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BRAINS  作者: 愛猫私


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第35話

第35話 合同試験の始まり



 関西地区のメンバーが東京へやってきた。

 矢切を筆頭に東京特殊能力調査部隊の本部に着いた。

 貫禄のある面々であり、課長級の矢切マサナオ、SランクBRAINの武藤ヒカル、広瀬マルタ。

 そして、今回関西地区の原石として、合同試験の主役である。大門スグルと鳥飼アヤセだ。

 

 「なんや、めっちゃでかいやん!」

 「うちとはまるで作りが違うな。同じ都市部とはいえこれだけの差があるのは、経済的な格差か。」

 「われわれは田舎者ではありません。同じ特殊能力調査部隊の人間です。どこで活動しようが同じことです。」

 

 矢切が落胆しているところに武藤が言った。


 「そうだな。気を取り直して東京地区の面々と顔合わせといこうか。」

 

 関西地区のメンバーは、気合を入れて足を踏み込んだ。

 

―――――


 「随分と長いエレベーターやな。」

 「最下層にあると聞いたが。」


 チンとエレベーターが止まる音と共に扉が開き、かび臭いにおいが一気に関西地区のメンバーを襲った。

 

 「カビくさっ!」

 「こら、失礼。」


 大門を窘める鳥飼。そこには、お辞儀をして待っていた青木がいた。

 

 「ようこそいらっしゃいました!東京特殊能力調査部隊の本部へ!」

 「出向え感謝する。」

 「いえいえ!それよりこんな薄暗くてかび臭いところですみません!」

 「いやいや。東京特殊能力調査部隊の本部の活躍は聞いている。どこで仕事をしようが高いクオリティを発揮している東京地区は尊敬に値する。」

 「矢切課長!ありがとうございます!では早速、東京特殊能力調査部隊の本部の応接室に案内します。東京地区のみんなももう集まっています!」

 「よろしく頼む。」

 「はい!こちらへどうぞ!」


―――――


 「遠いところからわざわざ来ていただき感謝する。私はこの東京特殊能力調査部隊の本部の課長をしている黒木という。よろしく頼む。矢切とは同期で切磋琢磨した仲であるため、今回のような合同試験を行う運びとなったわけだ。東京地区も関西地区もBRAINの脅威にさらされている今、特殊能力調査部隊の強化は必須事項だと考えている。ゆえに、今回は、東京地区と関西地区のBRAINメンバーの能力の再測定を行うことを目的とした模擬戦をする。」


 黒木は矢切に目配せすると矢切が話し始めた。


 「では、ここから関西地区の課長の私、矢切が説明します。まず、再測定に関してですが、能力自体の測定です。戦闘の勝敗は関係ありません。負けたからと言って低く設定されることはありません。また、今回試験を受けていただくメンバーは課長級から直々に説明を受けていると思いますが、東京地区からは、白中ユメト、東雲ウイ、東雲ユイ。この三名。そして、関西地区からは、広瀬マルタ、大門スグル、鳥飼アヤセの三人とします。お互いの能力はすべて開示されている状態ということにしますが、それ以外に隠しているものがあれば、できるだけ試験中に披露するようにしてください。再測定の質が下がってしまうので。」

 「仲間とは言え、手のうち見せんのは、悪手ちゃうんか?」

 「仲間だからこそ、手の内を知っておけば、フォローができるとは思いませんか?」

 「そりゃそうやけどな。」

 「BRAIN同士の戦いは、能力の内容がどれだけわかっているかで、勝敗が決するといっても過言ではない。しかし、われわれ特殊能力調査部隊の能力は、秘匿されておらず敵にとっては対処しやすい。そういった面では、不利な状況だ。だが、それをチームとして補うことで、より高い成果をだせるとも考えている。」

