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BRAINS  作者: 愛猫私


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第44話

第44話 サキのない特殊能力者調査部隊



 青木サキが誘拐された一件で、東京地区と関西地区の合同チームが編成された。

 そして、青木サキの奪還に向けて、狭い特殊能力者調査部隊の本部で黒木を筆頭に話し合いが進められていた。


 「まず、相手の正体だ。FQ3と敵対していたところをみると第三勢力であることは間違いない。」

 「関西地区が持っている情報でいうとFQ3以外のBRAINの勢力といえば、念動力が率いる勢力くらいですが。」

 「こちらも念動力の勢力だと睨んでいる。青木サキは、BRAINの能力の図書館と言っていい。さらには、保護対象のBRAINの所在地を知っている。これらが奴らの目的だとしたら、多くのBRAINが危険に巻き込まれることが予想される。」

 

 黒木と矢切の会話に皆が姿勢を正して傾聴している。


 「で、一番重要なのは、青木サキ氏の居場所では?」

 「それは、何とかなる。緑川、ハジメどうだ?」

 「GPSの位置情報は正常に移動しています。」

 「これを追跡すれば、おのずと相手の潜伏先が割り出せるはずだ。」

 「ちょっといいっすか?そのGPSの位置情報ってこれでわかるやつっすか?」


 白中がポケットからスマホを取り出した。


 「そうだ。我々が全員携帯しているこの端末で、位置情報が正確にわかる。」

 「そうすっか。」

 「なんだ?心配事があるなら言ってみろ。」

 「いや~。確信はないんですけど・・・。移動してるってのが気になって。」

 「どういうことだ?」

 「あのマリーとか言ったやついるじゃないですか。あの幼女の能力からすると、たぶんなんですけどテレポートだと思うんすよね。」

 「それは私も考えていた。」


 白中の意見に同調するように、武藤ヒカルが話に入ってきた。

 

 「私の能力は時間を引き延ばすことができるものなのだが、マリーというものが移動する姿が見えなかった。瞬間的に位置が移動したように見えた。」

 「そう考えると定点的な移動ができる能力ということか。」

 「だから、移動しているってのはなんかおかしくないですか?」

 「誰かがGPSをもって移動しているということか?」

 「たぶん、もう一人いたノリピーって呼ばれてたやつじゃないですかね。」

 「青木とGPSを分断した・・・か。」

 「そうなると相手の潜伏先を調べるのは不可能ですよ。」

 「・・・いや。直接相手から聞き出すしかないな。今のウイとユイの能力なら相手から潜伏先を吐かせることもできるだろう。」

 「ユイ氏は未だ目を覚ましていませんよ?」

 「ウイ。お前ひとりで、『押圧(プッシュ)』は出来そうか?」

 「・・・できなくないと思う。でも相手が戦闘不能に近い状態じゃないと無理かもしれません。」

 「・・・戦闘力か。」

 「ここは合同チームだ。最大戦力を投入してもいいのではないか?黒木。」

 「あぁ。武藤。白中。ウイ。行けるか?」

 

 呼ばれた三人は、「はい!」と返事をした。

 

 「だが、次が重要だ。相手の潜伏先が判明した場合、別動隊で調査してもらいたい。そこで、広瀬マルタと大門スグル。二人に任せたいがどうだ?」

 「僕の能力であれば、大量に諜報役をばらまくこともできます。あと大門さんとのコンボもありますので、戦闘でもなんとかなると思います。」

 「せやな。ガンガンの戦闘じゃなかったらいけそうやな。」

 「ユイも回復次第向かわせる。そこまでの道はすべて陸路になる。空の飛べるFQ3に後れを取るのは癪に障るが、しょうがない。」

 

―――――


 話し合いの末、道筋が立った特殊能力者調査部隊。

 各々が、戦闘準備をしている間に、黒木のもとに神戸チユが訪れた。


 「さあて、サキちゃんがいなくなった今言うことじゃないとはわかっているんだけど。」

 「能力の再判定のことだな。」

 「そうね。採用に関しては全員採用して構わないと思うわ。能力も多種多様。チームとしての役割もこなせる十分な人材だわ。」

 「で、東雲姉妹はどうだ?」

 「あれは、んー。限りなくSランクに近いAランクという感じかしら。」

 「どういう意味だ?」

 「Sランクの定義は、能力以外に肉体が超人となる者とされているけど、あと一歩ってことかしら。白中君みたいに傷一つつかない強固な皮膚を有しているわけでもないし、白中君みたいに自分の筋力で骨が折れることはない。けど、脳のリミッターを外して、筋力で骨が折れるまで強化できるっていうのは超人の域に足を踏み入れていると言える。だから限りなくSランクに近いA+って感じかしら。」

 「A+という基準はない。よってAとして報告すると?」

 「そうなるわね。だけど、このまま、Sランクにならずに自壊を繰り返すようじゃ、戦線から離脱させないと彼女たちは自らの力で死ぬわ。」

 「・・・。自らの力の反動で死ぬと。」

 「えぇ。回復だって万能じゃない。あくまでも自己治癒能力を高めてるだけ。それに彼女たちの力が呼応して、回復能力を上げてる。寿命を縮めているわ。」

 「わかった。」

 「ちなみに、ユイちゃんは1㎏くらいのハヤブサがあの速度で頭を直撃してるのに生きてるわ。だからといって回復次第、任務に就かせるのは私は反対だわ。」

 「・・・だが、ユイの力が必要だ。」

 「こういっちゃ棘があるから言いたくないけど、あなたが戦線に出ればいいじゃない。戦闘力もあって指揮もとれる。『命令(オーダー)』が成功すればどんな相手だって制圧できるはず。」

 「・・・選択肢にいれておく。」

 「その選択が選ばれることを私は望むわ。これ以上私の患者が死ぬのは見たくないもの。」

 「すまない。」

 「いいわ。その謝罪も結局は、意味をなさないことを私は知っているもの。だからこそあなたが戦場に立つことを望むわ。」

 「・・・。」


 棘のある神戸の物言いに黒木は黙った。

 確かに生死がかかっている戦場に安全地帯から命令だけを出している黒木は、葛藤している。

 だからこそ、現場には白中と青木と一緒に行っている。しかし、今回は違う。

 仲間の奪還。これを黒木は指揮官としての立場でいようとしたが、神戸の一言で現場主義の黒木に火をつけた。

 

―――――


 「再度集まってもらってすまない。今回の作戦についてなのだが、ユイは不参加とする。理由はいくつかあるが、神戸によるとかなりのダメージを負っているようだ。回復次第、向かわせるとしていたが、その代わりに私が行く。矢切、指揮を執ってくれるか?」

 「そういうことであれば、わかりました。」

 「ユイちゃんの容体ってそんなに悪いんすか?」

 「神戸曰く、回復するだろうと言っているが、直後に任務に就かせるわけにはいかない。」

 「そうっすか。で、黒木課長は、どっちに行くんですか?」

 「もちろん両方いくつもりだが、先立ってはGPSを追う。ウイもいるが、私の『命令(オーダー)』を使えば確実に情報を引き出せるしな。」

 「なるほど。」

 「相手は何人いるかわからない。相手の人数も情報として仕入れておきたい。戦闘面では、武藤や白中、ウイに及ばないが、能力を生かせられると思っている。」

 「同行、ありがとうございます。」


 武藤が黒木に感謝を述べた。


 「いや、私も青木を取り戻すために前線に出たいと思っただけだ。」

 

 FQ3と特殊能力者調査部隊がBRAINSへの対策を取っている同時刻。

 BRAINSたちの全貌が見えてきた。



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