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桜うさぎっ!  作者: 夢見
桜うさぎっ!闇氷を溶かすチェリ!
11/12

[第十話 早過ぎる凍結!? 仕込まれた悪女の心]

うわあああ3ヶ月も立ってる!

((((;゜Д゜)))))))


申し訳ない!(; ̄ェ ̄)


定期テストやら資格試験やら…

書く時間が全く取れなかったのが

原因です( ̄◇ ̄;)


だいぶ時間は空きましたが

やっと第1章終了です!

(つω`*)テヘ


今後このようなことが無いように

大体のあらすじをガーッ!と

書いたんである程度は

執筆速度は劣らないと思います。

φ(・・。)ゞ ウーン


あの事件から数日…

やっと捜査とかが終わって

事態が落ち着いた頃、

桜うさぎ達は特訓を再開した。


ベニブロはより強く、

キブロはより早く、

ダイブロはより正確に。




バキィッ!!




紅「あっちゃ〜…

また丸太折っちゃったw


新しいの探して来るよ。」


橙「あ、はい。

ありがとうございます。」


黄「しっかし、

だいぶみんな強くなったよねw

なんか鍛え切ったって感じw」


紅「ダイブロも強くなったよね、

今では時間を置かなくても

変身を解けるようになったし。」


橙「この不思議な桜が

サウダージ病に効いてるんでしょうか…

なんだか体調が良いんです。」


確かに強くなった。

前回の事件で手加減を知った3人は

力の調節が出来るようになり、

事実上桜うさぎの力を

80%位引き出せるまでになった。


紅「新しい丸太見つけてきたよぉ〜」


黄「おっ!さんきゅ!

そんじゃ再開するか!」


紅「わかったよぉ〜。」


橙「はい!」


ーーーーーーーーーーーーー


しばらくして、

今回の特訓のノルマを

全員達成した。


変身を解いて休憩をする。


染好「ふぅ…みんなお疲れ様!」


飛岸「おつかれさぁん。」


里座「ふふっ、なんだか

すっかり慣れちゃいましたね。」


飛岸「確かにw

初めて変身した時がなっつかしw」


染好「後は冬将軍の手下に

勝てるようにしなきゃ…


今の所、勝てたのは

飛岸だけだったよね。」


里座「今思うとすごいパンチでしたね、

アイスが吹き飛びましたし。」


飛岸「あの時は感情が

暴走していたからね…w


恐怖を吹き飛ばした反動かもw」


染好「私たちも頑張らなきゃ!」


里座「そうですね。」




そんな感じで話し込んでいると、

そこへ…ん?珍しいな、

日津夜がやってきた。


日津夜「あれ?吉野じゃねぇか!

なんでこんなところにいるんだ?」


染好「へ?あ、」


里座「3人で森林浴をしていたのです。

ほら、ここの森は

空気がキレイでしょう?」


飛岸(相変わらずの神フォロー…w)


日津夜「森林浴?w

なんか優雅なこと

やってたんだなw




あ、そうじゃねぇ!


美々見なかったか?」


里座「美々?」


染好「美々って…高祭(たかまつり)さんのこと?」


日津夜「おう、高祭美々。」


里座「人探しですか。

どんな人なんです?」


日津夜「えっと、

なんつったらいいかな…


俺より赤みかかった茶髪で、

いつもアメジストのピアスを付けてて…

身長は吉野と同じくらいだったかな。」


飛岸「アメジストのピアス…

って、紫のピアスって言ったら

前に書道部で悪事働いてたやつじゃん!」


日津夜「あぁ…金ヅルの話か、

あれはすまんかったな、

俺から謝るよ。…すまない。」


飛岸「え?あ、いやいや、

日津夜君が謝る事じゃないよ。」


事実、美々の働いた悪事は

それだけではないのだが…

4人はその事を知らないまま話を続けた。


染好「高祭さんがどうかしたの?」


日津夜「それが…




先日から連絡が取れねぇんだよ。




あいつの親も

「下の娘の事しか見ていない、

あいつのことは知らん!」

…とかわけわかんねぇこと

ほざいてやがるんだ。」


里座「行方不明ですか?」


染好「そういや最近

高祭さん休んでたなぁ…

そこまで深刻だったなんて

知らなかったよ。」


飛岸「どっかで悪い奴らと

つるんでるんじゃないの?」


日津夜「いや俺が悪い奴らの系統だよw

部下に色々聞いて見たけど、

誰も泊めてないって。」


染好「ん〜…せっかくだし

一緒に探そうか?」


日津夜「え?」


染好「裏は全部調べたんでしょ?

