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BRAINS  作者: 愛猫私


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53/63

第53話

ちょっと小説の進捗状況が悪いです(´;ω;`)

もしかしたら、月水金更新できなくなっちゃうかもしれませんが、

頑張ります!

第53話 B地点【執着】



 「あの時の。」

 「レイコと面識があるんっすね。」

 「あの事件の時にな。」

 「随分と仲良くなったみたいじゃん。その女の人と。」

 「今は特殊能力者調査部隊の隊員として働いてるからな。黒木さんはその上司だ。」

 「へぇ。でもさ、レイコの方がユメトのこと知ってるよ?」

 「そうかもしんねえけど、今はそんなこと言ってる場合じゃないんだ。サキちゃんの居場所を知ってんだろ?」

 

 レイコはユメトに向かって嘲笑を向けた。

 

 「あのさ。私がどんな思いで待ってたか、わかる?」

 「待つって、俺は収監されてたし、そのあとはこの職場で缶詰だった。」

 「あ~あ。そういう言い訳いいから。」

 「お前、なんか変だぞ?」

 「自分の両親を殺しておいて、私が変?面白い冗談ね。こっちは、ユメトがどんなになってもいいから返してって毎日思ってたのに。」

 「そりゃあ、どうも。」

 「白中。あれは苛立っているがお前への好意だ。」

 「あんたが言うな!ユメトを殺そうとする以外の選択肢があるならさっさとあの時やっておけばよかったのに!」

 「すまない。あの時は、私に権限がなかった。」

 「権限?人を救うのに権限も何もないでしょ!」

 「黒木課長?」

 「お前は覚えていないだろうが、能力発動時のお前には射殺命令が出ていた。私の能力があれば、何とかなったかもしれないが、その時はまだ私が、課長ではなかった。だから、殺すしか選択肢がなかった。」

 「殺す選択肢ねぇ。死んでないですけど。」

 「それは結果論だわ!」

 「それでいいじゃねえか。」

 「じゃあ!ユメト、私と一緒になってくれる?」

 「な、なにを急に言ってんだ!それとサキちゃんの行方と何が関係があるんだよ。」

 「ユメトと一緒になれるなら、そのサキちゃんとかいう女の居場所を教える。」

 「なんだそれ。」

 「ユメトがBRAINになったから私もBRAINになって、ユメトを守ろうとしたのにそれをないがしろにするの?」

 「はぁ?どういう意味だ?」

 「サイ君にお願いして、私もBRAINになったの!」

 「う、うそだろ?」

 「これも全部全部全部全部、ユメトのため!」


 瞳のなかに光を感じないレイコは、白中だけを見ている。

 もはやそれ以外はどうでもいい。常軌を逸した執着。そう増幅された執着心。

 これを成し遂げたのは、サイの能力『改ざん(タンパーキネシス)』である。

 レイコ自体には能力はなかった。白中の存在をBRAINSが知ったときにサイによって目を付けられたのがレイコだった。幼馴染ということ、事件の内容を知っていること、それが白中への執着に改ざんされた。「ホットミルクを冷たいミルクに変える力」の持ち主の脳を摂取させられたことでBRAINとして開花したレイコは、サイの改ざんにより、執着心とその特殊能力の解釈を変えられていた。

 

 「私のものにならないなら、無理やりにでも連れて帰る。」

 「そんなことに付き合ってる場合じゃねえんだ。」

 「なに?そんなにサキとかいう女が大事?私よりも?ユメトのためにBRAINにまでなった私よりもその人が大事なの!?」

 「そんな話してねえ。今は仲間を助けるために情報を集めに来たんだ。そしたら、お前が・・・。」

 「私が敵でサキとか言うのが仲間?」

 「そうじゃねえけど・・・。」

 「なんで私のことは助けてくれないの?なんで?BRAINにまでなってユメトを止められるまでになったのに。」

 「それは利用されてるだけだ!強いって言うなら俺らに手を貸してくれよ!」

 「それはできない。私がユメト以外を殺したら死ぬ条件だから。」

 「死ぬ?」

 「なんて厳しい条件だ。白中、あの子の能力はSランクに匹敵するほどの能力だと思った方がいい。」

 「だから、黒木さん。余計なことしないでよね。」

 「・・・場合による。」

 「ユメト以外に能力が使えないとはいえ、能力の範囲内で勝手に死ぬのは知らないから。」

 「範囲系の能力者か。」

 「黒木さんは、安全な場所にいてください。とにかく俺一人で制圧してみせます。」

 「あの子が言う通りなら、あの子の能力の適用範囲内で私が死にでもしたら、彼女も死んでしまう。少し離れた位置でいつでも割って入れる準備をしておく。」

 「よろしくお願いします。」

 「ユメト?聞いてる?私の話。」

 「自己都合だけを押し付けてくるお前はレイコじゃねえ。とにかく、正気に戻してやる。待ってろ!」

 

 改ざんによって、性格も捻じ曲げられてしまったレイコは、自分が正しいとしか思えないようになっていた。自分が信じたものしか受け入れず、相手の状況など一切鑑みない。

 自分の欲望のままに行動している。それがユメトの独り占めという独占欲の権化となっていた。

 白中は目を瞑り、スリープモードに入っていた。

 そして、自分の手中に収めたBRAINの能力を発動させた。


 「『白昼夢(デイドリーム)』。」

 

 白中の身体から白い靄が出現し、目の下のクマがフェイスペインティングのように模様を作り出している。戦闘力のない白中でもレイコを取り押さえるくらいできる。

 しかし、レイコの能力が分からない以上、身体強化だけではどうにもならない。

 その様子を見ていたレイコが言った。

 

 「あのときのユメトが今度は私を殺すんだ。でも、もうそんなことさせない。『冷気(アイスキネシス)』。」

 

 レイコもまた冷気による白い靄が発現した。

 辺りにあった水蒸気が可視化できるほどの靄となり、レイコを包む。その冷気は、地面を這いゆっくりと進んでくる。

 

 「白中!アイスキネシスは、温度を操る能力だ!十分注意して戦え!」

 「温度を操る能力か、どう見ても冷たくする能力だな。」

 「氷像に変えて一生一緒にいるんだから。」

 「その愛し方は願い下げだわ。」


―――――


 氷のつぶてが白中を襲う。

 しかし、それを拳で破壊する白中。身体強化された白中は氷の塊を粉々に破壊している。

 だが、レイコへ攻撃することができないのは、その物量の多さであった。

 いろんな方向、角度から飛んでくる氷のつぶてによって白中の行動は制限されていた。

 きりのないほど生成される氷のつぶてによって、だんだんと白中は被弾していく。氷の塊は、白中に直撃すると粉々になるほどの威力で、白中の皮膚を切り裂く。

 白中の能力の一つの回復によって、相殺されているが、防戦一方の白中は、徐々に異変に気付き始める。

 そう、それは眠気だった。

 凍える冷気によってもたらされた眠気。白中はすでに寝ている状態にもかかわらず襲い来る眠気。

 雪山で遭難したときのような、死に至る眠り。

 

 「な、なんかやべえ。」

 「あとは任せていいから楽になっちゃいな。」


 うとうととし始め、体の動きが鈍くなり被弾数が多くなる白中。

 そして、だんだんと地面と足が氷漬けにされていく。なんとか意識を保とうとするが、視界もぼやけ始め、周りの音も遠くに聞こえる。

 そしてついに、白中は眠りの中の眠りについた。

 



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