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BRAINS  作者: 愛猫私


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第28話

第28話 火炎



 SOSコールで駆け付けた3人が目にしたのは、黒い塊と傷だらけの東雲姉妹だった。


 「おいおい!どうなってんだ!?」

 「ウイちゃん!ユイちゃん!大丈夫ですか!?」

 「敵を制圧したようだな。まだ周りに敵がいるかもしれないが、まずは、東雲姉妹の回収だ。」


 青木と白中は、ウイとユイの元へ駆け寄ろうとした。その時だった。

 公園の暗がりが突如として、明るく照らされた。それは、業火だった。燃えていたのは、あの目つきの悪い男だった。


 そう、大ピンチからの逆転の力。その力は、弟を自ら殺した時の信じられないほどのストレスから発現していた。そして今BRAINとしての覚醒。燃え上がるのは、皮膚が露出しているところだけだが、赤い炎はメラメラと燃えている。

 

 「新手だ!白中、準備しろ!」

 

 黒木が叫んだときだった。一直線に傷だらけの少年と屈強な男の二人と東雲姉妹を分断するように炎の壁が出来上がった。

 

 「あれ!パイロキネシスですよ!」

 「そんなこと言ってる場合じゃねえだろ!」

 「でも、もう近づけないですよ!」


 炎によって分断された公園は、煌々と照らされて、ヴァンタブラックのスーツがより際立って奇妙に見える。そして黒い塊を担ぐ炎の男。

 

 「おい!逃げるな!」

 「いいのかよ。その姉妹放っておいて。」

 「黒木課長どうしますか!?」

 「東雲姉妹が優先だ。今あの炎に巻かれたら取り返しがつかない。」

 「よくわかってんじゃねぇか。今日は帰らせてもらう。あと礼も行っておく。あんがとよ。」


 炎の男は、ヴァンタブラックのスーツの黒い塊を二つ抱えて、消えていった。


―――――


 白中はユイを抱え、青木がウイを抱えてその場を離れた。

 

 「う・・・ん?」

 「大丈夫か、ユイちゃん!」

 「え?いや、もうボロボロ・・・」


 ユイは出血多量で顔面蒼白であった。体の切り傷から溢れる血は、白中の服にもついてしまっている。

 

 「お姉ちゃんは?」

 「多分大丈夫だ。それより今すぐ病院に連れてってやるから頑張れ。」

 「うん。」

 

 そういうとユイは静かに目を閉じた。

 ハジメがSOSコールの際に救急車も併せて連絡しておいたおかげで、二人は特殊能力調査部隊本部の病院に運ばれた。


―――――


 「帰ってきたぞ。」

 「あらあらこれは・・・」

 

 燃え上がっていた男は元の姿に戻っていた。

 しかし、傷だらけの少年と屈強な男の二人を悠々と抱え倉庫に戻ってきた。それを見た道化はすぐさま状況を把握した。

 

 「失敗?。いや、成功だね。」

 「このどこが成功なんだよ。見ての通り二人はボロボロだ。相打ちと言いたいところだが、逃走を優先させてもらった。」

 「ほう。あの二人が戦闘不能の状況下でどうやって逃走を?」

 「俺にもよくわかんねえけど、俺はBRAINになったらしい。あの女が言っていたのを聞くとパイロキネシスだとさ。」

 「これは僥倖!君に期待していなかったことがようやく実を結んだということだね!ドゥーユーアンダースタンド?」

 「わかるわけねえだろ。とにかく手当だ。二人とも気絶してるし至る所がたぶん折れてる。」

 「もうその二人は用済みだよ。」

 「は?何言ってんだ!」

 「目的は達成されたと言っているんだよ。」

 「目的はBRAINを殺すことだろ!」

 「それは表面上の目的。組織の目的は、このFQ3内にもBRAINという武器を携えること。」

 「・・・どういう。」

 「君は見事合格したんだよ!BRAINになって幹部の仲間入り。」

 「お前だって幹部だろ・・・ってお前もBRAINなのか?」

 「他人に能力の内容を言うのは非常に愚かなことだよ?パイロキネシスだっけ?炎を操る力・・・。派手でうらやましい。道化は、つまらないことで相手を笑わせなければならないというのにさ。」

