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愛を知らない私とゲイな君  作者: 積木 そら
9/10

ハル2

椎葉(しいば)ちゃんがトイレに行ってしまったので俺一人レストランのテラス側の席に案内された。

窓ガラスに映る"自分じゃないみたいな自分”

(何やってんだろ俺、、、)


(かける)、、、?」



突然自分の名前を呼ばれ顔を上げるとそこには蓮さんがいた。


「なんつー格好してんだよ、、、」


「え、何でここに(れん)さんが?」

「おまえこそ何で、、、って、、、、海鈴(みれい)の仕業か、、、」



呆然としていたら突然LINEのメッセージが届く


『あとは二人でデート楽しんでね 椎葉』


やられた、、、


「椎葉ちゃん、、、一体どういうつもりなんだろ、、、ってすみません、帰りますよね、帰りましょう!」

「、、、腹へってないの?折角だし何か食おうぜ?」

蓮さんは大して気にもしない態度で席につくとメニュー表を俺に差し出した。

「あ、、、でも、、、すみませんなんか、こんな格好で、、、」

「どうせ海鈴の悪ふざけに付き合わされたんだろ?しっかし化けたなー、おまえ海鈴に遊ばれ過ぎ」

下がり眉で笑う蓮さんを見て、この人は椎葉ちゃんの話する時ホント優しい表情するよなぁ、、、と思った。

「よく俺だって分かりましたね、結構いつもと違うと思うんですけど」

「いや、やたらデカイ女がいるなと思って」

「ははっ、たしかに、、、こんな背の高い女の子そうそういませんよね」

「いや、背じゃなくて胸」

「え」

蓮さんが俺の胸元をジッと見てくる。

「なに詰めてんの?」

そう言って胸元に手を伸ばしてきたので

(いや~椎葉ちゃんがタオル無理矢理詰めてきて~)

と答えようとしたが周りの人達の視線に気付いて蓮さんの手を払った。

「蓮さん、、、一応周りの目があるんで、、、」

「あはは、わり、周りの人間からみたら俺がお前にセクハラしてるみたいだよな」


最初会った頃よりも蓮さんは俺に対して気を許してくれてるのか表情が柔らかくなった気がする。

俺と身長大して変わらないけど体つきが全然違うんだよな、、、

綺麗に筋肉がついてるんだろうなって服の上からでも分かる

パット見チャラそうだし言葉遣いは乱暴だけど話し方は優しい

そして何より声がエロ、、、いや、セクシー、、、?

乗ってる車は高級車だし来てるものはさりげなくブランドだし、、、時計とかそれ幾らだよって感じ、、、

モテるんだろうな、、、絶対、、、


「なんだよ、穴が空くっつーの」

ジーっと見てた俺に対して蓮さんはデコピンしてきた。

「いて、、、あーー、あの、蓮さんって彼女さんとかいるんですか?」

「、、、何?気になるの?」

面白そうにこっちを見てくるその表情は何だか人を小バカにしたような感じだ。

「モテるんだろうなーと思って」

「別にそんな事ねーよ、殆どの女は金に寄ってきてるだけ」

(やっぱモテるんじゃん、、、、)


この前蓮さんが言ってた言葉

蓮さんにとって椎葉ちゃんは全て、、、

仮に蓮さんが椎葉ちゃんの事好きだとしても椎葉ちゃんはAセクだからどう足掻いても結ばれないわけで、、、

そうやって考えると胸が痛い


蓮さんが可哀想というより、、、そこまで蓮さんに想われてる椎葉ちゃんが羨ましいというか、、、


あれ、俺なんで、、、、


目の前のフェロモン駄々漏れイケメンのパワーにやられただけだよな、、、


やばい、なんか急に目を見れなくなった、、、


「翔?」


俯いた俺の顔を蓮さんは覗き込む。


「もしもし翔くーん」

「、、、」

「何?腹痛いとか?」

「いや、別に、、、あ、でも、、、風邪気味かも、、、」

自分でも苦しい言い訳だなと思った。

しかし次の瞬間大きな手の平で額を覆われた。

「熱はねーな、、、でもなんか顔赤くねおまえ?」


(アンタがさわるからだろーーーーー)


