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桜うさぎっ!  作者: 夢見
桜うさぎっ!闇氷を溶かすチェリ!
3/12

[第二話 手先器用な体育会系!? 目覚める黄色の戦士]

紅「よっ!…ほっ!…

チェリブロステッキ!」


コォン!


紅「よしっ!…おっとw」


今ベニブロは街の中心に位置する

山の中にいる。


その中でもひときわ背の高い木の枝に、紐付きの丸太を5本程付けて

揺らし、それを敵にみたてて

特訓していた。


桜の妖精、チェリーは

お昼寝真っ最中だw


ベニブロこと染好は

あれから(第一話参照)学校の帰り、

よほどこの姿が好きなのか

家に帰りたくないのか…

毎日のようにここ

木ツ女山に通っていた。


バキッ!


紅「あ…また丸太折っちゃった…

力加減、意外と難しいのね。

新しい丸太探してこよっと。」


ベニブロは周辺から手頃な丸太を

見つけると、ひょいっと持ち上げて運び、紐を付けて木に結びつけた。


紅「この姿になってる時

ものすごい力が出るんだよなぁ〜、

筋力も強化されんのかな。」


…とまぁこんな感じに丸太をたまに折ってはつぎ足し特訓に戻るのを

繰り返していった。


紅「お!6時ジャスト!

今日はこんなもんか。

こんだけ遅くに帰れば1人でいる

時間が増えるってもんだ!


ほら帰るよチェリー!」


チェリー「ムニャ…

わかったチェリィ〜。」


ーーーーーーーーーーーーー


しばらく歩くと、とある一軒家に

たどりついた。

そう、ここは染好の家だ。


染好は玄関に入るとただいまも

言わず靴を揃えて2階へ上がった。


1階の居間では染好の母と父、

5歳下の中学1年生の妹が

先に食事をとっていた。


染好母「染好!?

帰って来たのならただいま位

言いなさ」


バタンっ!…カチャリ


染好は自分の部屋に入ると

ドアの鍵を閉めた。


自分の世界に…こもった。


チェリー「…ただいまって

言わなくていいチェリ?」


染好「うちの親うっさいから。

私なんかいらないとか思ってるし、梅子(染好の妹)がいれば…

それでいいのさ。」


チェリー「染好…」


幸い、染好の家は普通の世帯より

お金は持っている方で

2階にもお風呂とトイレがあった。


それが染好が自分の世界に

こもることの助けになり、

こもることを促している。


染好は自分の家族が食事をしている隙をついて風呂とトイレを素早く済ませ、コンビニで買ってきた晩ご飯を食べた。


チェリーには大福を買ってあげた。


チェリー「(もきゅもきゅ…)

大福ってとても美味しいチェリ!

あたしの国にあった桜餅と同じ餡が入っているチェリ。」


染好「チェリー大福大好きだよねw

食べている所完全に小動物だわw」


チェリー「(パクッ!もきゅもきゅ…)

おいひぃチェリ〜♡」


2人は一緒に晩ご飯を楽しんだ。


孤独だった染好の食事に

一緒に食べる仲間ができた。


ーーーーーーーーーーーーー


次の日の朝、染好はいってきますも言わずに家を出た。


…家族に会いたくないのか、

昨日晩ご飯を買う時に今日の朝ごはん、昼ごはんまで買うという

徹底ぶりだ。


染好「あぁ〜今日確か

美術があるんだっけ、

がんばんなきゃな…」


チェリー「美術チェリか、

桜の国では桜の木を使って

よく彫刻を作ってたチェリ。」


染好「へぇ〜、

どんなの作ってたの?」


チェリー「今あるチェリよ、

ほら!」


………。


染好「チェ、チェリー、これは?」


チェリー「え?どこからどうみても

馬にしか見えないチェリよ?」


染好「首長すぎだよ…w

それじゃキリンだってw」


チェリー「え?本当に馬チェリよ?

