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野盗の殲滅

「では行ってくる」


「セイレムを駆け抜ける一陣の風、エルフィン・ハイランドに神のご加護があらんことを」


 馬に跨がり出立する緑髪の女騎士とその従士らを見送るは我が主ベアトリクス・ハイランド。隣ではドリがフレイムウルフの三人を見送っている。


「ブレイさん達も、お気をつけて」


「おう、野盗どもに炎と風の嵐をお見舞いしてやるぜ」


「俺らを巻き込むなよ、リーダー」


「そりゃエルフィン卿に言ってくれ。燃やすのは俺でも回すのは彼女だ」


「では精々ご機嫌をとるとしよう」


 オレは馬車に乗った元野盗のタコ職五人に声を掛ける。


「囮役だからって、無理はするなよ。お前たちはこれからゆっくり償っていけばいいんだから。あ、それと暇な時に石灰岩採取しといてくれ」


「大丈夫ッス、兄貴。任せといてください! オレらだって荒事には慣れてっし、オレらもご領主様の施しに少しでも報いたいんス!」


 彼らはこれから漁村に向かいタコ職に就くと同時に、野盗を誘い出すための囮となる。まだ相当数いる野盗の隠れ家にこちらから出向くのは危険との判断と、主戦力となるエルフィンの風魔法が野戦向きであるためだ。


 野盗の隠れ家はまだ何人かの奴隷が捕まっているらしく、隠れ家ごと炎と風で焼き払う案が出た時はビィに却下された。拠点戦となれば罠や奇襲の警戒が必要で斥候が足りず、さらに狭い所ではエルフィンの本領が発揮できない。そのため、まずは囮で誘い出し、その後に隠れ家を攻める作戦となった。


 ――


 作戦は功を奏し、エルフィンらはわずか三日で全て片付けてきた。襲撃された荷馬車は元野盗が顔見知りであったことを利用し、うまく誘い出し奇襲することができたそうだ。


 敵のリーダーは奇襲に慌てて逃げ出し、それをエルフィンらが捉えた。そこから奴隷が囚われている所を明らかにして一気に隠れ家を攻め、奴隷以外の場所を焼き払ったらしい。


 そして、奴隷にされていた農夫バジの妻と娘、他領からさらわれた奴隷四人が助けられハイランドに受け入れられた。それ以外の人物がどうなったかはわからない。ただエルフィンが沙汰を下したとだけ聞いた。


「元野盗どもは意外にも役に立った。ベティとカケルの施しに報いるためと、我先に戦へ向かったぞ。あれなら労苦の期間をいくらか短縮してやっても良いだろう」


 戦から帰ったエルフィンは機嫌よく続けた。 


「あのベイオウルフの倅も勢いがあってなかなかやる。ベティにその気があるならハイランドの騎士に迎えてやってはどうだ?」


「……でもハイランドには彼に与えてあげられるものが無いわ。今は彼の活躍をベイオウルフ家に伝えてあげて、切れた縁を繋いであげるのがいいと思うの」


「ふむ、それも悪くない。だがハイランドにはもっと騎士が必要だ。あの北の蛮族どもとの国境を任された我が家には、何よりも戦力こそ必要なのだからな。懐いた狼をわざわざ家に帰してやる必要もなかろう?」


「ブレイ本人に聞いてみたらどうだ? 三人まとめて面倒見るなら喜んで受け入れると思うぞ」


「うむ、流れの冒険者が傭兵で腕前を認められ騎士に叙爵するなど名誉なことこの上あるまい。まぁ野盗討伐程度で与えるものではないから、うまく我が家に貢献させてやればよかろう」 


「……家に貢献か、未開拓ダンジョンの踏破なんてのはどうだ? あいつダンジョン得意っぽいし、うちも魔石が足りてないんだろう?」


「それはいいな、冬のうちにダンジョンアタックを仕掛けるか! 私は穴ぐらの中でスライム退治など死んでもごめんだがな!」


「まぁ……向き不向きはあるわな」


 ――


「と言うわけでブレイ、ダンジョン攻略やってみないか?」


「簡単にいいやがるな……」


「一応ハイランドが全面的にバックアップするし、策もある。まずは道を作ろうと思う」


「道だと?」


「あぁ、どうせ冬越の薪は必要で、目的は魔石だから安全に運べるに越したことはない」


「……まぁそれもそうか。いちいち森の獣や蛇どもを気にして往来するよりはずっといい」


「森を切り拓き、ダンジョンの入口にはタコツボを仕掛けスライムを誘い込む。奴らはタコのように狭い穴が好きだからな。そして石灰を入れれば膜が破れ弱らせる事ができる。特に生石灰と言う炉で焼いた石灰石ならそれだけで殺せるだろう」


「……マジか」


「マジだ。それで入口はだいぶ楽になるだろ? スライム以外に何がいるかは知らんが、魔石が十分取れる範囲まで安全が確保できれば万々歳だ」


「いや、そもそもスライムが倒せるならダンジョンは踏破したも同然だ。アレに比べれば他の魔物など相手にもならん」


「そうなのか? まぁ道もタコツボも石灰もこちらで用意しよう。どうだ?」


「レイとライには一応確認を取るが……いや、ぜひやらせてくれ。どうせ冬もハイランドにいるつもりなんだ。ここまで重用してもらってお膳立てもあれば是非もない」


「ヨシ、頼んだぞ!」


「……お前は来ないのか?」


「木こりなら参加するが、俺をダンジョンに連れて行くならビィもついてくるぞ? ドリも連れて六人でパーティ組んでみるか?」


「とんでもないことを言い出すなバカタレ」


 こうして魔石採掘のためダンジョン攻略作戦がはじまった。

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