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愛を知らない私とゲイな君  作者: 積木 そら
10/10

ハル3

ファスナーを下ろした時に見えた翔の背中は華奢な上に真っ白で肩甲骨が綺麗に浮き出ていた。

簡単なツマミと酒をリビングのテーブルに並べたものの肝心の客人はまだ洗面所から出てこない。

「流石にファスナーを下ろしたのはまずかったか、、、」

あの驚きよう、、、

翔はゲイなわけで、もう少し気を使うべきだったと後悔した。


あまりに遅い翔が心配になり洗面所のドアをノックした。

「翔~、、、どうしたー?ツマミ出来たぞ」

少しの間の後、ドアがゆっくり開いた。

俺のスウェットが翔には大分デカかったらしくダボダボだ。

「おまえホントに華奢だよな、身長俺と大差ないのにな」

「蓮さんは綺麗に筋肉ついてますよね。筋トレとかしてるんですか?」

「時間あるときにジム行く程度。ってか翔、お前は筋トレうんぬんよりも先ずはもっと飯食え、細すぎんだろ」

「結構食べる方なんですけど、俺食べても太らないんですよね」

「世の女を敵に回す台詞だな」






さっきまでやたら緊張しているような様子だったのに酒が入った途端、ご機嫌翔の出来上がりだ。

「おーーーいしーーーーおいしーおいしーーーー」

翔は俺の作ったツマミをやたら褒め称え酒をどんどん飲み干していく。

酒が入っても全く変わらない俺にとって、ここまで豹変する目の前の男はなかなか興味深い。

「蓮さん飲んでますかーーー?!盛り上がってますかーーーー?!」

「はいはい飲んでるよ、お前ほんと酒飲むとテンション上がるな」

「蓮さんは飲んでもテンション低いままですねー」

「いや普通だろ」

「蓮さんは椎葉ちゃんの前だとよく笑いますよね」

拗ねたような口調の翔に思わず苦笑した。

「何ヤキモチ?」

「ヤキモチです」

「ははっ、、、翔の前でもこうやって笑ってるだろ?」



俺はゲイではない。

でも不思議と翔が俺に向ける好意に嫌悪感はない。

寧ろ慕ってくれる弟のように可愛いとすら思える。

最初は海鈴に近付く変な害虫かと思って邪険に扱ったりもしたが、、、。



「蓮さんは、、、虚しくならないんですか、、、どんなに椎葉ちゃんの事を想っても、蓮さんの気持ちに椎葉ちゃんは応えてくれないんですよ」


酔った翔は遠慮なく厄介な質問を投げてくる。

答えるのが面倒なので翔の瞳をジッと見つめ髪を撫でてやると驚いたようにガラス玉の瞳が見開いた。

「なっ、、、なにす、、、、、」

そのままソファに押し倒してやると白い肌がみるみる赤くなった。

「翔」

「え、、、」



「おまえは見返りがないと誰かを愛せないのか?」

「、、、、」

「俺は海鈴に最初から何も求めてない、だから虚しいもなにもない、、、翔には俺がそんなに虚しく見えるか?」

「それは、、、」

翔は俺の視線に耐えかねたのかサッと逸らした。


「だったら慰めてもらおうか」

「え、、、ちょっ、、、」


近付く俺の顔に翔は顔を真っ赤にしギュッと目を閉じた。

流石にいじめるのはここまでにしておこうと思い額に思い切りデコピンしてやり翔の上から退いた。

「いって、、、」

「冗談だよ」

「え、、、なっ、、、」

「おまえが酔った勢いで面倒臭い事聞くから苛めたくなっただけ、、、って翔?どうした?」

俺が退いても翔はソファに倒れたままだ。

「、、、いや、、、蓮さんにキスされるのかと思って、、、まだ心臓が、、、」

「女子かおまえは!ってか子供か!」




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