「この後、俺の家で酒でもどうかなって思ったけど、体調悪いなら海鈴のマンション迄車で送ってやるよ」

「え、あ、、、いや、、、大丈夫、、、、です」

「そっか、、、でも一人で帰れるか?」

「いや、、、そうじゃなくて、、、、お酒、飲みにお邪魔しても、、、良いですか?」


俺が恥ずかしそうにそう言うと蓮さんは“そっちか”と言って優しく笑った。








蓮さんのマンションは椎葉ちゃんのマンションに負けず劣らずの高級タワマンの上層階だった。

生活感の無い黒を基調としたモデルルームみたいな部屋だ。

「酒となんか簡単なツマミ準備するから座って待ってろよ」

「え、じゃあ俺も手伝いますよ」

「いいよ、今日くらいゆっくりしてろよ」

仕方なくリビングのソファに腰を掛けた。

なんだか落ち着かない、、、

キョロキョロと部屋を見渡すと、出窓に置いてあった古めかしい写真たてに目がいった。

飾り気のないこの部屋に、その写真たては随分と浮いてるように感じた。

ソファから立ち上がり、その写真たてを手に取った。


幼い子供が三人、砂浜を背に笑顔で写っていた。

直ぐにそれが蓮さんと椎葉ちゃんだと分かった。

もう一人の男の子は誰だろうか。



「翔、おまえいつまでその格好でいんだよ、あ、部屋着貸してやろうか?」

キッチンから顔を出した蓮さんと目があった。

「蓮さん、、、この写真、、、これって椎葉ちゃんと蓮さんですよね」

「あぁ、、、施設で生活してた頃の写真だよ、たしか小学校4、5年くらいの時かな」

幼い椎葉ちゃんはまるで人形みたいだ。今は見ることのない無邪気な笑顔だった。

「ほら、これ着て良いから」

写真を見ていた俺に蓮さんは部屋着を渡してくれた。

「あ、有難う御座います」


ここで、、、着替えるの、、、

なんか恥ずかしいな、、、


「あ、蓮さん、、、洗面所借りても良いですか?」

「勝手に使えよ、、、ってまさか着替えるため?女子かお前は(笑)って女子みたいな格好だけどな」

「はは、、、ですよね、じゃあここで着替えようかな、、、」


ワンピースの背中のホックがなかなか上手く外れずモタモタしてたらキッチンから顔を出した蓮さんに呆れられた。

「顔に似合わず不器用だな、ホラ後ろ向け」

「え、、、」

「外してやるから」

蓮さんにとっては本当に何てことないただの善意なわけで、分かってはいるけど俺の顔はまるでリトマス試験紙みたいに一気に熱をもって赤くなった。

流石にこの顔を見られるのは気まずいと思って俺は慌てて後ろを向いた。

「ほれ、外れたぞ」

心臓がドッドッと鳴る。

反応の無い俺に蓮さんはそのまま背中のファスナーを一気に下ろした。

「わわわわーーーーっ」

「え、何クロちゃんの真似?」

「あ、ちょっ、、、やっぱ洗面所借ります!」

そのまま逃げるように洗面所へ駆け込んだ。



やばい、、、何これ何これ何でこんなに心臓うるさいんだ


借りた部屋着をギュッと掴んで恥ずかしさのあまり顔を埋めた。


(蓮さんの匂いだ、、、やばい、、、)


「俺変態かも、、、なんか、、、エロい気分になってきた、、、最低だ、、、」


袖を通した部屋着は華奢な俺にはサイズが大きく表情共々なんとも情けい姿を洗面所の鏡に写し出していた。






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