前へ目次 次へ PR 49/118 「雪融け」 「雪が融けたら。何になると思う?」 「決まっておる、水だろう?」 「ふふっ、ダメだなぁクラは。答えはねーー」 最後だけが靄がかかったように聞こえなかった会話は。きっとエルゥさんと彼女の会話だろう。縁側で私の肩にもたれかかって寝ている彼女に、そっと囁く。 「あのですね、雪が融けたら春が来て。あなたの好きな花が咲くんですよ」 彼女の目の端から静かに流れた涙を拭いながら告げれば、私の服を握る彼女の手が強くなった。