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BRAINS  作者: 愛猫私
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第6話

第6話 偽札3



 「ハジメ。録画を見せてもらえるか?」

 「分かりました。変化しているところがわかる時間帯に合わせて見せます。」

 

 モニターに映し出されたのは、袋に入ったお札だった。

 その録画の時間が過ぎていくと徐々にお札が茶色の枯れた葉っぱに変わっていった。

 お札が葉っぱになったのが明確になったことによって、金田がBRAINであると立証された。

 

 「完全に葉っぱをお札に変える能力ですね。」

 「そうだな。便利ではあるが、列記とした詐欺だ。確保に向かうぞ。白中。逃走する場合は、出番だと思え。」

 「筋肉痛っすけど、善処するっす。」

 

 車に乗り込んだ、青木と黒木、そして白中は、金田宅へ向かった。

 白中は、後部座席で今にも寝そうな様子だ。

 

 「白中は限界か。まずいな。」

 「黒木課長。何がまずいんですか?」

 「今寝られると白中は私を攻撃する。」

 「え?それって・・・。」

 「あぁ。言っていなかったが私もBRAINだ。この能力で事件を解決したからこの年で課長まで上り詰めることが出来たんだがな。」

 「えぇ!初耳ですよ!」

 「大っぴらに見せるものでもないし、大した能力ではない。しかし、白中に取っては大事な能力なんだ。」

 「そうなんですか。」

「能力者はあまりベラベラと自分の能力を話さない。お前たちを信用していないわけではないが、私の能力は、かなり特殊だからな。」

 「ちなみに聞いてもいいんですか?」

 「そのうちわかる。」

 「そうですか・・・。」


 青木は残念そうに話した。

 黒木の能力は、課長になる前に事件解決の要として利用されていた。

 Sランクの能力とはいかないが、かなり強力な能力である。身体強化がない以上、通常の人間と肉体は変わらない。ナイフで刺されれば、出血するし、鉄パイプで殴られれば、気絶だってする。

 これが身体能力の向上の有無でBRAINの能力に差が生まれる。

 能力は強力だが、身体が人並であれば、BRAIN同士の戦いが勃発したとき通常ではSランク以外の勝ち目はない。

 BRAINのなかでもまだ潜在的にいるSランクと衝突する場合、黒木たちは成す術がない。

 だから、白中の存在は大きい。しかし、白中はBRAINを攻撃する。それは黒木も例外ではない。

 このジレンマを解決できて初めて白中は能力者として、チームに貢献できる。

 

 「そろそろ、金田宅につきますよ?どうしますか?」

 「白中を見ているから、青木だけで行けるか?」

 「大丈夫っすよ・・・。俺も・・・。」

 「寝る寸前!?」

 「青木、急いでくれ。」

 「わかりました!とにかく、証拠はあるので確保してきます!」


 青木は車から出ると、走って金田宅へ向かい、インターホンを押した。


 「金田さん!特殊能力者調査部隊本部です!ご在宅ですか!」

 

 金田宅から返事はない。

 しかし、それは起きた。裏の方から窓を開ける音と共に、走り出す音がした。

 とっさに青木は、裏口に回った。そこには、金田が走って逃げるところが見えた。

 

 「黒木課長!金田逃走!追いかけます!」

 「仕方ない。オーダー。」

 

 黒木は、車の後部座席で白中に接吻した。

 目を見開いた白中だったが、睡魔に勝てず、そのまま寝てしまった。

 すると、車の後部座席のドアが吹き飛び、白い靄を纏った白中が四つん這いの状態で出てきた。

 あとから黒木が車から降り、白中に言った。


 「オーダー1。金田を確保。」

 

 地面が爆ぜ、白中は黒光りした昆虫のような恰好のまま猛スピードで、金田を追った。

 青木の横を通り過ぎると、突風が襲い、慌てる青木。

 金田は後ろから迫る白い物体に怯えながらも、全力で走って逃げている。

 

 「あれが白中さん!?」

 「青木!テーザーガンの準備をしろ!」

 「え!?あ!はい!」

 「金田を守る準備をしろ!」

 「わ、わかりました!」

 

 白中と金田の距離がどんどん縮んでいく。

 金田は迫りくる白中に恐怖していた。

 

 「な、なんなんだああぁぁ!」

 

 走りながら、そこら辺に置いてある自転車や荷物を倒し、白中の行く手を阻もうとする。

 しかし、四つん這いの白中は、その凹凸もお構いなしに這いまわってくる。

 

 「なんだあの気持ちわりいやつはああ!」

 

 そして、白中と金田の距離が0となった瞬間。

 黒木の大声が聞こえた。


 「オーダー!2!殺すな!!」

 

 青木はびくっと跳ねあがった。

 金田の首根っこを掴み、地面に叩きつけようとしていた白中は、金田を羽交い絞めにした。

 

 「青木!金田を確保しろ!」

 「わ、わかりました!」

 

 白中の強靭な腕で振り回された金田は泡を吹いている。

 青木が、白中から金田を引き離そうとするがまるでびくともしない。

 

 「ちょ、ちょっと白中さん!放してください!役目は終わりましたよ!」

 「・・・。」

 「って、この状況でまだ寝てるんですか!」

 「青木、すまない。確保といったが、私がオーダーしなければ起きるまでこのままだ。オーダー。3。起きろ。」

 

 そういうと、白い靄に包まれていた白中は、うとうとと目を覚ました。

 

 「あらら。この状況・・・。」

 「とにかく、白中さん、金田を放してください!」

 「あぁ、わりい。」

 「とにかく金田確保だな。」

 「でも、この状況いいんですか・・・?」


 後ろを振り返ると白中が走り回ったところが、ぐしゃぐしゃに破壊されていた。

 

 「経費や修理代は緑川に申請しておけ。」

 「わ、わかりました。」

 「なんか、すみません・・・。」

 

 白中の初めての事件解決は、白中の能力開放と黒木の能力開放によって、多大な被害を出しつつも解決した。

 



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