06 通信フグ
年1更新、今年も無事に投稿出来ました。
『◆010111◆00◆◆◆01011100◆00010001100101◆◆1◆1◆00100110011110◆◆◆◆10◆11100000010101100101010001◆◆0101◆0◆◆◆◆110110001001110101◆110◆◆◆0101◆◆1111010◆◆……』
気付けばミドリフグのチビちゃんが、2進数めいた謎の言霊を発信していた。「おい、チビちゃん。何を呟いているんだ? もしかして錯乱状態とか、そういうのなのか? 大丈夫かい?」心配になって尋ねてみる。
すると、心此処に在らずで何処か遠方を眺めている様な焦点の定まらぬ眼をしていたチビちゃんは通常状態に復帰し『あっ、ごめんねぇ。PCNが面白くって、最近ハマっちゃって、つい夢中になって接続しちゃってたぁー』
……横文字。ミドリフグの口からの何かの略称っぽい横文字が飛び出すとは。「えっ、何それ? ……PCNって何?」『あっ、そうか。オジちゃんは人間だから、PCN判んないか。PCNはPuffer-Communication-Networkの略称だよ』
「Puffer-Communication-Network!? 何か凄くハイテクっぽい名称出てきたな」『名称はちょっと格式張った響きだけど、別にそんな大した物でもなくて、単にフグの為の仲間とのコミュニケーション・ツールだよ』
「フグ間を繋ぐコミュニケーション・ツールなんて物が存在してるの? なんか凄い、凄過ぎるだろ。吃驚だよ!!」私は心底から驚いた。『やだなー。そりゃ、同種同士で連絡取り合うコミュニケーション・ツールくらい存在してるよ』
「……そ、そうなのか。フグ界隈ではそれ普通なのかい? 常識なのかい?」『うん』チビちゃんは上下運動しながらご機嫌に答える。「……ま、まあチビちゃんに驚かされるのは今更か。因みに、電子機器とか無いのに、PCNにどうやって接続してるの?」
『簡単だよ。……ええっと、日本語でいうと“集合的無意識領域”でいいのかな? 生物の無意識の深層で繋がる先天的構造領域とかいうの。そこにね、精神を接続して利用するの。掲示板で意見の交換したり、他フグの発信してる情報を読んだり、面白いよ』
「……。凄いなフグ。……ってか、フグって皆、そんな超越した凄い能力持ってるんの?」『全部じゃないと思うよ。まだまだ、PCNって利用フグ数そんなに多くないし。今後、もっと利用フグ増えて賑わってくれると娯楽が増えて嬉しいんだけどね』
「近い未来、人類は超越フグに支配されるかもしれないな」『やだなぁ。フグはそんな事しないよ。生物皆兄弟。仲良く暮せばいいじゃない』「全てのフグがチビちゃんみたいな平和主義だと願いたいよ。因みに、PCNとは0か1の2値で情報遣り取りしてるの?」
『うーんと、ある、なし、どっちでもない、……みたいな感じ?』「重ね合わせ状態……話に聞く“量子ビット”ってのかよ。電子機器無しで量子ビット通信って、半端ないなフグ」『てへへっ。そんな大した事無いってぇ』
チビちゃんは何か照れてるが、充分大した事あるよフグ。しかしまあ、それを娯楽にしか利用しないのなら平和で有り難い事だが。でもチビちゃんと、チビちゃん以外のPCN利用フグって、本当にフグなの? フグ凄すぎだろ。
ネタとして、来年も続きを是日投稿したい。