 「用済みってどうするつもりだよ。」

 「さて、ここでお勉強タイムです。BRAINの能力はどうやって開花するのか。その根源は脳にあります。強いストレス、感情の高ぶり、強い虚無感などなど。解明はされていないけど、FQ3ではいろいろな実験をしてきたんだよ。そこでわかったことが一つ。非人道的なことだけど、その二人の脳を食べなさい。」

 「・・・は?」

 「あなたはどんなことをしてでもこの組織をぶち壊すんじゃなかったのかい?」

 「でも、お前はこいつらを守れって。」

 「そうだねぇ。しかし、守り切れなかった。逃げ帰ってきた。それがすべて。我々の存在が露呈した失敗を我々の流儀に則って、適性に処理させていただく、とても理にかなった話だよ。」

 「脳を食うだと?」

 「はい。抵抗があるのかい?」

 「あるに決まってんだろ!人の脳を食ってどうなるっていうんだ!」

 「・・・今以上に強くなるんだよ。」

 「は?」

 「脳は、その人間の本質、魂が宿る場所とも言い換えられる。蓄積された経験値を得るためには、BRAINが脳を摂取することで飛躍的に能力が向上することが分かっているんだ。それは、BRAINとしての能力ではなく身体的能力もしかりだよ。この組織で生きるため、強くなるためには、人の脳を食らう必要があるということ。これは幹部の仲間になった祝いだよ。ドゥーユーアンダースタンド?」

 「幹部とやらになれたならもう少し聞かせてくれよ。この組織の目的はなんだ?」

 「いいでしょう。少し話すくらいなら。この組織の大元はビッグエアーという大企業。」

 「あの服のブランドか?」

 「そう。しかし、アパレルだけじゃない。目立っているのがアパレルってだけでそれ以外にも手広く事業を展開している。」

 「そんな大企業が何をしてんだ。」

 「あるBRAINを探しているんだ。それは敵対するBRAIN集団の主客の男だよ。」

 「資料でみたぞ?念動力を使うやつか。」

 「違うよ。それは手下に過ぎない。」

 「は?じゃあどんなやつなんだよ。」

 「BRAIN集団の主客の男は『脳男』と呼ばれている。文字通り脳。特出すべき点は、異常に発達した脳。すべてを高速で演算し、処理できる脳を持っていてね。言うなれば、頭の中にスーパーコンピューターが何台も携えている男という感じかな。」

 「それを捕まえてどうするつもりだよ。」

 「こちらにも高次元の能力を持っている者がいる。それが、今のビッグエアーの会長のご子息。かれは先天的にほとんど自我を持っていないのだよ。ここからは憶測になるんだけど、彼の能力は『想像したものを現実化させる』能力だと思われるだよね。」

 「は?そんなもんがあったらこんな世界一瞬で終わりじゃねえか。」

 「そう。だからこそ、その『脳男』と会長のご子息を使い、この世界からBRAINを完全に除去するのが、我々の真の目的だよ。」

 「・・・途方もねえ。」

 「いかがかな?聞いてきたのは君だよ?」

 「世界を変える?笑えるね。そんなことのために俺はこんなことをしてたのかよ。」

 「そう、だから、これからもするんだよ。力がものをいう世界から真の平穏を取り戻すためには必要なことなので。その一歩が、彼らの脳を食べることなんだよ。」

 「・・・いやだね。」

 「そう来ると思ってたよ。君もBRAINになったんだから反抗するであろうとね。」


 目つきの悪い男は、体に炎を纏い、臨戦態勢に入った。

 道化はやれやれといったような感じで、首をゆるゆると振っている。

 

 「美味しいとは言わない。が、レバーみたいな触感でクリーミーな白子のような味だよ。」

 「聞いてねえよ!」

 「では、しょうがない幹部の道化が直々に教えますか。パイロ君。」



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