閑話1
今回は閑話です。
本編の主人公カイト視点とは異なり、別の冒険者チームの視点から描かれています。
文字数も短かったり長かったり、バラバラでありますが物語の本筋には直接関わらない内容なので、読み飛ばしてもストーリーの進行に影響はありません。
今後もこのような閑話が挟まることがありますが、お楽しみいただければ幸いです。
まだ5月ということもあり、動きやすい森の中を4人の男女が歩いていた。
軽い革装備を身にまとい、刀のような細身の剣を腰に差した男が、涼しい顔で木々の間を進んでいる。かなり歩き慣れている様子だ。
「動いたぞ」
「何体だ?」
後ろから来た男が声をかける。先頭の男はゆっくりと手を挙げて静止の合図を送った。
「前方150メートルに4体、その奥200メートルに2体。合計6体だ」
「よし、いくぞ」
だが先頭の男は腕を振り下ろし、制止した。
「待て。手前の奴らは別チームだな。魔力量がばらついている。1人だけ飛び抜けているが、平均的に見てゴブリン・ジェネラルの等級だ」
後ろの男が眉をひそめる。
「この森の奥にはオークが増えすぎていて、その影響でゴブリン・ジェネラルたちは浅い場所に追い出されている。だが、その浅い場所にいるはずのジェネラルたちがいなくなったせいで、新人たちは成果を求めてさらに奥深くに入り込んでしまったのかもしれん」
探査魔法を巧みに使う彼らは、まだ未熟な新人がここまで来ていることを危惧していた。
「新人がこちらの存在に気づいても、冒険者と判断できないだろう。挟まれているように感じているかもしれん」
「オーク以上の何かが来ていると勘違いしている可能性もあるな」
「俺はビビらせるつもりはない。右から回り込む。奴らも左に逃げるはずだ」
「了解、それでいこう」
4人は慎重に方向を変え、森の奥へと消えていった。