なら表のことは

細かく調べてないでしょ。」


日津夜「あ…」


飛岸「そいつのことを探すの?

なんか気が乗らないな…」


里座「でも数日となると

流石に心配ですよ。」


染好「頼むよ飛岸〜!」


飛岸「…まぁ、

2人の頼みなら仕方ないか。」


染好「ありがとう!」


日津夜「悪りぃなみんな。」


里座「では、早速探しに行きましょう。」


染好「わかった!

でもどこから探そうか…」


飛岸「公園とかはどう?

隠れられそうな遊具とかあるし。」


染好「それいいね!」


里座「確かに名案ですね。」


日津夜「公園か…

そりゃ思いつかなかったなw

よっしゃ!行ってみようぜ!」


染好「うんっ!」


ーーーーーーーーーーーーー


一同はまず公園を

探してみることにした。


こじんまりとした小さな公園から

地元では有名な賑やかな公園まで

隅々を探した。


特に隠れ住めそうな遊具を

重点において探す。




染好「見つかった?」


飛岸「いや全然…」


日津夜「こっちにもいなかったぜ。」


里座「公園にいる可能性は

低いんでしょうか…」




…と、そこへ穴吹と薫がやってきた。


どうやら2人は同じ1年、

体育の課題の練習をしていたようだ。


穴吹「あれ?吉野先輩!

先輩方もここに来てたんだ!


…って、なんで後ろに

隠れてんのよ薫w」


薫「あの人怖い…」


そう言って恐る恐る

日津夜を指さす薫。


日津夜「俺か?」


染好「あぁ確かに知らない人が

みたら怖いかも…w」


飛岸「大丈夫だってw

見た目怖いかもしれないけど

結構考えて生きてんだよ?」


日津夜「どういうフォローだよ…w」


里座「大丈夫ですよ、

日津夜君は染好の中学の時の同級生で、

仲間思いの優しい人なんですよ。」


薫「そ、そうなの?」


日津夜「辺り構わず

怖く対応しねぇよ…w


俺は加藤日津夜。よろしくな。」


そう言って笑って手を差し出す日津夜。

薫はその手を恐る恐る手にする。


薫「たっ、田国薫です…。」


穴吹「そんなビクビクしないのw

あたしは穴吹智春!

智春って呼んでちょうだいね!」


日津夜「おう!

…で、本題に戻るが、

吉野たちの他に◯◯高校の生徒が

この辺に来なかったか?」


穴吹「何?人探し?」


薫「今日来たのは僕と智春ちゃん、

後は赤毛の女の子くらいかな…」


日津夜「赤毛…?

なあ!その女の子

ピアスしてなかったか?」


穴吹「耳までは見てないよ…」


薫「僕は見たよ!

有名ブランドの高いやつ!




アメジストのピアスだったの!




良いなぁ〜僕もああいう

可愛いイヤリング欲しいなぁ♡」


穴吹「あんたは男でしょうがw」


薫「えぇ〜いいじゃん!

可愛いんだもん!」


日津夜「…間違いねぇ、

確実に美々はここに来た!」


里座「あの、その女の子は

何か言ってましたか?

例えば…場所の名前。」


薫「場所…なんか言ってたっけ?


穴吹「言ってた言ってた!

確かお腹空いたって言ってたじゃない?

この近くにある商店街に

来てるんじゃないの?」


日津夜「商店街か…

大抵の商店街は

探し尽くしたんだが…」


染好「ねぇ日津夜、

吹雪(ふぶき)(ざくら)は調べた?」


日津夜「吹雪桜…なんだそりゃ?」


染好「あぁ…やっぱりかw」


飛岸「吹雪桜?あぁ最近

出来たばっかりの商店街か。」


里座「まだ認知度が

低い場所かもしれませんね。」


日津夜「隠れる最中に

飯食うのには

絶好の場所ってかw


よっしゃ!次はそこに行こうぜ!」


染好「うん!そうしよう!

