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神に選ばれた者達のお話【完結済】  作者: KAN
ジェン・ジンの章
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第六話「ジェン・ヨウVS風読みのチウニウ」その1

風読みのチウニウ 天狗族の長であり、集落の中でも高齢で崇高な部類に入る人物。風を読むことで、天気や風の噂を読むことができる。


ジェン・ヨウ 亜人族の覚り一族と、孤立した一族の長ジェン・ジンの息子。全身を包み込むオーラ(気の結界)は変幻自在に形を変えられ、剣にもなれば槍にもなれる。オーラの色は様々有り、今後に期待。


終鬼  鬼族の長で、ライとヨウとは同じ年齢であるが、体格が違う為壮年と勘違いされがち。得物は黒塗りのオークの木で、芯に突き刺さるようにして黒い結晶石が埋め込まれている。通称「釘バット」。

性格はおこりっぽいが、意外と繊細な一面もあり、家の掃除は部下に頼らず自分で行っている。


ライ 獣人族の長で終鬼とヨウとは同じ年齢である。百獣のライオンの獣人で、全ての獣の頂点に君臨するほどの実力を併せ持っている。得物はヘパイストスの鍛冶場という活火山の鉄で作られた多節棍。普段は赤塗のオークの木で鉄の部分を隠しているが、気功を使うことによって熱を伝えて、炎を纏った多節棍へと姿を変える。雪女一族の代表、フロンと婚約を結び、これからが期待。


 「さぁて!いよいよお待ちかねの準決勝!ブロックを進んできたのはこの四名!」

 長を決めるという肩書きを棚に上げ、武闘会が終わりに近付くにつれ、感動を得る者達も増えていく。しかし、これから始まる準決勝は更に盛り上げに十分なオーディエンスとなっていた。

 「鬼族代表、終鬼選手!獣人族代表、ライ選手!覚り一族代表、ジェン・ヨウ選手!もう一人はコートに身を包んだ謎の武人!」

 「(いや、誰だよ…。)」

 誰もが牙の司会の内容に心で突っ込みを呟いた。三人の横に立ち並ぶいかついコートを纏った武人。だが、正体を知るには時間は要さないようだ。誰もが牙の隣の席に座っている者の不在を徐々に認識しているからである。武人がいたブロックの進出者は武人ではなく、別の種族の代表者であった。控室で闇討ちをしたか、賄賂で代わってもらったのかと考えられる術は瞬く間に頭の中を埋め尽くす。ジェン・ヨウは少なからず呆れていた。参加する意思はないといいながら、闘いを見るにつれて昂る感情に抑えきれなくなった老兵が正体を明かしたくないがために、似合わないコートを頭から被っているのだから。

 「では、準決勝と参りましょう!始めに闘うのは、ジェン・ヨウ選手と謎の武人です!これから更に盛り上がっていきますよー!」

 観客のボルテージは最高潮へと昇っていく。幸運にもジェン・ヨウはシード権を獲得しており、準決勝に自然と進出されており、未だにヨウは技を見せていない。その分期待度が高まっている。武人も同様ni

技を披露していない。どちらの技も知る人も若干ながらいるかもしれないが、見たことのない者達にとっては楽しみでならない。ましてや、長であったジェン・ジンの息子である。期待をしないわけがない。

 「ヨウ。相手はもうわかってんだろ?面白い闘いを見せてくれよな。」

 終鬼がヨウの肩を軽く小突く。ライも肯定する。

 「相手が相手だ。不足はないはず、お前の全力をぶつけてやれ。」

 「大丈夫。あと、ウォーミングアップはしておいてね。次闘うのはどっちか二人なんだからね。」

 「無論、この鬼に勝てないようでは。ジンの息子に到底適わないと自負しているからな。」

 「あぁ?それはこっちの台詞だわ。おい、ヨウ。直ぐにこいつをぶっ倒してお前とガチンコ対決してやるからな!」

 舞台からいがみ合いながら二人は降りていく。と、二人が舞台から降りていくと突風がヨウを襲う。目を腕で覆いながら武人の方を見る。武人は既にコートを脱ぎ棄て、自慢の赤っ鼻と豪奢な法被が姿を見せる。

