モテ男の勘違い
モテ男の勘違い
「ずっと前から、ショウマ君のことが好きでした!」
卒業前にこんなシチュエーション、俺も期待していないわけではなかった。
俺は校舎の裏に呼び出され、上記の台詞を叫ばれた。
ここまで聞けば、羨ましいだったり、願ったり叶ったりであったり、いいことに捉えられるだろう。
ただ、俺は素直に喜べなかった。
俺の目の前にいるのは、俺と同じブレザーを着て、俺と同じズボンをはいている。
つまり同性、男子からの告白だったのだ。
しかも同じクラスの。
「ずっと好きでした!」
「わかった、わかったよアオイ。」
正直、俺は同性に興味はない。
しかし同性にもモテてしまうとは、俺はなんてかっこよくて男らしいんだろう。
そんな男らしい俺は、たとえ同性であっても優しく傷つけないように対応するのさ。
「アオイの気持ちはよくわかった。でもごめんな、気持ちには答えられない。」
「えっ…。」
アオイは涙を浮かべそうになりながら俺を見つめる。
「俺さ、今やりたいことがあるんだ。誰かと付き合うことよりも優先したいことがさ。」
それっぽいことを言って振る。
「そ、そっか…。」
そして俺はとどめを刺す。
「ありがとね。アオイに好きって言ってもらってめちゃくちゃ嬉しいよ。」
アオイは驚いた顔を見せつつ、笑みを浮かべた。
「そんなこと言ってくれるなんて…。こちらこそありがとう…。」
ああ、なんて俺はかっこいいんだ!!
男らしさが止まらない!!
「あのさショウマ君。もうすぐ進学で会えなっちゃうし、残り短い間だけど、僕と思い出作りしてほしいな!」
アオイは吹っ切れたような笑顔で俺に言った。
モテる男にとってそれは、断る理由もない提案だ。
「それは賛成だ。じゃあまず何をしようか?」
「今度、一緒にデートしてほしいんだ!男同士だと恥ずかしいから、ショウマ君に女装してもらって!」
俺がそっち側かぁ。
後日、俺は女装してデートしました。
楽しかったです。
。