ありがとう穴吹!薫君!」


穴吹「早く見つけてあげなよ!」


薫「またねみんな!」


穴吹「さて、特訓を再開しますか!」


薫「えぇ!?まだやるの!?」


穴吹「仕方ないでしょうが!

このままじゃ体育の単位とれないよ?

ほらほら戻る!」


薫「ひえぇ〜!(泣)」


ーーーーーーーーーーーーー


時計の針が2つとも空を指す頃、

染好達は商店街「吹雪桜」に来ていた。


服屋に食べ物屋、

本屋にゲーム&DVDの店…

コンビニまである。


流石は現代の商店街、

新しいものが揃っている。


その中には裏通りや

ネットカフェもあった。


日津夜「ほぉ〜…

本当に新しい商店街が

出来てたんだなw


よし、俺は裏の方を探す!

吉野達は表の方頼んだぞ!」


染好「わかった!任しといて!」




飛岸「さっき染好がそう言ったものの…

やっぱり簡単には見つからないなw」


染好「人探しってのは

ここまで見つからないものなのか(汗)」


里座「どこに行って

しまったんでしょうね…」


商店街を何往復かした一同だったが、

一行に美々の姿は見つからない。


ちょっと諦め気味に

商店街をぶらぶら歩いていると…


1件のお店に目がいった。




多生花「コロッケ揚げたて

いかがですかぁ〜!」


的田「一つ下さい…。」


透俵「揚げたてかぁ、

僕も1つ貰おうかな。」


多生花「まいどあり!

…ってあれ?里座じゃん!」


的田「飛岸さんも…。」


透俵「3人ともここの商店街に

来ていたんだね!」


そこは多生花の親が経営する

お肉屋さんで

コロッケは注文されてから

揚げる主義だ。


里座「あれ?でも帆得の

お肉屋さんはこっちじゃ…」


多生花「2号店!

うちのコロッケがバカ売れしてさ、

店の数を増やしたの。


今日は開店初日だから

手伝いに来たんだ!」


的田「…習い事の帰り。」


飛岸「弓道か、いつもお疲れさん!

(頭ポンポン)」


的田「///」


透俵「僕は休憩さ。」


染好「休憩?何かしてたの?」


透俵「ふふっ、父さんの仕事を

こっそり手伝ってる。」


飛岸「いいのかよ勝手に

警察の仕事に介入して…w」


透俵「僕は未来の刑事だもの!

それに、僕がやっているのは

簡単な人探しだし大丈夫でしょうw」


染好「人探し?」


里座「どんな人を探しているか…

話すことは出来ますか?」


透俵「ん〜…他言しないなら…

話してもいいかな。」


飛岸「頼むよ進吾!」


透俵「…君達なら信用できるね。

僕…いや警察が血眼(ちまなこ)になって探しているのは、




高祭美々。」




染好「…え?」


一同「えぇー!!?」


透俵「し〜っ!声が大きいよ!」


進吾が焦り出したその時、

3人をかき分けて誰かが

進吾の襟首をつかんだ!


ガッ!!


日津夜「それ本当か!?

嘘だったら承知しねぇぞ!!」


透俵「のわっ!?ほ、本当だよ!

というか君は誰なんだ!?」


飛岸「ちょ!落ち着けって!」


透俵「…ゴホッ!ゲホッ!」


里座「大丈夫ですか!?」


染好「日津夜!一回落ち着こう!

