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BRAINS  作者: 愛猫私


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第33話

第33話 東雲姉妹の療養



 FQ3との闘いで重傷を受けた東雲姉妹は、二人とも目を覚ましていた。

 しかし、ウイは足の筋肉の損傷、ユイは両腕の骨折とすぐに完治するものではなかった。

 

 「あんたたち、いつもの治療の時間だよ。」

 

 そう言って入ってきたのは、煙草を吹かすナースの女。神戸チユだ。

 東京特殊能力調査部隊の病院には、当たり前だがBRAINが運ばれてくる。さらには、負傷した特殊能力調査部隊の隊員など多岐にわたる。

 それを一人で治療しているのが、神戸チユだった。彼女もまたBRAINであり、能力は『自然回復(リジェネレーター)』だ。自己の治癒力を最大限にまで活かすことができる。この能力で、時間のかかる治療も数週間もすれば元通り完治する。


 「チユさん、おはようございます!」

 「・・・おはようございます。」

 「患者がたくさんいるからさっさと終わらせるよ。二人ともこっち座って背中向けて。」

 「はい!」

 「うん。」


 そういうとチユは、二人の背中に手を当てた。ぽわっと白い光が手に灯る。

 その光は、だんだん東雲姉妹を覆いつくす。

 

 「ボーっとしてないで、集中する!」

 「はい!」

 「うん!」

 「あんたたちの根源は集中力にあるんだろ?だったら、今私の能力で体が回復していることも集中して感じ取れるようになりなさいな!自分の体を理解することそれが、戦いの基本だよ。」

 

 東雲姉妹は目を瞑り、自分の体に流れてくるチユの能力を感じ取る練習をしていた。

 集中力を高く保つことは、東雲姉妹にとって能力の向上であり、自分たちを守ることにつながる。

 黒木課長によって、神戸チユが回復兼指導を担うことになった。これは合同試験まで、療養するしかない二人にとっての唯一の訓練手段だった。

 

―――――


 「あんたたちの能力は心を読む力だろ?だったら、脳から発信される電気信号を相手が体を動かすよりも前に感じ取れれば、理論的にはすべての攻撃や防御を先読みできるんだ。わかるかい?」

 「そんな風に考えたことなかったかも。」

 「右に同じ。」

 「脊髄で反応されるような反射行動以外は、脳からの命令なわけだ。相手がパンチを打つと命令して実際に体を動かすまでのタイムラグを突く。そのやり方というか、方法はもう二人とも理解しているだろ?」

 「はい。集中力を極限まで高めることです。」

 「その通り。それがゾーンっていうやつだ。その境地に入れれば、相手の行動の先手を全て取れる。だが、維持するのが難しいことと、能力に集中力を全振りした状態だと、体を動かすことができない。だからこそ、集中力の範囲を拡大する必要がある。ゾーンに入って能力を発動したまま、相手よりも先に体を動かす。どれだけ難しいかわかるかい?」

 「えーっと一つの脳で二つのことを同時にやれってこと?」

 「完全なデュアルタスク。」

 「まぁ。そんな感じだな。そもそも脳は左脳と右脳に分かれてるんだ、別々に考えることなんてできないなんて誰が決めた?多重思考であることとそれを即時に行動に移すことこれが二人の能力をさらに開花させることになると私は思う。まずはゾーンに入る練習だ。」

 

 傷ついた体を癒しながら、二人は集中力の世界に入り込んでいく。

 もともと何もせずとも集中力を高める方法を編み出していたユイは、自然と白い靄のようなものが出現している。

 しかし、ウイからはユイ同様の白い靄は出現していない。


 「はい。ストップ。」

 「え?」

 「ウイ。お前は、ユイよりも集中力が浅い。なんでだ?」

 「うーん。音楽を聴いたりしないと集中できないかも。」

 「そうか。それがウイのトリガーなのか。どうしたものか。ちなみにユイはどうやってる?」

 「自分の心の中を自分で探っているような感覚です!」

 「私にはよくわからないが、そうすることで、ゾーンに入れるわけだな?」

 「はい。自分の心の中を探っていくと、堂々巡りになった状態になって、それを外側に向けるとゾーンに入ったまま戦えます。」

 「だとさ。ウイ。お前も同じようにやってみろ。能力を使って自分の心を読み続けることが重要みたいだ。」

 「わかりました。」

 

 再び、二人は目を瞑り自分の精神世界へ入っていく。

 ぐるぐると思考は加速しだし、自分の心を客観視した状態になったとき、それは起きた。

 ウイの体からも白い靄が出現したのだ。

 しかし、白い靄は消えたりまた現れたりと不安定の状態だ。これは、まだこの行動でゾーンに入るということが定着していないということの表れだ。

 

 「はい。ストップ。うん。出だしは上々だな。あとはこれをいかにスムーズに持続できるか。それを応用できるかが重要だ。」

 「わかりました。」

 「うん。練習する。」

 「療養以外のときも集中力を切らさずに保つ訓練をしておけ。とりあえず、体の方はこれで今日の施術は終了だ。」

 「ありがとうございました!」

 「ありがとう。」


―――――


 神戸チユは、二人の診療内容を書いている。

 そこには、推定BRAINランクの記載欄があり、神戸チユの見立てでは、Sランク相当と記載されていた。

 人体の強化が常人レベルをはるかに超える場合、Sランクとなるが、神戸チユは東雲姉妹もその領域に踏み込んでいると判断していた。

 なぜなら、ゾーンにおける脳の制御の解除が、人体に及ぼす影響を理解しているからだった。

 超人的とはいかないまでも、自分の筋肉で骨を砕くほどの力を発揮できるのは、脳の制御を解除しているからだ。

 脳からの指令を強化できるのであれば、治癒力や身体強化など多岐にわたって効果を発揮する。

 Sランクのように化け物じみた身体強化ではないが、常人とは違う能力を発揮することになる。

 煙草を吸いながら、二人の診療内容を見ている、神戸チユ。


 「こんなに若いのにねぇ。すげぇわ。」



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