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火竜な鍛治師で冒険者  作者: 竜の爪
2/14

1 異世界で鍛治師をしたくて


_____________________


 「とりあえず説明するわね~」

 ポワポワ系のしゃべり方で結構可愛いが、説明はありきたりだった。

 女神様が…

 「アウラです」

 女神…

 「ア・ウ・ラ」

 …アウラ様が考えを読んで一向に説明が進まない。

 アウラ様が言うにはモニターで世界を覗いていた時に焼き鳥を頬張りながら歩く俺を見て、あまりにも美味しそうに食べていたらしく自分も魔法で出して食べていたらしい。

 そこでモニターを切り替えるリモコンのスイッチを押した時に事態が急変した。

 ドリフトした車が出現したのだ。

 因みにリモコンは先程の男性が車好きでドリフトレースの番組を見ていたらしい。そしてここは神の世界、リモコンも普通じゃなく俺の前に急遽ドリフト車が出現し俺を跳ね飛ばして死んだらしい。


 「本当にごめんなさい」

 アウラ様が深々と頭を下げる。

 「いえ…あの…もしかして異世界転移出来ないってヤツですか?」

 アウラ様が震えている。多分笑いを堪えて…、顔を上げた美しい女神はやはり笑いを堪えていた。

 「貴方は本当に変わった人ですね。大抵は悲しんだり、呆然としたり、現実逃避や神様?またまた~…と言った状態になるのですが」

 アウラ様が態度や声音を少し変えて状況説明してくれている。正直タイプなので癒され必要以上に緊張しないのも彼女のお陰だと思う。

 「貴方は…元の世界に戻りたくないの?」


 この言葉で一瞬躊躇した。

 直前に会った悪友二人を思い出していた。馬鹿話ばかりしていたけど、楽しかった。でも

 「…戻りたいけど多分戻れないですよね?死んじゃってるだろうし、それなら日常じゃない方が良いかなと思って…」

 俺は顔を伏せて言った。現代社会でやりたいこともなく無駄に人生を過ごすなら雑魚でも良いから冒険をして死んでいきたいと思っていた。


 真剣な表情になった女神アウラ様。

 「貴方の想いは理解しました。えっと剣と魔法のファンタジーな世界でしたね…」

 突如目の前に分厚い本が現れて勝手にページがめくられる。

 「これなんてどうでしょう?」

 読めない文字で表されたページが日本語に変換されていく。

 「え~っと…平和で争いがない…出来れば別ので」

 アウラ様は別の項目を探してくれる。けど平和なところばかりを示してくる。

 10回ほど拒否した時、流石にリクエストした。

 魔王がいて、勇者がいて、争いも共存もある世界という…

 「えっ~!…じゃぁこれ!」

 「ソレで!」

 まさに理想の世界に転生出きる事が決まって喜んでいた。

 「職業ジョブはどうする?」

 「鍛治師で!」

 希望の役割を即答するとやはり苦笑するアウラ様。

 「不思議な人ね。普通は魔法使いとか騎士を選ぶんだけどね~、なりたい種族とかある?」

 「鍛治師だけど剣も魔法も使いたいですね…ドワーフじゃ魔法使えないですし…使えないですよね?」

 「使えるけど楽しめるほどは使えないかもね。そうね~…あっ補正がいいのであれば意外と鍛治師に向いてるのが竜族かな?」

 まさかエルフ系とかホビット、魔族でもなく『竜族』とは…

 「火の扱い的なヤツですか?」

 「火以外の竜族もいるけど、あの世界だと作った物に魔法を付ける事も可能だからね。レアな種族だし後々が色々楽しいかな~と思ってね」

 色々考えてくれてる様で嬉しい。

 「スキルは3つ付けられるけどどうする?」

 リストをピックアップしてくれたらしく鍛治系、剣士系、魔術師系と分かれている

 「鍛治の極意、刹那の剣技、火竜の申し子でお願いします。」

 「…もしかして全部鍛治の事を考えて選んだ?」

 アウラ様には分かったらしい。

 鍛治の極意であらゆる物を作れるように、刹那の剣技で鍛治で正確に打てるように、火竜の魔法で炎の微調整をして完璧に作る。鍛治しか考えてない…何でも1から作りたいという思いが溢れすぎている気がする。