1つ1つ話すから!(汗)」


ーーーーーーーーーーーーー


その後、進吾は薬を吸って

症状を落ち着かせた後、

1つ1つ丁寧に日津夜に話した。


◯◯高校での事件の話、

進吾の人探しの話…


話の信ぴょう性が増すたびに

日津夜の様子も落ち着いた。


説明が終わった後は

コロッケを食べながらおしゃべりだ。


多生花「あぁ、この前の事件の話か。」


弓弧「…あの時は、怖かった…。」


日津夜「その主犯の容疑者に

美々が上がってるってことか。」


透俵「◯◯高校を襲った奴が

「アメジストのピアスをした

ここの学校の生徒に雇われた」

って話していてね。


もう証拠も見つかってる。」


染好「アメジストのピアス…!」


日津夜「美々のピアスの宝石は

本物だからな、

あいつ…とんでもねぇこと

やりやがって…!」


里座「それで、行方は…?」


透俵「全くだよ…

この町から逃げたか、

誰にも知られていない

秘密の場所みたいなものに

隠れている可能性しかないね。」


飛岸「秘密の場所ねぇ…

この町にそんな場所はなさそうだし、

逃げたんじゃないの?」


透俵「警察もその方針で操作しているよ。」


日津夜「秘密の場所…




待てよ、あの場所なら…!」




日津夜は急に何かを思い出したようで、

その場から急に走り出した!


染好「え、ちょ!?待ってよ!!」


飛岸「しばらく走りそうだね…

里座!背中に乗りな!」


里座「えぇ!?でも飛岸は足が…」


飛岸「なんもして来なかった

訳じゃないっての!」


飛岸は里座をさっと背負うと、

染好と共に日津夜を追いかけた。


進吾「あ!ちょっと…行っちゃった。」


的田「…任せよう」


進吾「え?」


的田「飛岸さん…あの3人なら、大丈夫。」


多生花「まいどありぃ!」


ーーーーーーーーーーーーー


一同は商店街を後にすると、

街中をしばらく走った。


日津夜はかなり体力があり、

3人はばれないように

桜の力で回復しながら後を追った。


そして…




日津夜「ここだ…。」


染好「ぜぇ…ぜぇ…

あの距離を一気に走らないでよ!」


日津夜「悪りぃ悪りぃw」


ついたのは立ち入り禁止の崖。

崖の端には小さな小道があり、

日津夜はそこを通って行った。


染好「え、ちょ!?」


飛岸「危ないって!!」


里座「戻ってきてください!!」


日津夜「大丈夫だ!

ここは昔俺みたいな奴らが

使っていた秘密基地だ!

お前らも来てみな!」


染好「へ?」


一見危険そうに見える小道、

ところがいざ近寄ってみると

下は海ではなく岩場だった。


1つ1つの石が大きく、

里座でも楽に通れそうだ。


染好「…行こう。」


染好が先陣を切り、

飛岸は里座を支えながら

小道を進んでいった。




小道が終わる頃、

そこにあったのは洞窟だった。

天井は半分筒抜けになっている。


その奥、日陰に当たる場所…




美々だ。体育座りでうつむいている。



日津夜「美々ー!!」


美々「!?」


日津夜が入口から呼びかけると、

美々は顔を上げた。


…派手なメイクは所々取れ、

目にはクマが出来ている。


美々「もう…終わりだよ。私の人生…」


日津夜「お前…何言ってるんだよ?」


美々「終わりだって言ってんの!!

これを機にみんなみんな離れていくわ!!

捨てられて牢獄に

閉じ込められる位なら…

死んだ方がマシだわ!!」


日津夜「バカヤロー!!!

お前は俺の大事な妹分だ!!

俺や俺の仲間は

お前を見捨てやしねぇ!!

簡単に死を懇願するなぁ!!!」


美々「もういや…!


いやいやいやいやいやいやいやいや

いやいやいやいやいやいやいやいや

いやああああああああ!!!!!」


突然狂ったようになる美々…

どうやら相当精神的に

追い詰められているようだ。


美々「助けて…!

助けて!助けて!!

誰か助けてえぇーー!!!」




「なら、私が解放してあげよう。」




一同「!?」


美々「え…誰ぇ?」


突如、暗闇に響く声。


1つ瞬きをすると、

彼は美々の前に現れた。


染好「フリーズ!」


日津夜「フリーズ?