馬ったら馬チェリー!(恥)」


染好「はいはいw」


ーーーーーーーーーーーーー


3時間目、染好は美術室にいた。

鏡を見ながら自画像を描いている。


ダラダラと描いているが…

元々物作りが大好きだった染好だ、

なかなかの出来だ。


チェリーはこの前のように

1本のデコられたペンに化け、

染好の胸ポケットにいた。


染好「あ〜…暇だな…。」


誰よりも早く絵を完成させ、

暇になる染好。

ふと窓の外を見ると

違うクラスの生徒達が

体育の授業をしていた。


そんな中…ひときわ体力が

ずば抜けている人物がいる。


染好「うわぁ…!」


今向こうはハードルを使った

授業をしているようだが…


1人、

茶髪のポニーテールの女の子。

4レーンの1番外側にいるにも

かかわらず、どんどんクラスメートたちを追い抜いている。


ハードルを飛び越える時も

走るスピードは変わらない。


どうしても気になった染好は

勇気を出して隣の女子に

話しかけた。


染好「あ、あの…」


「ん?どうした吉野さん?」


染好「あの子、知ってる…?」


「あの子?…あぁ江戸のことね。」


染好「知ってるの!?」


「しっw 授業中w

あの子の名前は江戸飛岸(えどひがん)

っていうの。


元々はスポーツ推薦でこの学校に

入ったらしいんだけど、

高校1年生の後半…あたりの時に

事件があって、

その時に部活の先輩に足を

使えなくさせられたみたい。


かわいそうに…今はああやって

走れてるけど、部活への復帰は

無理らしいよ。」


染好「あぁ、確か体育の倉庫に

呼び出されてなんとか…

当時の高校2年生が

退学になったやつ?」


「そうそうそれそれ。

それ以来誰とも関わらなく

なっちゃったんだよね…

話しかけてもいつも無愛想。」


染好「そうなんだ…

教えてくれてありがとう。

(…すごい人なのにな。)」


染好は話を聞いた後、

授業が終わるまで飛岸が

運動している所を見ていた。


ーーーーーーーーーーーーー


4時間目が終わって昼休み、

ロッカーにチェリーと大福数個を

入れて鍵を閉めずに閉じると、

染好は隣のクラスに

足を運んでいた。


ちらっと教室を除くと、

江戸飛岸はすぐ目の前にいた。


どうやら教室の扉に近い席らしい。


普通より多めの弁当を

ガツガツと食べている。


染好(やっぱり誰かに似てるな…

誰に似ているんだっけ?)


「飛岸ちゃ〜ん!」


染好(!)


しばらく観察していると、

飛岸のクラスメート集団が

飛岸に話しかけた。


…見た感じ、

運動部の生徒みたいだ。


1「あの…飛岸ちゃん、

今話せるかな?」


飛岸「ちゃん付けはやめろよ、

気持ち悪い。」


1「あはは、ごめんごめん。」


2「江戸、やっぱりうちら

諦めきれないんだ。


江戸は陸上部には

戻れないかもしれないけど…

あまり走り回らないバレーなら、

足に爆弾をかかえた江戸でも

できると思うの。」


飛岸「つまり何が言いたいのさ?」


2「うちらの部活、

バレー部に入って欲しいんだ。

江戸みたいな有力な人に

入部して欲しい。」


飛岸「断る。

バスケ部にも同じこと言われたよ、

でも部活にはもう入らないって

決めた。」


2「でもさ、」


飛岸「ごめん、入りたくない。」


3「もぅ!ちょっと強情過ぎよ!!

こんな性格ならあの事件で

襲われても当たり前ね!」


それを聞いた飛岸は持っていた箸をバンっと机に叩きつけて

立ち上がった。


飛岸「あんたらに

何がわかるわけ!?

運動部入れたら入ってるし!

二度と関わんな!!」


そう絶叫すると、小走りで教室から出ようとした。


…そこには染好がいるw


染好「うわっ!?」

飛岸「え!?」




ドッシーン!!




2人は正面衝突をしてしまった!