 「そこまで決まってるなら、オマケに色々と付けてあげるわ」 

 そう言ってマジックバックと呼ばれる収納力に優れた異次元バックを頂けた。

 「私が出来るのはここまでだから、がんばってね~」

 「ありがとうございました!」

 お礼を言うと意識が遠退いた。


______________________


 「女神様、よろしかったので?」

 「何がですか?」

 女神として肩入れしすぎと言うことだったら別に構わないと思っていた。

 「転生をお聞きにならずに転移させたことについてです…」

 「あっ…」

 でもアレだけ鍛治をやりたがっていたのだから転移でも問題ないでしょう。元の肉体は損傷が酷くて結局使えないし、竜族の体に変えて長命だし…と思い始めた女神様であった。


_____________________



 目が覚めると森の中だった。

 「おぉ~…何か空気が違う」

 地球と違い科学的な汚染が進んでおらず、空気が綺麗なことも影響しているだろう。

 そしてモンスターがいない所に落としてくれたらしい。

 よく分からない森に俺は倒れていた。


 ムクリと起きるとアウラ様に聞いていた呪文を唱える。

 「ステータス」

 目の前に透明な板が現れる。体の正面に追従するので動きながらでも見れて意外と便利だ。


 Lv.1 カズキ・ホムラ

 性別:男

 年齢:16

 種族:火竜(ドラゴニュート)/迷い人

 ジョブ:鍛治師見習い:Lv1/10

 

 《能力値》

 HP:25

 MP:15

 攻撃:6

 防御:5

 俊敏:6

 魔攻:4

 魔防:4

 知力:7

 幸運:20


 《固有スキル》

 竜族の系譜Lv1/10、女神アウラの寵愛Lv.Max、鍛治の極意Lv1/100


 《装備》

 ・絹の服

 ・マジックバック(ストレージ容量無制限)


 《スキル》

 鍛治師見習いLv1/10、刹那の剣技Lv1/10、火竜の魔法Lv1/10、鑑定士Lv1/10、無駄知らずLv1/10、クラフト魔法Lv-、言語理解Lv-



 さすがLv1だ弱い。苗字が微妙に違う…女神様のお茶目なイタズラだと思う。火だからホムラかな?別に構わないけど…

 「おぉ~…本当に竜族だ。竜に変身出来たりするのかな?」

 適当に竜族の系譜を選択すると竜変身

 『竜変身にはMPが足りません』

 ですよね~…最低でもMP30はいるらしい。鑑定士Lv1と無駄知らずLv1と言語理解Lv-が付いてる。

 いちいち食って試すとか怖いし、無駄なく合理的にアイテムを入手して使えるようになるらしい。アウラ様が色々オマケで付けてくれたんだろう…ありがたいです!


 自分の状況を整理する。体はあんまり変化してないように感じるけど髪の色が濃紺になってる。目とかトカゲみたいに細くなってるのかな?とりあえず触った感じでは角とか鱗は無いみたいだ。


 次に持ち物は…中身はオリハルコンの金槌かなづち、オリハルコンの金床かなどこ、オリハルコンの火箸ひばし、オリハルコンの砥石といし、オリハルコンのヤスリ、オリハルコンのつるはし、オリハルコンのたがね、オリハルコン2、ヒヒイロカネ2、ミスリル5、鋼10、鉄10、炭粉50、高品質な土粘土の粉末100、皮30、白檀30、干し肉50、焼き鳥20、HPポーション10、MPポーション10、鉄の刀、鉄の…


 アウラ様のありがたくも手厚い鍛治師一式とレアすぎる素材を一旦は見なかった事にして現実逃避するために、とりあえず入ってた焼き鳥を1本食べる。

 うまい…

 

_____________________

 

 

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