なんかこの前みた奴と似てんな…」


フリーズ「今の状況から

解放されたいんだな?」


美々「もういや…イヤ…!」


フリーズ「今の返事、YES捉えるぞ。」


そうフリーズが言った瞬間、

洞窟に冷たい吹雪が吹いた。


日津夜「のわっ!?なんだ!?」


飛岸「ちゃんと捕まってなよ…!」


里座「は、はいっ!」


染好「これって…まさか!」


そのまさかだ。

美々はその場にぐったりとしている。


フリーズの手にはハート形の氷…

何故か真っ黒に濁っていた。


フリーズ「読み通りだな。」


日津夜「前に見たことあるぞ…

てめぇ!美々の心を

抜き取りやがったな!!」


里座「真っ黒…!」


飛岸「なんだあれ…

なんであんなになってるんだ?」


染好「美々さんの心に何をしたの!?」


フリーズ「ちょっとした

細工をしただけ…だな。」


そう言ってフリーズはニヤリと

不気味な笑みを浮かべると、

ハート形の氷に魔法をかけた。




フリーズ「フローズンハート!

その冷たさで全てを冷やせ!!」




魔法をかけられたハート型の氷は

ビキビキとひび割れながら

膨れ上がり、色付き、

巨大な…


…何だこれは?


氷の塊は極彩色に染まり、

口紅、ファンデーション、

アイシャドーに化粧ポーチ…と

次々に姿を変えながら

奇声を上げて膨れ上がる。


日津夜「なっ…!?」


染好「何…これ…」


あまりの不気味な光景に

4人は言葉を失う…


ごうごうと音を立てて

突風と暗い魔力が

洞窟中に充満した。


飛岸「うっ…!?」


里座「ぐ…ゲホゴホ!!」


飛岸「大丈夫!?

まともに吸っちゃダメだ!」


その真っ暗な勢いは

美々の体さえ溶かして吸収し、

やがて1つにまとまっていった。


そして…




フリーズ「凍結。」




ドオオオンッ!!!




染好「わっ!?ちょっと!?

うわああああ!!!」


飛岸「ぎゃああああ!!!」


里座「きゃああああ!!!」


凍りついた勢いが轟音と突風となり、

それらが洞窟内で暴発した!


それと同時に…




闇氷は完全に凍結した。




ーーーーーーーーーーーーー


全てが治まった時、

染好は恐る恐る目を開けた。


染好「ん…」


染好の横にはチェリーが寝ていた、

近くに里座も倒れている。


染好と里座は吹っ飛んだ割には無傷…

どうやらチェリーが

守ってくれたようだ。


チェリー「チェチェ…」


染好「ありがとうチェリー。」


染好と里座は飛ばされただけで

無事だった。

だが飛岸は…


染好「………!」




…彼が守ってくれなければ

飛岸は暗い魔力の餌食に

なっていただろう。


両手を広げて

飛岸の前に立っている。


飛岸「日津夜君!?」


その声を聞いた

日津夜は振り向いた。


口に含んだ血をぷっと吐いて

キレ気味の笑みを見せる。


日津夜「…鍛えといて正解だったぜ。

まさか腹にぶち当たるとはな…w」


確かに。

日津夜のランニングシャツには

大きな穴が空いており、

穴から見える腹の6枚板が

真っ赤に腫れていた。


…と、そこへ通報もないのに

警察が駆けつけた。


進吾と進吾の父…その部下たちだ。


進吾「みんな!ごめん、

何だかイヤな予感がしたから

つけちゃった…

美々さんはいたの?」


染好「あ、えっと…」


それを聞いた日津夜は

ギリっと歯を鳴らし、こう答えた。


日津夜「…誘拐されたよ、

俺らの目の前でな。」


進吾「君はさっきの…

って!?ひどい怪我じゃないか!」


里座「怖かったです…

怪しい筋肉質男性に襲われて…

日津夜さんが守ってくれたんです。」


あながち間違っていないw


進吾「そうだったのか…」


進吾父「目撃者の君たちから

話を聞きたい。

現場も確保したいし…いいよね?」


染好「わかりました。」


ーーーーーーーーーーーーー


事情聴取をしている時、

4人とも桜うさぎetc関係の事は

厚いオブラートに包んで話した。


警察に混乱されたら困るし。


…あれから事情聴取を受けた後、

それぞれの帰路についた。


日津夜は…我ここにあらずといえる様子で

フラフラになっている。


心配になった染好は

日津夜に話しかけると、

いつもと変わらない様子で返した。




染好「あんま無理しないでよ…」


日津夜「平気平気w

腹の傷も対した事ないってw

!っ…たた…」


飛岸「だっ、大丈夫!?」


日津夜「心配ねぇよ!」


そう腹をさすりながら言う日津夜。

無理をしているのはあからさまだった。


飛岸「…ごめん。」


飛岸には罪悪感があった。

自分を守ってくれたせいで

あわや大惨事だったから。


申し訳ない気持ちでいっぱいだ…。


染好「飛岸…」


落ち込んでいると、

ふと、背中にぽんっと

優しい感覚を感じた。


その感覚は背の低い飛岸の

頭に乗っかる。


飛岸「わ!?」


日津夜「心配すんな!ありがとな飛岸!