染好「いたた…大丈夫ですか?」


飛岸「…」


飛岸は染好の手を取って

立ち上がらせると、

そのままどこかへ行ってしまった。


後を追いかけてきたのか、

飛岸のクラスメートも

染好に駆け寄ってきた。


1「あっちゃ〜、ぶつかったのね…

飛岸ちゃん見なかった?」


染好「えっと…ごめんなさい、

助けてくれた後

すぐにどこかへ行っちゃって…」


1「見失ったのね。

どこ行っちゃったんだろ…」


2「なんであんな言い方したのよ!あの事件のことは

江戸には禁句よ!?」


3「調子乗ってんのかと

思っちゃって…

でも江戸も拒み過ぎじゃない?

陸上部以外の部活には

もう入れる状態なのに。」


2「確かになにかトラウマは

ありそうね…でもあの言い方は

ダメだよ。」


3「ごめん…」


ーーーーーーーーーーーーー


その日、飛岸は放課後まで

ずっと保健室にいた。


保健室のふかふかの布団の中で

泣き明かしていると、

いつのまにか放課後になっていた。


カーテンを開けると、

そこには飛岸の荷物があった。


保健室の先生「あなたの

クラスメートが

持ってきてくれたのよ。

もう放課後だし

このまま帰りなさい。」


飛岸「…はい、

ありがとうございました。」


荷物を抱えて保健室を出て、

学校から出てある場所に向う飛岸。


そこは飛岸の妹が

よく遊ぶ公園だった。


飛岸「梅雨(つゆ)

この前は足を痛めて来れなかった

けど…今日は迎えにきたよ!

…ん?」


梅雨「あ!おねえちゃんだ!

おねえちゃぁ〜ん!」


梅雨は染好と一緒に似たような

ぬいぐるみで遊んでいた。


飛岸を見つけると、

すぐに近寄ってきて抱きついた。


飛岸「梅雨、あの人は…?」


梅雨「ぬいぐるみのけがを

なおしてくれた

染好おねえさんだよ!」


飛岸「染好?あぁ、

確か隣のクラスの…あ、」


飛岸は引きつったような表情をみせると、すぐに染好に謝ってきた。


飛岸「ごめん!

ぶつかったのに無愛想で!


あの時はひどいこと言われて

腹が立ってたんだ…怪我はない?」


染好「大丈夫。ほら、この通り。」


飛岸「よかった…

ほら、あたしは変に

体力あるじゃん?」


そう言った時に一瞬出た

飛岸の悲しそうな顔を見て

染好は珍しく積極的に出た。


染好「…へ、変じゃないよ。」


飛岸「え?」


染好「だって、今日の4時間目の

体育の時もめちゃくちゃ早かったし、かっこよかったよ。

だから…えっと…」


それを聞いた飛岸はクスッと笑うと、先ほどよりにこやかに話した。


飛岸「ありがとね、

褒められたの初めてだよ。」


その笑顔をみてほっとする染好。


染好「初めてなの?」


飛岸「まぁね、今まで普通より

運動神経がいいからって

ライバル視されたり嫉妬されたり

してたからねw」


染好「…ひどい。

自分より優れてるからって

そんな風に見るなんて…」


飛岸「共感してくれるん?

なんかもう泣きそう…w

ここまで気楽に話せたのは

あんたの前以来…久々だよw」


染好「私も、こんなに

楽に話せたのは初めて。」


飛岸「なんかうちら、

なんだかんだで仲良くなれそうねw


あたし江戸飛岸!

呼び方は自由でいいよ!

あと敬語禁止ね。」


染好「吉野染好です。

よろしく、飛岸。」


飛岸「うん!よろしく!」


そう言って手を取り合う2人、




…それを横切る一つの影。


「あらあら、

美しい青春じゃないの♡」


その透き通った声と共に吹いた

冷気に驚いて2人は後ずさった。


目の前にはスタイルのいい

半透明の女性が立っていた。


梅雨「あ!

わるいおねえちゃんだ!」


「「アイス」よ!

