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BRAINS  作者: 愛猫私
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第5話

第5話 偽札2



 「ハジメ君!これ証拠品!お札が葉っぱになるところを録画して欲しいんだけど出来る?」

 「うん。やっておくよ。」

 「ありがと!私は今回の事件のBRAINの能力をまとめなきゃいけないから、何かあったら教えて!事件の内容は、ハジメ君もわかってるよね?」

 「うん。一応、目を通してあるよ。葉っぱがお札になる事件だよね。」

 「そうそう!だからお札が葉っぱに戻るところをばっちり取っておいてね!」

 「うん。わかったよ。」

 

 そういうと青木は赤坂に証拠品を渡して自席についた。

 すると、奥から緑川が言った。


 「おーい。青木!黒木課長と白中はどうしたぁ?」

 

 普段は黒木がいるせいか、ピシッとしているが黒木がいないと分かると羽を伸ばしたように緑川が言った。

 

 「お二人はどこか行かれましたよ?たぶん訓練場だと思いますけど。どうしたんですか?」

 「いや。じゃあ、今日はもう仕事終わりだなぁと思って。」

 「え?まだ定時までありますよ!」

 「うちらに定時なんてないでしょ!」

 「それもそうですね!」

 「休める時に休まないとまじで禿げるからね。」

 「私は楽しんでやってますよ?」

 「あんたみたいにBRAINオタクばっかりじゃないんだよ!というか、BRAINの監視とかハジメと私に押し付けて!」

 「え~!そんなこと言わないでくださいよ!現場で見張るより、スマホのGPSや監視カメラをハッキングして居場所特定するほうが簡単じゃないですか。」

 「それはハジメが頑張っているからでしょ。あと、そういう超法規的措置を簡単にできるのは、私が調節してるからだからね!」

 「はい!いつもお世話になっております!」

 「ったく、わかってんの!?」

 「細かいことは全く分かりません!」

 「ズコー!まあいいわ。黒木課長におごってもらうから!」

 「え!私も行っていいんですか!?」

 「いや、呼んでねぇから!」

 

―――――


 そのころ訓練場では、黒木と白中が話をしていた。


 「白中。自分の能力をどこまで理解している?」

 「えぇっと。寝ると獣のように身体能力が向上するらしい。ということくらいですかね。」

 「まあ、そうだろうな。白中は無意識なのだからその程度しか知らなくて当然だ。」

 「寝てる間に勝手に動き回るのってかなり気持ち悪いんすよ。」

 「だが、それだけではない。今、『夢遊病(スリープウォーカー)』で分かっているのは、BRAINに対しての嗅覚だ。」

 「ん?どういうことっすか?」

 「異能力者東京収容所に収容される前にお前はBRAIN狩りをしていた。」

 「・・・。それは初耳っす。」

 「そうだろうな。お前は無意識のうちにBRAINを半殺しにしていたんだ。その眠っている間だけ発動される強靭的な肉体で能力の大小に関わらず、感じとれる範囲のBRAINを襲っていた。」

 「えぇえ。やっぱりめっちゃ危険人物じゃないですか。」

 「あぁ。しかし、BRAINが近くにいなければ、ただの破壊衝動だけになる。普通の人は襲わない。まあ、その破壊衝動に巻き込まれる可能性はあるがな。」

 「じゃあそのBRAINへの嗅覚を以って事件に貢献しろと?」

 「それもある。BRAINは今回のような非殺傷能力者だけじゃない。かなり強力な能力を持っている者もいる。我々の盾になってもらうことも想定している。だが、お前自体に戦闘力はないだろ?」

 「えぇ。まあ。起きてるときはただの体力のないひょろがりなんで・・・。」

 「それでは困る。最低限の戦闘訓練は行っておく必要がある。だから、事件の調査以外の時間は私と戦闘訓練だ。」

 「マジっすか・・・。」

 

 明らかに嫌そうな顔をする白中。

 

 「まずは身体作りだ。筋トレをするぞ。とりあえず、腕立て100回、腹筋100回、スクワット100回、ランニング10キロだ。」

 「いきなりっすか!?」

 「明日、強敵に襲われるかもしれないんだ。躊躇する暇があったら体を動かせ!」

 

 怒号にも似た黒木にの声でたじろぐ白中。

 嫌々、腕立て伏せを始める。その横で黒木も同じように腕立てを始めた。

 

―――――

 

 翌朝、青木は自席で眠ってしまっていた。

 眠たい目をこすり、昨日の記憶を思い出す。偽札のBRAINの能力をまとめて報告書を作っている最中に寝落ちしてしまったことを思い出していた。

 ボーっとしていると自分の肩に毛布が掛けてあるのに気が付いた。

 辺りを見渡すと緑川や赤坂も各々がまだ眠っていた。

 誰が毛布を掛けてくれたのかは知らないが、起き抜けのコーヒーを飲もうと思い、立ち上がり、自動販売機へ向かう。

 

 そこに、ひどい顔をしてブラックコーヒーを飲んでいる白中がいた。

 

 「大丈夫ですか?」

 「あぁ。大丈夫。少し寝れたから。」

 「そうですか。黒木課長はどうしたんですか?」

 「たぶん着替えてるだけだからすぐ来ると思う。」

 「そうでしたか。まだ確認してはいませんが、昨日回収したお札が葉っぱになっていれば、金田を確保しに行けます!」

 「あぁ。そう。」


 それどころではない状態を醸し出す白中。

 体力の無い身体でいきなりのハードトレーニングをさせられた挙句、睡眠もろくに取れていない。

 金田のことなどどうでもよかった。

 

 「おい。白中。お前もチームの一員だという事を忘れるな。そんな調子じゃ、盾にもならないぞ。」

 

 後ろからスーツを着た黒木が現れた。

 

 「おはようございます!黒木課長!」

 「あぁ。おはよう。」

 「おはようっす。毎日こんな感じだといつかぶっ倒れますよ、俺。」

 「体力がないのであれば、つけるしかないだろ。そもそもBRAINだからと言って能力に頼っていてるだけでは、ダメだ。毎回都合よくお前が寝ている状態でいるわけではないのだから。」

 「それもそうっすけど。」

 「白中さんが寝てたら、私たちも危ないんじゃないんですか?」

 「白中の能力は、近くのBRAINにだけ反応するものだ。一般人にはその暴力は向かない。これだけが唯一の救いだな。」

 「割と便利ですね!」

 「割とってなんだよ。」

 「そうじゃないですか!私といる時に寝てくれれば、BRAINと会うことが出来るわけですよね?BRAINホイホイってことじゃないですか。BRAINは一般人と見分けがつかないんですから、そういう探知能力もあるなんて便利ですよ!」

 「BRAINホイホイってさ・・・。」

 「まぁ、白中の能力自体は発動条件が厳しい。ゆえに、汎用性の高い能力になっていると言えるな。」

 「寝るのもコントロール出来ないし、起きるのもコントロール出来ないっすから。」

 「能力を使う時は、私が指示する。と言っても難しいんだがな。」

 「すごい能力と思ったんですけど、難しい能力ですね!」

 「どっちなんだよ。」

 「実際に見たことないですし、ちょっと判断しにくいですね。」

 「あまり見るもんじゃないと思うけどな。」

 

 自動販売機の前で、白中の能力について話をしていると、赤坂が眠い目をこすりながらやってきた。


 「あの、お札が葉っぱになってましたよ。」

 「やっぱりですか!」

 「これで金田は完全にBRAINであることが証明されたな。」

 「あとは、確保だけっすね。」




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