お前が無事で良かったぜ。」


彼はふっと今までにないくらい

優しい顔を見せると、

その手を頭から離し、

後ろ向きに手を振って帰路についた。




チェリー「飛岸?飛〜岸〜!」


飛岸「…ん?」


チェリー「染好と里座以外

みんな帰っちゃったチェリよ!」


飛岸「え、マジか!?」


里座「しばらくぼ〜っとしたまま

動かなかったんですよ。」


染好「面白いくらい

ぼけっとしていたねw 何か考え事?」


飛岸「いや、ちょっとねw」


チェリー「とにかく今日は

もう遅いチェリ!

話したい事はあるけど

後でその…MINE?

ってので話すチェリ!

早くうちに帰るチェリよ〜!」


里座「そうですね。

では、また明日。」


染好「じゃあねみんな!」


飛岸「うん、ばいばぁ〜い。」


2人が帰路に着く中、

飛岸はふと、頭に触った。




(日津夜「ありがとな飛岸!」)




飛岸「…?///」


そのまま、戸惑いながら

また考え込む飛岸。


う〜ん…

飛岸が帰るのはもうちょっと

後になりそうだw


ーーーーーーーーーーーーー


一方、フリーズはコールド達の元へ

帰り着いていた。


そのいつもは無表情な顔は

珍しく歓喜に満ち溢れている。


フリーズ「ついに…!

ついに手にいれたぞ!!」


コールド「手にいれたって…何が?」


アイス「はぁ、鈍感ねぇ…w

フリーズの手元を見ても

わからないのかしら?」


コールド「え?」


フリーズの手には1つの

真っ黒な氷が握られていた。


赤黒い霧をやわやわと吹きながら

どくん…と脈を打っている。


その不気味さときたら…

ここでは伝えきれないだろう。


コールド「…!まさか、それ…」


フリーズ「お察しの通り、

これは「闇の氷」だ。」


アイス「すごいじゃない!

ついにあの生意気な小娘達を

倒したのね!!」


フリーズ「いや、戦う前に作り上げた。

今の我々では彼女らに敵う力は

ないからな…。」


コールド「となると、やっぱり…」


フリーズ「あぁ、

負の感情を取り込みやすい

少女がいたのでな。

案の定壊れてくれたよ。

とても早い凍結だった。」


フリーズはコールドの言う意味を

知っていたものの、

いつものような答えを返した。




コールドの言う意味…

それは無論この闇の氷についてだ。


闇の氷はいわば賢者の石の

氷バージョンだと思ってくれればいい。


賢者の石は人間から作られる。

もちろん闇の氷もだ。


そしてその役目が終わるまで

死ねないし、元に戻る事はない。


自我もなく意識も消え、

そこに残るは力だけ。


…美々はもういないのだ。




フリーズ「さて、早速だが

今からこの闇の氷を使用する。」


そう言ってフリーズは

闇の氷を掲げて魔法をかけた。




フリーズ「フローズンブレイク!

我らに新たな力を!」




フリーズがそう言うと、

闇の氷は粉々に砕け散って

3つの真っ黒な霧にわかれ、

3人の胸に突っ込んで行った!


コールド「くぁ…!?」


アイス「あら、コールドは

初めてだったかしら?

慣れるのに時間かかるのよw」


どういう状態か

わかりやすくいうと、

空気の塊が皮膚の隙間?

無数にある毛穴を

無理矢理通り抜けて

体内に入る痛みない感覚だ。


全てが体内に吸収された後、

コールドは自らの身に

明らかな変化を感じた。


コールド「何だ、これ…?