私が見られた第一声がそれ…?

失礼なガキね!」


飛岸「なっ…何!?

梅雨!先に帰ってなさい!」


梅雨「はぁ〜い。」


染好「冬将軍の手下…!」


飛岸「え、何?手下?」


困惑する飛岸の横で会話を続ける

染好と半透明の女性。


アイス「あら、知ってたのね。

人気者は情報が早い物ね♡」


染好「(うわぁ…痛いなこの人。)」


アイス「ふぅん…

コールドの言うとおり

この小娘2人、確かに強い魔力を

持っているようね。


今回は面白くなりそう♡」


アイスは周辺に黒い柴犬の散歩を

している女性を見つけると、

柴犬に魔法をぶつけて凍らせた!


飛岸「ひっ…!?」


すぐさま飼い主の顔が凍りつく。


飼い主「くろまめ…!?」


そこにすかさずアイスは飼い主に

魔法の冷たい風を浴びせた。


すると飼い主の胸の辺りから

うっすらと光るハート型の氷が

出てきた。


飼い主はその場にどさっと倒れる…


ハート型の氷にアイスはすかさず

先ほどより強力な魔法をかけた!




アイス「フローズンハート!

その冷たさで全てを冷やせ!!」




魔法をかけられたハート型の氷は

ビキビキとひび割れながら

膨れ上がり、色付き、

巨大な黒い犬の化物になった。


見られるのを覚悟にしたのか、

今までぬいぐるみのふりをしていたチェリーが大きな声を上げた。


チェリー「染好!変身チェリよ!」


染好「わかった!」


飛岸「え、ぬいぐるみが

しゃべった!?

これはどういう…」


チェリー「詳しい説明は後チェリ!

今は隠れるチェリ!」


染好は飛岸とチェリーが隠れたのを確認すると、自分のバックから

変身ステッキを取り出して

竹とんぼのように回し、

光を貯めて上に突き上げた!


染好「桜の力!


紅色の輝き!


チェリブロチェーンジっ!!」


そう染好が絶叫すると、

ステッキからたくさんの桜の花ビラが生まれると、染好の首の辺りからつま先に至るまで全てを包み、

最後には発光しながら弾けて

染好をベニブロに変身させた!




紅「春に咲き誇る赤き花!

桜うさぎっ!ベニブロ!」




アイス「やっておしまい!!」


そうアイスが化物に命令すると、

化物は「バウッ!」と鳴いて

ベニブロに飛びかかった!


紅「チェリブロステッキ!」


ベニブロはすかさず魔法のステッキを出現させて化物に向け、

黒いボタンを押した!


紅「桜の力!

花ビラと共に風よ吹け!」


そう叫ぶと、ステッキから

強力な桜吹雪が吹いて襲いかかってきた化物を押し返し、

宙に浮かせた!


その後化物より高く飛び、

落下スピードも利用して

化物に上から

キックをお見舞いした!!


紅「やあぁっ!!」


ドカッ!!


益々スピードを上げ落下する化物、

ドオオン!と音を立てて公園の

ど真ん中に激突した!


かなりの大ダメージだったのか、

起き上がった化物は

少しフラフラしている。

だが浄化するには

まだダメージが足りなさそうだ。


アイス「なかなかやるわね、

コールドが失敗したのもわかるわ。


…うふふ、あはは!

やっぱりあなた面白いわ!

これは試してみる価値は

ありそうね!」


紅「試す?

一体どういうことよ!?」


アイス「コールドによると

あなた、筋力が普通より

あるみたいね。


前にコールドの闇氷を

一撃で倒したみたいだし。」


紅「闇氷?」


アイス「おっと、口が滑ったわw

まぁまずは…

やられちゃいなさい♡」


そうアイスが言った瞬間、

ベニブロは何かの衝撃で

横に吹っ飛んだ!



