前へ目次 次へ PR 71/118 「香」 「あなた、いつもいい香りがします」 「おぉ、何だ端女。香がわかるようになったか」 「わかりますよ、失礼ですね」 「これはな、毎日女給に香を焚きしめさせておるのよ」 「……着物にお香は珍しくないですけど、洋服にお香は珍しいですねぇ」 ほのほの笑っていれば、不意に彼女が私の服の匂いを嗅ぐ。 「貴様も香をつめているのではないのか?」 「私は柔軟剤の香りです」 「妾も使うてやっても良いぞ? 疾く献上せよ」 気に入ったらしい。