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BRAINS  作者: 愛猫私


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第49話

第49話 A地点【到着】



 一番初めに目的地に着いたのは、緑川と武藤のコンビだった。

 武藤はハジメから送られる情報をもとに相手の位置を探っている。

 

 「ヒカル。聞こえる?」

 「はい。ちゃんと聞こえてます。」

 「私は、ちゃんとヒカルが見えるところにいるから大丈夫だよ。」

 「ありがとうございます。もう少しで目的の場所に到着します。」

 「了解。気を付けて。」


 武藤は、携えている日本刀に手を当てながら辺りを見渡す。

 そこは、人の出入りがない雑居ビルであり、窓ガラスは割れ荒れ放題となっている場所だった。

 武藤は柱の陰に隠れ、広々とした空間へ意識を向けていた。

 

 「はぁ~。眠いめぅ。」

 「カイに怒られるぞ。」

 「時間稼ぎだるいめぅ。」

 「しょうがねぇだろ。それが俺らの仕事なんだからよ。」

 

 高身長の丸いサングラスをかけた男と、小柄な女が二人話しているのが見えた。

 武藤はすぐさま標的があの二人だと悟った。

 不意打ちを考えたが、その作戦は悪手だと思い、思い切って二人の前に出た。


 「お前たちが、青木さんの居場所を翻弄しているやつは。」

 「うぉ!びっくりしたぁ!なんだよ!」

 「びっくりしためぅ。」

 

 拍子抜けの態度に武藤は困惑する。しかし、明らかに人気のない場所にいるのは不自然で、どう考えてもBRAINSの手のものだと思っていた。

 

 「あれま、なんだよ。ケイスケのやつ失敗してんじゃん。」

 「ケイスケは非戦闘員めぅ。しょうがないめぅ。」

 「その口ぶり、ハジメくんのシステムを翻弄していたのはそのケイスケという人物なのですね。」

 「おい。メウ。余計なこと言うなよ。」

 「佐川が最初に言っためぅ。」

 「大人しく、青木さんの居場所を吐いてください。」

 「それはできないんだわ。なんせ、カイからの命令は、俺らを追ってきたやつは殺せだからよ。」

 「殺すめぅ。」

 「やっぱりですか。相手は、殺意丸出し、こちらは制圧のみ。かなり分が悪いですね。黒木課長も無理難題を言ってくる。」

 

 武藤が呆れた瞬間、武藤の横を一筋の弾丸が通り抜けた。

 それは、緑川が放った強烈な制圧用のゴム弾だった。

 

 「めぅ!」

 

 そのゴム弾はメウと呼ばれる小柄の女の額に直撃したと思った瞬間、その体をすり抜けた。

 通常であれば、脳震盪を起こし一撃で制圧できる代物が女をすり抜け壁にめり込んだ。

 

 「痛いめぅ。」

 「なんだ。一人じゃないのか。すまん、メウ。ボーっとしてた。」

 「ボーっとするなめぅ。」

 「つうか、痛くないだろ。」

 「ゲームしてるときに被弾したら痛いっていうのと同じめぅ。」

 

 その様子を緑川も見ていた。

 直撃しているはずのゴム弾がすり抜けたことに驚愕しつつも、相手の能力を探ろうと必死だった。

 

 「ヒカル。メウとかいうやつは、透過の能力かもしれない気を付けて。」

 「はい。」


 そういうと、武藤は日本刀を抜き臨戦態勢に入った。

 

 「おっと。日本刀かよ。制圧とか言ってたわりに物騒だな。」

 

 佐川と呼ばれる丸いサングラスをかけた男は、余裕を醸し出している。

 お互いに能力が分からない状態での戦いであり、どちらが先に攻撃するかが重要な能力の判断材料となる。しかし、武藤の能力は誰にも捉えることができない速さが武器である。

 ゆえに、一瞬で佐川は武藤にみねうちで胴を穿たれていた。

 

 「ごはっ!」

 

 何が起きたのか理解できない二人。

 ところが、佐川は意識を失うことなくその場に立っていた。

 「強烈に痛てえ。何が起こったんだ?」

 「なぜ今のを食らっても倒れない!?しかも、手ごたえがおかしい。」

 「なぜって、辺りどころが悪かったんじゃねえの?」

 「何を言っている。確実に胴を捉えていたはず。」

 「あぁ。あんまり言うと能力わかっちゃうから言わねえよ。俺ら大した能力ないしな。」

 「私は強いめぅ。」

 「いや、そうでもないだろ。」


 緑川は疑問に思っていた。彼らの能力が殺傷力の高い能力だとしたら、すぐに攻撃を仕掛けてくるはずだということに。しかしながら、彼らは何もしてこない。一方的に攻撃を受けている。

 それによって能力が分かるわけでもないが、これはチャンスなのではないかと考えていた。

 

 「ヒカル。男の方を狙う。倒れたら取り押さえて。」

 「わかりました。」


 そういうと緑川はライフルの引き金を引き弾丸を射出した。

 一直線に佐川の額にゴム弾が向かう。そして、その弾丸はメウ同様に佐川をすり抜けて壁に激突した。

 

 「!?」

 「なんで当たらない!」

 「やべぇ。さすがに銃は卑怯だろ。」

 「どこから撃ってるかわからないめぅ。」

 「これって時間の問題ってやつか?」

 「うちらが受けている命令は殺せだっためぅ。」

 「結構、無理じゃね?」

 「・・・自信ないめぅ。特にあの日本刀の人、やばいめぅ。一瞬で動いててマリー見たいめぅ。」

 「瞬間移動かよ!あ!やべ!」

 「佐川!馬鹿めぅ!」

 「瞬間移動!?マリーというのは瞬間移動の能力を持っているのですね。」

 「あーあ。まじでやべぇ。カイに殺されるわ。」

 「余計なことをいうのはもう終わりめぅ。」

 「そうだな。」


 佐川は、武藤に向かい走りこんでくる。そして、メウはスーッと足も動かさずに武藤へ近づいてくる。二人の急な行動に武藤の反射が遅れる。

 武藤と佐川の間にメウが割って入り、佐川の姿を隠した。しかし、武藤は佐川の大振りの拳のモーションを見逃さなかった。

 時間を引き延ばし、ゆっくりにすることで体勢を変え、攻撃を回避しようとした。

 しかし、その拳は、メウをすり抜けた。武藤は、やはりメウの能力は透過だと確信し、その拳をギリギリのところで避ける。

 しかし、武藤の頬に激痛が走った。そして、左頬に打撃を受け吹き飛ばされた。

 それを遠くから見ていた緑川は驚愕した。

 完全に見切っていた攻撃に被弾した武藤が吹き飛ばされたのが、なぜだかわからなかったからだ。


 「ぐあ!?」


 武藤は、見切ったはずの攻撃に被弾し、口の中を切った。

 佐川とメウの能力が何かわからないうちは、この戦いが長引いてしまうと思った緑川は、狙撃位置からさらに距離を詰めることにした。

 

 「っと。拳を守るグローブしててよかったぁ。」

 「メウの後頭部殴っためぅ。」

 「いや、そういう作戦だろ。」

 「冗談めぅ。」


 見た目は凸凹コンビの割には、かなりのコンビネーションを取ってくる二人。

 武藤と緑川は、厄介な相手に苦戦することになる。



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