紅「っ…!?」



なんとか体をひねって

着地するベニブロ。


だが着地瞬間また衝撃で

吹っ飛び、今度は地面に

叩きつけられてしまう。


紅「ひあ…!?」


ドッ!…ズザザザザ…


紅「うぅ…痛たた…」


ベニブロへの攻撃を成功させた化物は一旦アイスの元へ戻ってきた。


アイスは与えられた命令を

成功させた化物の

アゴを撫でながら

褒めている。


アイス「うふふ♡予想通り♡

あなたはやっぱり

力に特化していたのね♡


でもその分速さには劣っていた…

私の闇氷を速さに特化させて正解ね♡


さぁ!やられちゃいなさい!!」


紅「誰があんたになんか

やられるもんですか!」


ーーーーーーーーーーーーー


ベニブロと化物が再び対峙する頃、

飛岸はチェリーの説明によって

事をだいたい理解していた。


飛岸「それじゃあ、

あの化物は人の心なんだ。

染好はそれを取り戻すために…」


チェリー「そうチェリ!

でもかなり追い込まれてるみたい

チェリ…」


飛岸「…ねぇ、チェリーちゃん、」


チェリー「何チェリ?」


飛岸「あたしにもその契約って

やつさ、結んでくれないかな?


確かまだ変身ステッキは

2本も残っているんでしょ?」


チェリー「ほぇ!?

いいチェリか?

すぐに戦うことになるチェリが…」


飛岸「構わない!

それに…せっかく友達になったのに

あのまま染好を

見ているだけは嫌だよ!」


チェリー「わかったチェリ!」


そうチェリーが言うと、

2本の変身ステッキの内

うさぎの形をした宝石が

2つ付いた方をを取り出して

何やら唱え始めた。


チェリー「今から飛岸に合うように

変身ステッキを調整するチェリ!

準備はいいチェリか?」


飛岸「うん!いつでもこい!」


チェリーは飛岸の返事にうなずくと、大きく息を吸い込んだ。


チェリー「チェリレリ

ルリリレリーズ!」


1つ目の呪文で変身ステッキの宝石に光が灯り、


チェリー「チェリチェリ

チェリリルリース!」


2つ目の呪文で飛岸は

ごく微量な動悸を覚え、


チェリー「レリルリーズ

ルリリース!」


3つ目の呪文で変身ステッキと

飛岸の心が共鳴した!


変身ステッキは飛岸の鼓動に

あわせて点滅している…


チェリー「これでこの変身ステッキは飛岸専用になったチェリ!


変身する時は「桜の力!黄色の

輝き!チェリブロチェンジ!」って

言えば変身できるチェリよ!


しっかし心配チェリ…

ベニブロは大丈夫チェリか?」


そう言ってチェリーが戦いの様子を見ようと茂みから顔を覗かせようとすると、


ドコオッ!!


紅「きゃあぁ!!」


強い衝撃と共にベニブロが

飛岸たちの1つ隣の桜の木に

激突した!


チェリーが変身ステッキを調整している間もダメージを食らっていたのか、目もうつろで傷だらけだ…


飛岸「わわっ!?

染好!?大丈夫!?」


それを見た飛岸とチェリーは

ベニブロにはいよった。


紅「痛…い…」


飛岸「染好!!」


チェリー「しっかりするチェリ!」


アイス「しぶといわねぇ

まだ懲りずによけていたの?

早く楽になりなさいな♡」


そう言ってベニブロのいる茂みに

近寄るアイス。


ベニブロはそれを

みのがなさかった。


紅「桜の力よ…!

その力を凝縮しぶつけたまえ…!」


ステッキを掴んでいる痛む腕を

無理矢理ふってアイスの不意を

狙って光の球を喰らわせた!


ドォン!!


アイス「あぁ!?私の顔に傷が…

この…小娘があああ!!」


絶叫して茂みの枝や葉を

蹴り飛ばし、

ベニブロにかかとおとしを

くらわそうとするアイス…!


チェリー「危ないチェリ!!」


ドカアッ!!


