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BRAINS  作者: 愛猫私
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第3話

第3話 特殊能力者調査部隊本部



 朝方、その暴れる物音は静かになり、部屋の中からノックの音がした。


 「あ~。すみません。限界迎えて寝てました。黒木さん?います?」

 「あぁ。起きたか。今開ける。」


 重たい扉が開いた。

 そこには、上半身裸で、頭をポリポリと掻いている白中が立っていた。

 

 「おはようございます。どうも、すいやせん。」

 「そんなことだろうと思っていたさ。しょうがない。眠気は覚めたか?」

 「ぼちぼちってとこっすかね。」

 「暴れられても困る。とりあえず、日中は寝ないようにしてくれ。」

 「・・・善処します。」

 

 猫背の白中は、軽く頭を下げ了承した。

 二人は、白中の部屋という名の独房から移動し、特殊能力者調査部隊本部のある部屋へ向かった。

 そこは、部屋というよりも倉庫の一室を無理やり改造して作った部屋で、書類の棚がところ狭しとあり、何とも息苦しいところだった。

 

 「みんな、おはよう。」

 

 黒木が挨拶をする。

 女性が二人、書類の棚の奥に男性が一人いた。

 

 「黒木課長、彼が噂のBRAINですか?」

 「あぁ、今紹介する。みんな集まってくれ。」

 

 各々が自分本来の机の前に集まってきた。

 

 「今日から配属になった白中ユメト(しろなか ゆめと)だ。私が引き抜いたSランクBRAINだ。今後の調査で共に働いてもらう。よろしく頼んだ。ほら、挨拶をしろ。」

 「あ~。どうも、白中ユメト(しろなか ゆめと)っす。正直、皆さんには迷惑しかかけないと思いますが、よろしくっす。」

 「では、各々自己紹介をよろしく。まずは、上から順にだ。」

 「うちからですか?えぇっと。元自衛官で今は特殊能力者調査部隊本部のオペレーターをしている緑川ミナミです。一応、現場で何かあれば、逐一報告してくれれば何かしら指示します。まあ、黒木課長が現場に出てるので特にやることないんですけどね。」

 

 インカムを付け、黒縁眼鏡を付けているのが、この特殊能力者調査部隊本部のオペレーターであり、現場の指示を統括するマネージャーの緑川だ。

 自衛隊出身だが、体は小さく、武術に秀でているとは思えない体つきだ。

 

 「緑川は、現場状況から他の部署との連絡も兼任している。状況把握のプロだ。何かあれば聞くと言い。」

 「わかったっす。」

 「では、次、一頼んだ。」

 「こんにちは。赤坂ハジメです。特殊能力者調査部隊本部でシステム担当をしています。よろしくです。」

 

 緑川同様にインカムを付け、Tシャツ短パンの姿で、手にはお菓子の袋を持っている赤坂が言った。

 赤坂は、見るからに少年だ。しかしながら、黒木が白中同様に引き抜いた凄腕のホワイトハッカーだ。

 

 「見てのとおり、ハジメは少年だ。特例としてここに配属してもらっている。システム関連のことは彼にすべて任している。特にBRAINのデータなどを聞きたい場合は彼に聞いてくれ。」

 「了解っす。」

 「では、最後。お前の同僚となる者だ。青木頼む。」

 「はい!青木サキと申します!主に現場での聞き取りや調査全般を行っています。白中さんと黒木課長の三人で行動することが多いと思いますのでよろしくお願いします!」

 

 快活な声の女性は、ボブカットがお似合いの黒木同様に黒いスーツで見るからに若い女性だ。

 

 「青木は、BRAINオタクだ。調査の要と言っていい。異能力は必ずしも解き明かされた状態で事件が起きるわけではない。それを推理して、答えを導き出すのが彼女は得意だ。」

 「そんな黒木課長ほどじゃありませんよ!推理なんてとんでもない!私は今解明されているBRAINたちの能力を暗記しているだけですよ!」

 「それもすごいけどね。どれだけいると思ってるのよ。」

 

 緑川がツッコミを入れる。

 

 「今まで起きた事件のBRAINの能力は全て暗記していますよ!」

 「この通りだ。青木は、BRAINの能力のスペシャリストだ。BRAINの能力について分からない事があれば聞くといい。」

 「じゃあ、俺のことも知っているってわけっすね。」

 「あぁ。青木だけじゃない。ここにいるメンバー全員がお前のことを知っている。過去のこともだ。だが、それは今後関係ない。我々のボディガードの役目を与えているんだ。それを全うすればいい。」

 「そうっすか。黒木課長はともかく、サキちゃんだけで行動するのは危険っすよ。」

 「基本的に二人で行動するようなことが起きないようにする。それは大丈夫だ。必ず私が同行する。会議などの出席は代理で緑川が行ってくれ。」

 「了解しました。」

 「では、今日からよろしく頼んだ。」

 

 白中は、軽く頭を下げると、青木の横の開いている席に座った。

 

 「白中さん!白中さんは『夢遊病(スリープウォーカー)』なんですよね!?」

 「あぁ。まぁ、そうだけど。」

 「SランクBRAINなんて、研修中以外に初めて見ました!」

 「なんとなく想像してたけど、結構ズケズケ入ってくるタイプなのね。サキちゃんって。」

 「白中さんも同じだと思いますよ。初対面なのに下の名前で呼ぶなんて。」

 「あぁ。一応、距離を縮めるつもりで呼んだんだけど。嫌なら変えるけど。」

 「全然気にしてません!だから私も気にせずに接します!」

 「あぁ、そう・・・。」


 白中には、青木の性格が眩しすぎて目が眩んでしまった。

 

 「ユメトお兄ちゃん。お近づきの印にこれあげる。」

 そう言ってきたのは、赤坂ハジメだ。

 「おう。ありがとう。ハジメちゃん。」

 差し出されたのは、一枚の板チョコだった。

 

 「僕、板チョコ好きなんだ。食べたかったらいつでも言ってあげるから。」

 「まじか。俺もチョコ好きなんだよ。脳が欲してるというか。困ったらもらいに行くわ!」

 「えへへ。じゃあ、僕お仕事あるから、またね。」

 

 ハジメは、そういうと書類の棚に囲まれ、さらには数十台はあるモニターがある一画へ向かった。

 

 「ハジメ君は、天才なんですよ!」

 「あの年齢でハッカーなんだろ?すごいなぁ。」

 「ハジメ君にかかれば、ありとあらゆる電脳世界に入り込むことが出来ますよ!いつも、赤信号を青信号に変えてもらってます!」

 「そんな微妙な使い方すんなよ。」

 「あはは!特殊能力者調査部隊本部はいつでも緊急事態なのですよ!」

 「あぁ、そう・・・。んで、俺は何をすれば?」

 「えーっとですね。今日は初日ですから、今追っている事件の内容をお伝えするので、一緒に考えてください。黒木課長もお願いします。」

 「あぁ。わかった。」

 

 青木は、パソコンを叩き、書類の棚に無理やりに付けた白い紙のスクリーンに、今追っている事件の内容を投影した。



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