前へ目次 次へ PR 13/118 「菫」 「すみません、今日のおやつ……はなくて、これです」 「西洋の茶、こうちゃではないか。……まさかこれだけか?」 「いえ、これも」 「角砂糖? 妾を馬鹿にして「ません。紅茶に入れてみて下さい」 不満そうな顔をしつつ従ってくれる彼女。何の変哲もない紅茶の中、角砂糖が溶けてひらいたのは。 「これは菫《すみれ》か?」 「はい。庭で摘んだ菫を角砂糖の中に入れてみました」 「粋なことをするではないか!」 彼女は満足そうにカップを揺らした。