鳴り響く音、強力な衝撃。

アイスがかかと降ろしを

喰らわせたのは…




ただの地面だった。




ベニブロは飛岸にすばやく

連れられて別の茂みの中で

寝かせられていた。


飛岸「染好、待ってて。

すぐ終わらせてくる。」


紅「飛岸…?」


飛岸は茂みから出ると、

アイス達の前に立ちはだかった。


アイス「ん?あんた何よ?

あんたもあたしの顔に

傷を付けたいわけ?」


飛岸「アホらし…

その事にしか観点いかないんだw」


アイス「な…!?笑うな小娘!!」


飛岸「うるさいなおばさん、

なるべく速くその人の心を

返してもうよ!」


飛岸は気持ちを固めるかのように

変身ステッキをぎゅっと握りしめ、

上に掲げて呪文を唱えた!




飛岸「桜の力!


黄色の輝き!


チェリブロチェーンジっ!!」




…すると、ステッキの宝石は

強い黄色の光を出し、

飛岸を包み込んでいった!


ステッキからたくさんの桜の花ビラが生まれると、飛岸の首の辺りからつま先に至るまで全てを包み、

最後には発光しながら弾けて

飛岸の姿を変えた!


染好とは違い、妖精のようだけど

ピシッと決まったの服に、

ちょっぴりクールなスカート。

手袋は染好とおそろいの

絹の桜色でピシッと決めて、

黄色いうさぎの

エンブレムがついたブーツ!


シンプルな紐のペンダントには

大きな黄色いうさぎのチャーム、

背中には大きな桜の花びらの

形をした裏地が黄色い

ピンクのマント!


飛岸が強めにベシッと頭を叩くと、

茶髪だったポニーテールは

短くなって黄色く染まり、

可愛らしい長い耳が2つ現れた!




黄「春に咲き荒ぶ黄色き花!

桜うさぎっ!キブロ!」




黄「へぇ〜、すごいもんだねw

なんかもっと速く動けるように

なった感じがするわな。」


アイス「あんたも桜うさぎ

だったわけ!?


ムキィー!!腹が立つわ!?」


黄「今桜うさぎになったんだよ!

あんたアホか?」


アイス「この…!

小娘!毒舌も大概にしないと

こんな風に痛い目に合うよ!」


アイスが手を前にやると、

横でアイスに甘えていた化物が

ものすごい速さでキブロに

襲いかかった!


それにもかかわらず、

キブロは涼しい顔をしている。


黄「えっと、確か染好は

こんな風にやってたっけな…


チェリブロステッキ!」


キブロが前に手を突き出して

そう言うと、黄色い光が

彼女の手から溢れて

パァンという音と同時に弾け、

ベニブロと同じようなステッキが

キブロの突き出した手に

飛び込んできた!


違うところがあるとすれば、

先端にうさぎのエンブレムの形を

した宝石が金色の金具に

はまっている点。


キブロはステッキの黒いボタンを押し、呪文を唱えた!


黄「桜の力よ!

花ビラと共に


アイス「風なら効かないよ!

もう簡単にかわせる程

闇氷は速くなってんだからね!」


そう言ったアイスだったが、

キブロの言った事は

ベニブロとは大きな違いがあった。




我が足に宿り強化せよ!」




そう言ってキブロはステッキて

足を軽く叩いた!


すると、ステッキから生み出された桜ふぶきはキブロの足へと向かい、

キブロの足にまとわり付いて

ほんのりピンク色の

光を宿らせた!


そうこうしてる内に

キブロの目の前までせまる化物。

このままではベニブロのように

攻撃を受けしまう…


ところが…!




黄「加速!」




そうキブロが言うと足に宿っていた光が強まり、キブロのスピードを

大幅に上げた!


いとも簡単に化物の攻撃を突進だと判断し、紙一重にかわしてみせた!


化物は止まれずに地面に激突する。

その事に激怒したのか、キブロにまた攻撃を仕掛けた!


キブロは化物と並行に広い公園をものすごいスピードで走り回り、

横から度々攻撃した!