 「随分と余裕そうに二人に話すの、ヨウ坊。この風読みのチウニウは取るに足らないと?」

 コートから姿を見せたのは、誰もが予想していたであろう、解説席に座っていた天狗族の代表、風読みのチウニウであった。実況である烏天狗の牙は知らん顔で尚実況を続けており、チウニウが参加するということを薄々勘付いていたのだろう。

 「いぃや、あの二人の前にこんな大物と張り合えることが出来るのは、幸運だよ。」

 「その意気やよし。じゃが、わしはジンほど加減はできんからの!」

 チウニウが構える。その手には天狗族だけが扱える芭蕉扇を携えており、一際大きな扇である。対するヨウは構えもせずにチウニウを睨み付ける。

 「ふむ、やはりジンと同じ型じゃの。親子はやはり似ておるのぅ。」

 「僕なりのアレンジでいかせてもらうよ!」

 ヨウは気を念じる。すると、ヨウの全身をオーラのようなものが包み込んでいく。それは徐々に赤みを帯びていくと、ヨウの目は一層細くなる。

 「赤の陣。殺傷性があるからご注意を。」

 「ふふっ、そのぐらいでなくてはな。」

 ヨウの身体が一瞬にして、消える。風の流れを読み、チウニウは横を振り向く。ヨウはチウニウの横を回し蹴りで薙ごうとしたが、芭蕉扇で弾かれる。蹴りの威力に芭蕉扇は身を震わせるがチウニウの手は震えてはいなかった。ヨウは芭蕉扇を踏み台にその場で更に回転させ、踵落としをチウニウの脳天へと食らわせようとする。が、チウニウは不敵な笑みを浮かべる。ヨウが気付いた時にはヨウの身体は強烈な突風により壁へと突き飛ばされる。芭蕉扇でヨウの回し蹴りをする以前に遅延型の強烈な突風を煽いでいたのだ。風読みと呼ばれるだけのことはある。壁は大きな音を立てて壊れ、ヨウは苦悶の表情を見せるが直ぐに舞台へと戻る。と同時に、チウニウが仕掛けていく。

 「我、この場に大いなる災厄をもたらさん。召されよ、幻獣鎌鼬。」

 芭蕉扇を大きく振りかぶると、鎌を携えた幻獣、鎌鼬が召喚される。特殊な契約をすることによって魔法陣から幻獣などを召喚することが出来る召喚術がこの世界には在る。が、誰もチウニウが召喚術を使えるとは思っておらず、驚きを隠せないでいる。無論、妖怪の中にも鎌鼬がいるがその頂点に立つとされる元祖の鎌鼬は幻獣とされていたのである。

 「召喚術…。いつの間にそんな手品を持ってたんだが。」

 「主の力を借り、この場に大いなる嵐を起こす。」

 チウニウと鎌鼬はそれぞれの得物を構え、振り挙げる。すると、舞台を覆いつくさんと、全てを切り刻む巨大な竜巻が出現する。ヨウは畏れることなく、竜巻を睨み付ける。

 第六話を読んで下さり、ありがとうございます。作者のKANです。初めましての方は初めまして。

 さて、第六話まで来たということなんですが、まだまだお話は終わりませんよー。

 「あのぅ…。」

 おや?あなたは、舞台の一番上に居た謎の人物Aさんではないですか。

 「まだ私の出るお話にはならないんですか?」

 今後に期待です。

「前書きのライさんみたいな話の飛ばし方をしないでください!」

 いえ、ヨウとチウニウの闘いが終わった暁には出る予定なので、侵入者さん。

「ぶっこんできましたね!?」

 あはは、ここはあとがきですので悪しからず。では、第七話でお会いしましょう。

「しめちゃった!?」

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