ただの婆さんかと思ったら伝説の賢者だったんだが2
あれから、3年ちょっと経ち、僕もだいぶ背が伸びた。
「うむ、そろそろ、剣魔育成学園の試験でも受けるか?」
「はい!ーーって…えっ?」
日常の会話でお茶でも飲む?みたいな雰囲気だったから咄嗟に『はい』って言っちゃったけど、大丈夫かな。
「え、冗談ですよね?」
「む、本気だが?」
まじか。これは行くしかないな。しょうがない。
「よし、ならいくかのぉ。」
「え?どこに?」
「決まっておるじゃろう。学校じゃよ。『れっつごー!』なのじゃ!」
そう言って俺の手を掴んで、転移する。
「…ここは…っ!」
「決まってある王都じゃよ。今日は試験だから頑張ってこい!因みに後10分で受付が終わる。」
はぁーーーー?
抗議しようと思い右を見るともうエミリ姉はいなくなっていた。
王都見学でもしますかー!
こんな受験生どこにいるのだろうか。勉強しよって、もう試験始まる時間じゃん!
……………
「ようこそ剣魔王立育成学園へ、これからみなさんの中から、此処に通う人間を選抜します。決して手を抜かず、最後まで諦めないように!」
受験人数はざっと1000人ぐらいか?
「最初の試験内容を説明します!最初は適正診断です!1番適性が高いものが、表示されます!一人ずつ手をかざしてください!以上です!」
どんどん素早く採点されている。
「次、231番!」
「はいっ!」
あ、あいつクラスメイトの…クラスメイトの…ダメだ名前が出てこない。
会場がどよめく。火属性Bだと?今年はとんでもねぇな。などの声も聞こえるがはっきり言って他の情報を漏らさないからつまらない。まぁ俺はAなんだけどな。とは言わないが。
「次、255番」
「は、はいっ!」
やば、ぼうっとしてて、呼ばれたのに気付かなかった。
まぁ、俺はSだけどねってああ!
Sって無属性魔法じゃん!
手を思い切ってかざす。
「む、ぷっ、無属性魔法…ん?Sぅ?!」
やったわ。さよなら僕のスローライフ。
周りから蔑んだ目で見られとる。これは本気でかかるしかないようだな。
「次は威力調査です。ゴーレムを1分間で、出来るだけ倒してください。」
何レーンかに分けてやるため、効率が良い。王立は違うと感じた。
「次!255番!」
「位置について…始め!」
戦いの火蓋が切って落とされた。俺は
無属性第2位階魔法『探査』を使う。どこからゴーレムが湧いてくるかを見分け、モグラ叩きの要領で、
無属性第2位階『防御壁』
を使い手を硬化させ、撲殺する。
距離が遠いときは、
無属性第1位階『アクセル』を使って、距離を詰める。それを繰り返して…
「や、やめっ!」
若干慌てながら止める審査員に結果を聞く
「結果は討伐数:103です」
これだけやれば馬鹿にされないだろ。
「次で実技試験は最後になります!最後は
1対1の決闘を受験生同士でやっていただきます!くじ引きで決めますので、結果を見てください!」
お、名も無き元クラスメイト君と当たった
「よっしゃーっ!お前と当たるとかもう勝ち確だろ!サンキュー俺の踏み台になってくれて。感謝するわ。」
言わせておくか。泣きを見るのは向こうなんだし。
……………
「では両者承認致しましたので、決闘を始めます!……始め!」
「俺の力を見せる実験台になれっ!
火属性第3位階魔法『灼熱槍』っ!」
おお〜最初としてはいい魔法だな。
意外とやるのかもね。
「守れ」
そういうと、先ほど使った
無属性第2位階魔法『防御壁』が、出てくる仕組みになっている。
エミリ姉曰く『無詠唱』って言う技法らしい。
「あはははっ!よっわ!俺様の最初の一撃で死ぬとかまじありえねーっ!よくこんなとこ…え?」
そりゃその反応になるか。死んだと思ったやつに肩掴まれたら。
そのまま相手の肩の関節を外して離れる。
「ぎゃぁぁぁ!!!」
…おお、これだけでこんなに泣くとは…ちょっと引くわ。
「死ね死ね死ね死ねシネっぇ!