アイス「何をやってるのよ!?

もっと速く動くのよ!」


と、アイスはほざいているが、

化物はこれが精一杯のスピードだ。


そうこうしている間にも

戦闘は続いている。


キブロは急カーブを仕掛けると、

化物のスピードが

わずかに遅くなった。


黄「強化!」


化物の脇腹に回り込むとキブロは足にかかっていた桜の魔法を加速から強化に切り替え、化物に

強力なキックを食らわした!


黄「どりあぁっ!!」




ボカッ!!




化物は蹴られた勢いに元々走っていたスピードが加わり、バランスを

崩して大木に激突した!


大木から衝撃で落ちてきた木の葉が化物にどさっとかかるものの、

化物はピクリとも動かない。


もう浄化できるまでにダメージが

溜まったようだ。


ベニブロを手当していたチェリーがそれを見てキブロに助言をした。


チェリー「今チェリ!

白いボタンを押して必殺技を

発動するチェリ!!」


それを聞いたキブロは、

上に振り上げるのと同時に

白いスイッチを押した。


すると、七色のランプが順々に光り

最後に光った先端の宝石は今までにないくらい強烈な光を放った!




黄「冷えた心よ温まれ!


チェリブロラビット!

イエローフローラル

シューター!!」




キブロが勢いよくステッキを振ると、大きな黄色いうさぎの

エンブレムが輝きながら飛び出し、

化物に直撃した!




化物「ハルウララァー!!…」




必殺技をくらった化物は

色をだんだん失いながら

大量の水蒸気を出して蒸発し、

最後にはキラキラ光る

ハートのオーブが残った。


アイス「むきぃー!!

桜うさぎが複数いるなんて

聞いてなかったわよ!

覚えてらっしゃい!!」


そう言うと、悔しそうに

また別の魔法の吹雪を起こして

どこかへいってしまった。


黄「変な人…

多分いやでも忘れないと思うw」




チェリー「染好の治療が

終わったチェリよ!


回復魔法は得意ではない

チェリが…頑張ったチェリ!」


そう染好によりそって

言うチェリー。


自分が未熟なせいで飛岸に

迷惑をかけてしまったと思う

染好は、なんて言って

いいかわからないでいた。


染好「あ、えっと…」


黄「何も言わないで染好、

自分で決めて桜うさぎに

なったから。


それに…ちょっと楽しいしねw

染好も桜うさぎの格好

にあってたよ。」


染好「そ、そう?ありがとう。」


そう言って安堵したような

表情を見て安心するキブロ。


一方チェリーは

桜の力を回収していた。


先ほど化物から出てきた光る

ハートのオーブに手をかざした。


チェリー「春よ訪れよ!」


そうチェリーが唱えると、

ハートのオーブは一層輝きだし、

1つの光を放った!


途中、その光は2つに別れた。

1つはチェリーの中に、

もう1つは凍ってしまった

子犬の中に入っていった。


すると、化物が蒸発した時とは

また違った蒸発の仕方で

子犬が優しく解凍された。


くろまめ「わんわん!」


染好「あ、そっか!

戻してあげないと。」


黄「戻す?」


チェリー「元々、あの化物は

人の心を芯に作られた物チェリ。


人の心の元の場所に戻してあげないと体の方はもぬけのからチェリ。


後、飼い主さんと

言ったチェリか?

驚かす前に変身を解いた方が

いいチェリ。」


黄「あぁ、そっか。」


キブロが変身を解いて

飛岸に戻る頃、

染好は飼い主さんの心を

優しく拾い上げて飼い主さんの

胸の上に置いた。


すると、飼い主さんの心は

キラキラと光りながら

飼い主さんの体の中に

入っていった。


飼い主「うぅ…ん…」


くろまめ「わんわんわん!」


飼い主「くろまめ…?

くろまめ!?大丈夫!?

あぁよかったぁ〜!

変な女の人に冷凍されちゃった時はどうなるかと思ったけど…

無事でよかった!!」


くろまめ「わんっ!」


染好「助かってよかったですね。」


飼い主「はい!