 「黒木の言った通り、チームとして行動するために誰がどんな能力を有しているのかを知るのは重要なことです。」

 「合同試験は、東京特殊能力調査部隊にある大型訓練所で行う。今日は、東京に着いたばかりなので一日休息をとってもらい明日、試験の開始とする。」

 「「「はい!」」」


 一同が返事をした。


―――――


―――――


 「え~。こちら八咫烏(やたがらす)~。無名、聞こえますか~。任務は順調~。」

 「はい。聞こえていますよ。」

 「目標はSランクに囲まれていて一筋縄ではいかなそう~。」

 「それも考慮して、幹部候補の一人を送り込みます。彼は優秀です。きっと役に立ちますよ。」

 「はいはい~。で、誰~?私うちらないんだけど~。」

 「パイロキネシスのパイロ君です。」

 「パイロキネシス~?火を使うの~?」

 「はい。この短期間で火だけ操る能力だけではなく、かなり成長した幹部候補です。」

 「あ、そう~。とりあえず、うちに合わせるように伝えて~。」

 「わかりました。あと、この任務が終わったら、幹部会議を行うのでターゲットを連れてきてください。」

 「わかった~。」

 「では、引き続きよろしくお願いいたします。」

 「は~い。」


 ペストマスクを被った黒を基調にしたコートを着た人物は、東京特殊能力調査部隊のなかに潜り込んでいた。FQ3の幹部である八咫烏と呼ばれる人物だ。


―――――


 「無名、八咫烏一人で大丈夫なのかい?」

 「道化様、八咫烏様も幹部の一人です。ここは信頼しておきましょう。」

 「あひゃ!道化ちゃん!人さらいならうちが得意だって思ってるんでしょ!」

 「その通りだよ。」

 「ノンノン!逃げの一手は八咫烏の方が強いよ!」

 「敵前逃亡が許されるのは幹部だけでしょ。あんなやつは早く死んだほうがいい。」

 「あひゃ!道化ちゃんみたいになんでも殺そうなんて思ってるやつの方が少ないんだよ!というか、そういう能力じゃないし!」

 「能力の話じゃないよ。今回の任務で八咫烏の顔は絶対にばれるわけなんだから、相手に情報を渡すことになるだろ?だから死ぬべきなんだよ。」

 「あひゃ!じゃあ、道化ちゃんがやればよかったじゃん!」

 「嫌なこと言うね。僕はこの手の任務に向いてないって知ってるでしょ。」

 「自分で文句言ってるくせに何それ~!」

 「ほんとなら脱兎、君がやるべきだと思っていたんだけどね。疲れたとか言って、八咫烏にやらせたんだから。」

 「あひゃ!じゃあ、閃光と戦ってみなよ!」

 「はい。そこまでにしてください。」


 無名が道化と脱兎の間に入って話を中断させた。


 「重要なのは、誰がやるかではなく、このターゲットを確実に攫うことです。」

 「そういえばなんでこの人物をさらうか聞いてなかったね。」

 「敵勢力のBRAIN、脳男がこの人を攫おうとしている情報が入りました。」

 「なんでまた?」

 「そこまではわかりません。が、この人物が抱えている情報はFQ3にとってかなり有用です。」

 「あひゃ!もしかしたら、敵勢力も奪いに来るかもね!」

 「・・・だから、逃げの八咫烏さんとパイロ君なのですよ。戦いになれば敵勢力の方が圧倒的に戦力は上。特に念動力が出てきた場合、かなりピンチになります。」

 「念動力ね。あれはチートすぎるね。」

 「はい。無生物であれば、自由に操作できる能力。対象が全裸でない限り、なんでも浮かせられてしまいます。」

 「あひゃ!うちは嫌だよ!レディなんだから全裸で戦うの!」

 「どうせ見せるようなものないじゃないか。」

 「あひゃ!小さいお胸のどこが悪いんだ!」

 「別にそこまで言ってないよ?」

 「二人ともやめてください。」

 「とにかく、十中八九、敵勢力が来てもおかしくないね。」

 「はい。危惧していますが、敵勢力も特殊能力調査部隊の抵抗にあうでしょう。そのごたごたの間に二人に攫ってもらうというのが、ベストですね。」

 「まあ、ここで憂いていてもしょうがない。八咫烏とパイロ君に任せるしかないか。」

 「あひゃ!そういえば、彼らはどうなったの?」

 「順調ですが、今のところ目覚めてはいません。」

 「あんな変なカプセルにいれて、延命させて意味があるのかい?」

 「道化ちゃん!うちがとってきた脳なんだよ?大切に使ってもらわなきゃ困る!」

 「けど、もう大分経つよ?」

 「そうですね、頃合いをみて破棄する方向も視野に入れておきます。」

 「閃光と戦ってまで取ってきたのに・・・。」


 倉庫内に設置されたカプセルのなかには、傷だらけの少年と屈強な男の二人が、なぞの液体に漬けられ延命されている。



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