火属性第8位階『炎獄』
」
「っ!それ以上はやめなさい!」
試験管の制止も聞かずに俺のほうにぶっ放してきた。だが…
「っっ!ま、魔法が上書きされたっ!?」
おお〜流石は試験官『書き換え』を知っているとは…。
そのまま自分の放った大魔法に焼かれている馬鹿をほっといて試験官に視線を向ける
「しょ、勝者255番っ!救護班この子を治療してっ!」
こうして実技は幕を閉じた。やり切った感じはあるし、ギリギリ受かっているだろう
お昼を学園内で済ませ、試験会場に戻ろうとしたところ、
「いーじゃん別に試験なんて。」
「それより俺たちといいことしない?」
「気持ちぃよ?」
「い、嫌ですそんなの!私もう行くんで!」
「おっと、いかせないぜ。ぐへへへ、もうめんどくさいし持ち帰るか。」
「やぁ君たち、随分と楽しそうなことしてるじゃないか。どう言う状況か、事情を聞かせてもらっても?」
チンピラAを顔面グーパンで殴り、殴りかかってきたチンピラBの急所を蹴り上げる。
「どうする、この状況でまだ戦う?」
「ち、畜生覚えてろよー!」
三下のようなセリフ有難うございます。
「大丈夫?」
「え、えぇ助かりました。」
「なら良かった。試験も始まってしまうし、行こうか。」
少しイベントはあったが、無事試験には間に合った。
「試験時間は50分です。始め!」
最初は数学か。
…は?なめてんの?何この簡単な問題…。
あ、必要最低限のことは必ず間違ってはいけないって言う、ことか。
時間を45分余らせて解き終わり、見直しをしていた。…ん?魔力の残滓が、微かに残っている。
「…『解析』」
こっそりと魔力を隠蔽し、解析をする。
裏の問題がある!
答案用紙もひっくり返し同じように解析する。…ビンゴ!
流石に裏の問題だけあってとても難しかったが、ギリギリ全部解けたと思う。
……………
(Side:エミリ)
私が、伝説の大賢者としてではなく、隠居してから何10年が、過ぎただろうか。いつもなら転移で家まで帰っていたのだが、たまには森をぶらつくのも良いと思い、ぶらついて帰っていたのだ。そのときだった。
明らかに、変異種と思われるゴブリンが群れを作っていたのだ。これは一大事だと思い、雷魔法を最大威力で、ぶっ放した。すると、ゴブリンたちは炭になっているのに
中心に子供がいた。私は戦慄した。
自分の魔法で一般人を殺せなかったのはこの少年以外はいなかったからだ。
その少年に興味が湧き、弟子にした。
この少年なら私の見れなかった魔法の深淵を見えると信じて。
時は流れ、少年は10歳になった。この子には魔法の応用は教えたが魔法の常識はあまり教えていない。そこが心配になりつつも
まぁ大丈夫だろう。
転移で学園長の元へ向かう。
会うのはいつぶりだろうか。
「やぁ!お久しぶりじゃの!」
「うぉっ!びっくりさせないでおくれ。」
下らないが面白い会話を続けてから、
本題を切り出す。
「お主のところにうちの弟子を入れる。まぁ、奴が受かったらの話だかの。」
「へぇ、あんたが弟子にするなんてよっぽどじゃない。いいわ、けど私からも少し力を量らせてもらうわね。」
「…何をするのじゃ?」
「筆記の問題を魔力を解析して隠蔽を解いて難問を解いてもらうのよ。気づかなかったらそこまで。気づいても解けなかったら
しょうがない。まあ、合格点に達していれば勿論入学させるけどね。因みに彼の名前は?」
「レイ=インガルじゃ。」
「インガル…?どこかで聞いたことのある名前だけど私たち世捨て人だからね〜。わからないや。」
「まぁ、期待しておけ今年は荒れるぞ。」
「そうね。ふふっ。」
二人が知り合いだとはレイは知らない。
……………
ふぅ、筆記のテストも終わったし帰るか。
受かったかどうか不安なところもあるが、
お腹が空いたので、家に帰ることにした。