は本を片手に駅のホームのやや端っこを歩いていたんですよ。そうしたら誰かにいきなり線路に突き飛ばされたんです。そして線路に落ちてあわや電車がというところで慌てて起き上がっその場の人達に助けてもらったそうです。そうして駅員さんにその場でこっぴどく叱られたそうで。でも友人は今確かに誰かに押されたんだ。子供だと思う、腰の辺りを押されたんだって。しかし、そこには子供はいなく、目撃者もあなたは確かに1人であった。しかも、その周りには誰もいなかったというんです。愕然とした友人が線路をなんとはなしに見れば子供が笑っている。まぁ、こういうのが鉄板なのではないでしょうか。あるいはその逆に今まさに電車が迫りつつある。しかし、ふと気付けばホームから落ちてしまっただろう子供が線路で泣いていることに気づく。それで慌てて助けようかと飛び込もうとしたら、周りの人に止められた、しかしその人はこう言います。今線路に子供が!そしてその人を助けた人はギョッとした顔をした後でこう言うでしょう。いや線路に子供なんていなかったよ。ほら見てごらんよ。それだったら今頃、悲劇だが、ほら血の跡もない。まぁ大体こういうところでは無いでしょうか。
確かにそういう話も聞くのは面白いし、実際にうまい文章や語りなら分かっていてもその話にのめりこんでしまう。多分ここにいる皆さんもそういうことがあるんじゃないでしょうか。だって皆さんホラーお好きでしょう?
けど、今日の私の話はちょっと違います。皆さんは新宿から出るある線のとある駅を知っていますか。いやここまで伏せたら分かりませんね、すみません。まぁ、怪談話の様式美ということでここは何卒。そこはよく飛び込み自殺が相次いでいたって言うんで有名なところなんですが、実際に僕も調べてみたところ、確かに飛び込み自殺が何件もあったのは事実みたいで。それは特にここの時代からとかっていうのはなくて、なんていうのかなコンスタンスに起こってたんです。だから最近のセイフティードアっていうのが作られ始めたときにそこの駅がなんて言うのかな4番目位に乗降者数が多い所よりも先に作られたのはそういう事情があったんだと思うんです。
さて、話が二転三転して申し訳ありませんが、皆さんはこういう悪質な悪戯を知っていますか。イヤホンとかをしながら歩きスマホをしている人を見つけて、その人の横を一緒に歩く。でもそんなに長い距離でもなくて、信号待ちをするまで。歩きスマホをしていた人が下を見ながら信号待ちで止まっている時にまだ信号が赤なのにわざと目立つように踏み出す。するとその歩きスマホをしていた人は信号が変わったんだな釣られて飛び出してしまうと言う風なものです。でも信号が赤なので車は普通に通ってくるのでその人は車の席に身を投げ出すような形になってしまう、そういう悪質ないたずらがあるんです。それでここからが僕の本当の怖い話なんですが、あくまでも僕の想像なんですけれど、もし駅に悪霊がいるとして、でもセイフティードアのために人を落とすあるいは騙すことができなくなったとしたらどうするんでしょうか。諦める?それに越したことはないですが、悪霊ですよ?散々人を殺そうとした。諦めてくれるとは思えません。そうすると誰を狙うのか、どうするだろうか、もうみんな気づいてると思いますが。例えば想像してみて欲しい。駅でイヤホンとかをしながら歩きスマホをしていて周囲の状況に気づきにくいと言う人をまず見つける。そして彼あるいは彼女はその人だけに見えるように一緒に横に歩く。そしてセイフティードアの前で立ち止まる。そこで来る電車を待って、電車が来ればセイフティードアをどうにか開けて、彼はあるいは彼女はそこで足を踏み出す。そうすればそこで起こることはいったい何かといえば、さっき話したような悪質ないたずらと同じような結果になりますよね。40話目の人の続きで話す為に順番を変えてもらったんですが、さっきの聞こえていたナビと一緒で悪霊とか幽霊っていうのは時代に合わせて進化していくんだと思ってます。そうすると、じゃぁ電車のところで起こるのは一体どういうものなんだろう、と考えていたら、こんなことを思いつきました。ところで、このオンラインの百物語っていうのはスマホからでも参加できて、しかも、これリアルタイムだよね?この中でイヤホンをしながら見ている人っているかな、それでさぁ今誰かが横で歩いてたりとかしない?今足元しか見えていなかったりとかしない?その横にいる人って本当に人なんだろうか?これで僕の話は終わりです。ふーっ』
「新しいな、悪戯と幽霊を組み合わせるなんて。流石主催者」
「もっと、練れると思うけど初披露なら良いかなって」
「いや、コメントも続々だぜ。歩きスマホ止めますとか、幽霊も進化するというのは確かに。昔は貞子いなかったしな、ビデオが無い時はとか」
「お、マジで煽てでも嬉しいわぁ・・・あ?この画面が揺れている人って?」
「あぁ5話目さん?お前と同じで会社の関係で参加できそうになくなったからスマホで参加するってな。あんまり画面見てるなよ、酔うぞ?」
「・・・先に言えよ。胃の中がやば・・・えっ、おいおい、おいおい!電車の光がまだ向こうなのにドアが開いたぞ!?」
「はぁ!?ヤバくね!」
『5話目さん!5話目さん、電車はま・・・』
そこから先のことはあまりよく覚えていない。スマホに映った血だけを鮮明に覚えている。
「昨夜、××駅でセイフティードアの故障があり、会社員の○○さんが亡くなりました。○○さんはあスマホに集中していたのをカメラで確認されており、ドアの故障に気づかなかったのではと。警察は・・・」
こんな企画があると知らずに急いで書いた話になります。
うぅ、ホラーは好きなのに。もう少し推敲をしたかった。
動物好きが異世界に行くのならテイマーになるしか道はない!!(もふもふもっふもふ)~やがて魔王へと至る道~
というお話も書いております。
人間の文明の発達?そんなものよりもっふもふじゃ~!そんなお話です。
よければご覧ください。