ものすごく魔力が上がった気がするぞ!?」


フリーズ「それが闇の氷の力だ。」


アイス「何だか肌が潤った

気がするわねぇ!うふふ♡」


コールド「そっちかよw」


フリーズ「とにかくだ!

我々にある程度の力がついた!

次に桜うさぎと戦う時は

だいぶ楽になっているだろう。


…心して待つんだな。」


コールド「おうっ!」


アイス「分かってるわよw

次から楽しくなりそうね♫」


溢れかえる自らの力を感じ、

冬将軍の手下達は

高らかに笑うのだった…。


ーーーーーーーーーーーーー


一度闇の氷になったら助からない…


その話は染好達の会話の中にも出た。


染好はスマートフォンでMINEを起動し、

テレビ電話で他の2人と話をしている。


里座「そん…な…!?」


飛岸「それじゃあ

死んだも同然って事じゃんか!!」


染好「他に治す方法はないの?」


チェリー「無理チェリね…

闇の氷になるほどの心チェリ!

一度壊れた氷は相当な事がない限り

絶対元に戻らないチェリよ。


…それに、冬将軍の手下達は

桜うさぎをやっつける為に

すぐに闇の氷を使うはずチェリ。」


飛岸「あのフリーズってやつの

やり方が気に入らんな…

裏で細工をしてたって事でしょ?」


チェリー「無関係ではないチェリ。」


里座「人の心は物ではないのに…」


染好「待ってチェリー!

闇の氷を使うってことは…」


チェリー「染好の思っている

とおりチェリ。

今まで以上に冬将軍の手下達は

強くなって立ち向かってくるチェリ!

きっと今までの桜うさぎじゃあ…」


3人の中に不穏な空気が流れ始まる…




と、その時!


あまりにも突然に

染好のスマートフォンが光出した!


無論、こんな機能はついていない。


無効でも同じ現象が起きているらしい。


染好「わっ!?まぶし…」


飛岸「ちょw 親にバレる…w」


里座「この感じは…桜の力?」


しばらくすると、スマートフォンから

暖かで優しい声が聞こえてきた。




〜桜うさぎ達よ…聞こえますか?〜




チェリー「女王様!」


染好「女王様?」


チェリー「桜の国の最高権威チェリ!

女王様が私をここ人間界に

送り出したチェリよ!」


染好「へぇ〜。」




〜チェリー、桜うさぎ達、

今までよく頑張りました。


あなた達のおかげで

人間界の桜の木に少し力が戻りました。


状況は私にも感じ取られています。

状況は予想以上に深刻です…


ですが、希望が消えてしまった

訳ではありません。


明日、あなた達を桜の国に招待します。


コールド達もまだ完全には

増幅された闇の力を扱えないでしょう。


闇の力に慣れててしまうその前に、

そこで新たな力を与えましょう。


私はいつでもあなた達を

見守っていますよ…。〜




そう話すと、スマートフォンから

出ていた暖かな光は収まっていった。


飛岸「新たな力?」


里座「新たな力って…

何の事でしょうか?」


染好「きっと私達の新しい…

武器とか技とか?


ってか桜の国に行けるんだ!」


飛岸「その辺、ちょっと楽しみだよねw」


里座「チェリーのふるさとですか、

きっと暖かで素敵な国ですね。」


飛岸「ピンクまみれだったりしてw」


チェリー「ピンクまみれはないチェリよ!

まぁ確かにちょっとピンクが

おおい気もするチェリけど!」


飛岸「いやそこ認めたらダメでしょ!w」


それを聞いた里座はクスッと微笑み、

染好は笑いを堪えた。


染好「よし!明日になったら

春の国へ行こう!


新しい力を付けるんだ!」


飛岸「了解!」


里座「はい!

では、今日の所はこの辺で。」


飛岸「おやすみぃ〜。」


染好「おやすみなさい。」


ビッ




ついに出来てしまった闇の氷。


力を付ける冬将軍の手下。


桜うさぎの新たな力。


春と冬がぶつかる中、

2つの季節の戦いはますます

激しさを増していった。


冬将軍の手下はどこまで

強くなってしまったのか?


桜うさぎの新たな力とは

どんなものなのか?


ちょっと大人な戦隊物語は

益々深みを増して行くのだった。




第1章 end…

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