あなた達はなんともなかった?」


染好「大丈夫です、

特に何もされませんでした。」


飼い主「そうか…

なんでくろまめだけを…

まぁいっか!助かったしね!」


そう言って飼い主は子犬の首輪を

なおしてあげると、

そのまま散歩を再開して

行ってしまった。




飛岸「…不思議なもんだな。」


染好「え?」


飛岸「あんなに運動するのが

いやになってたのに、

桜うさぎになって走り回ってる時はすごく楽しかったんだ。


私…まだ運動が好きなのね。」


染好「そうなんじゃない?

飛岸は運動してるとこが

1番かっこいいよ!」


飛岸「ありがと染好。

これからもよろしく!」


染好「うん!よろしく、飛岸!」


ーーーーーーーーーーーーー


一方、とある場所ではアイスが

仲間に桜うさぎが増えていたことを伝えた。


コールド「増えたって!?

今度は速いのが!?」


アイス「えぇ、あの妖精…

すでに2人目を見つけていたのね。

生意気な…」


「まぁまて、コールドによれば

あの妖精が持っていた枝は3本

あったそうじゃないか。

つまりあと1人は

桜うさぎになる。


おそらく桜うさぎは全部で3名、

力、速さ、そして…


…予想だが知力。


桜うさぎがまだ3体じゃない内、

まだいい方。


3人目が知力に優れた女だとしたら…変身前に殺るのは

安易だろう。」


コールド「マジか!?」


アイス「なら速く探さなきゃね!

コールド!早速強い魔力を持つ人間を探すのよ!」




「黙れ!!」




アイス「…え?w」


「アイス、貴様は一度失敗した身。

少しはお前が出動している間にも

魔力を鍛えて反省していたコールドを見習わんか!」


アイス「はいはぁ〜い。」


そう言ってアイスは

不機嫌そうに返事をすると、

どこかに行ってしまった。


「コールド、お前はよく働いた。

魔力を使用した探索で疲労が

溜まっているだろう。

事が落ち着くまで休むがいい。」


コールド「お、おう。」


ーーーーーーーーーーーーー


染好「あの化物…闇氷って

言うのかもしれない。」


飛岸「え?なんで?」


チェリー「確かに、アイスっていう手下が闇氷って言ってたチェリね。

あたしたちも化物の事を

そう呼ぶ事にするチェリ。」


飛岸「うん、わかった。」


染好「それじゃあ、

私はまだまだ時間があるし、

ちょっと木ツ女山に

行ってくるよ。」


飛岸「なにしにさ?」


染好「桜うさぎになって

特訓してるの!

丸太とかを敵に見たてて

体動かしてるのさ。」


飛岸「へぇ〜、

地道に練習してるんだね。


私、今日はいいや。

多分、この様子じゃ

梅雨は…妹は家で泣いているだろうし、早く帰ってあげないと。


それじゃあ、また明日。

また今度機会があったら

練習付き合わせてね。」


染好「うん!また明日ね!」


染好と飛岸はスマホと携帯で

電話番号、メールアドレスを交換したあと、

それぞれの目的地に向かって

足を進めた。


チェリーも染好に付き添って行く。




残る変身ステッキは1本だ。




ーーーーーーーーーーーーー


一方飼い主、染好達のよく通う公園とはまた別の公園で

休憩をとっていた。


黒い柴犬、くろまめが首輪を外してもらって自由に遊んでいると、

休んでいる飼い主の元に

顔がそっくりな女の人が現れた。


「あら?来ていたの?」


「ううん、栗ならここに来るんじゃないかって思ったの。」


「あらあら、さすがは句ね。

…あら?晦は?」


「あの子は家で休んでいるわ。」


「あの子は体が弱い物ね。」


「あの子のおかげで

私たちは元気よね。」


2人「うふふふふ…」


そんな風に笑う2人の深い意味を、

犬のくろまめは知る由もなかった。


To be continued next time♡


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