表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の領主さま! 悪魔召喚されたけど、オレはただの人間です! 〜魔女と悪魔の異世界領地経営〜  作者: ふろんちあ
第九章 蒸気の時代

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/90

異文化交流と秘匿の鍵

「無理、ありえない」


「イヤ、視界にも入れたくない」 


「なし、ヒゲがむさい」


 目下、森を一部切り拓き樵に精を出すフロストランド捕虜……改め日ノ本一家『鉄火組』。


 彼らを眺めるメイド達に率直な意見を求めたところ、散々な評価が下された。


 まぁ……そりゃそうか。長年分かり合えない敵同士で、ハイランドは襲われる側だったんだもんな。


「私は、無くはないですね」


 侍女のリリから意外な評価が出た。


「リリ的にはありなのか?」


「もちろん(つがい)にされるのはお断りですが……単純に男として見るなら、逞しく勇ましい。それと火が使えるのは、私のような……少しでも血を残したい者には加点要素です」


 リリはそこそこ水が使える。どっかの貴族の遊び相手から生まれた、いわゆるはぐれ貴族だ。他所の国であっても、魔法が使えるだけで価値があると……実利的だな。


「ふむ……もし、彼らが正式にエセル民となって、この国の言葉を覚えたら?」


「まぁ、その人次第ですね」


「やっぱそこが最低ラインだよなぁ」


 建材はできるだけ森の奥から調達し、切り拓いた場所に積んでいく。取りあえず最低限の寝床となる大きな簡易小屋を一つ。その後は五人組程度の家を各所に用意し、働いてもらう予定だ。


「ガディルはどうやってエセルの言葉を覚えたんだ?」


「山越えしてエセルに逃げ込んでからは、漁村で魚捕って生きてました。そこにいたトッドとやりあって、負けたんで部下になって『これ、何だ?』から始めましたね」


 なるほど、そういう関係性だったのか。なにごとも人に歴史ありだな。


「オレはどうやってもエセル語を教えられないからな……鉄火組には『これ何だ?』と『ありがとう』『ごめんなさい』を教えておいてくれ」


「うっす」


 簡易小屋はあっという間に完成した。彼らは本当に、生きるという力に特化していた。


 ――


「おい、奴ら斧を置いたままだぞ」


「……全部で10本もある、これだけあれば十分だ」


「そうだな、十分だ……貴様らを殺すには、十分すぎる」 


「おい、お前らまさか本気で信じてるのか! あの女は戦乙女じゃない、ただのエセルの治癒師だ」


「そんな事はどうでもいい、戦乙女は確かに俺をヴァルハラより救いあげ、導きを与えた」


「長の寛容さに甘え、統率を乱すなど我らの邪魔にしかならん」


「勝者に従えぬなら、なぜ死ななかった。潔く、今死ね」


 ――


「……で、何人死んだんだ?」


「斧を担いで逃亡を企てた5人ッス。全員見てたんで裏は取れてます。どうします?」


「……すまん、これはオレの想定が甘すぎた結果だな。武器になるものをちゃんと回収してなかった」


「しょうがねッスよ。別にやろうと思えば岩でも丸太でもおんなじです」


「それならまだ捕縛できたろう。斧を手にした以上、彼らも殺すしかない。お咎めなしで、今後はできるだけ捕縛で留めるようにしてもらおう」


「親父、彼らは忠誠を示した。労うべきだ」 


「……すまないが、オレにはできない。ガディル、必要なものがあれば用意するから、頼めるか?」


「うっす」


 ガディルは彼らの忠誠を称え、肉を与えた。中々に激しい異文化交流に、オレは頭を抱え始めていた。


 ――


 教会で死者を弔い、ケガ人をミラさんが癒した。屋敷に戻りビィにも伝えたが、あまり気にする様子はなかった。この程度のことを気にするのは、オレだけだ。


「でね、ウィンドミル商会がビート・シュガーの製法を知りたいんだって。教えてくれたら、果糖やメープルの製法を教えるし、風車小屋も用意してくれるって」


「そりゃありがたいが……これからのハイランドの商売を考えるなら、秘匿したほうがいいかもな」


 それに、ウィンドミルはもしかすると今後、対立するかも知れない。


「でもね、ハイランドはいい風が吹いてるから、風使いが少なくても風車小屋が役に立つでしょうって」


「それはそうだろうな。ただ……もう風車小屋は必要ないかもしれない」


「そうなの?」


「その辺りドリと研究中だから、また今度にしておかないか?」


「わかったわ」


「……アヴィが錬金術師になったら、秘匿の鍵をもらいましょうか?」


「秘匿の鍵?」


「錬金術師だけが知ることのできる、秘匿された技法のことです。鍵を得れば他の鍵と交換したり、貸し出すときに対価を求めることができるのです」


 なるほど、特許みたいなもんか。


「鍵の種類や概要が知りたくばアカデミーが教えてくれます。新しい秘術の鍵があれば、それだけで錬金術師になれるのです」


「アヴィならミアズマ・ポーションですぐなれそうじゃないか?」


「ミアズマ・ポーションはそもそも呪殺……異端の治癒師でないと作れません。教会に託したいと考えているので、他の鍵がいいのです」


「じゃあ生石灰と、生石灰によるスライム討伐技術、ビート・シュガーの製法あたりがいいんじゃないか? ドリがいいならだけど」


「もちろん、異存ないですよ。ボクはハイランドに召し抱えられた時から、全部差し上げるつもりです」


「では、正式に秘技をまとめた物を聖都の錬金術師アカデミーに送っておきます」


「うん! それならウィンドミルも納得すると思うわ。鍵ができてから、それを借りて欲しいって伝えるわね」


「そいじゃあーしも……鬼肝凶心丹の鍵をもらっとこうかな」


「その鍵と材料は永遠に秘匿しといてくれ……」


 シシシと笑うツクヨはさておき、秘匿の鍵か……蒸気機関にも鍵をかけた方がいいのかな? これは中々扱いが難しそうだぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