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悪役令嬢は異世界をお望みではないようです。  作者: 竹の心
2章 ディバンカ王国 スパイ編
6/9

6間者になりまする

スパイ編始まりました!





馬車に揺られて数時間…

スカイはある屋敷の前に立っていた。


「ようこそ。あなたがソラさんですね?」

使用人と挨拶を交わす。ソラというのはスカイの偽名だ。


「うん、よろしく。」

手を差し出して握手をする。




ここはディバンカ。ヘリストの敵国である。




「ではこれから先生(公爵)にご挨拶をしてもらいます。決して失礼のないように。」


コンコンコン


「入りなさい」

男の声が響く。スカイもといソラは慎重に重厚感のある扉を開けた。









「君がソラ君か…」

意外に部屋の中は質素で入る前とは異なる印象だ。

目の前の男は目を細め微笑みながら呟き、隣にはヴァレットが1人。どちらもソラを観察するように見つめる。


そして一方ソラは公爵ではなくヴァレットを見つめていた。


(この人…)








前にも見た綺麗な顔立ちの少年は黒髪で焦げ茶色の瞳、まるで日本人のようであった。


「大丈夫かい?」

少年をぼーっと見つめていた空に公爵が尋ねる。


「あっはい。空と言います!宜しくお願いします」


「私の名はセオドール・ホークショー、この公爵家の当主だよ。趣味で植物を研究している。よろしくね」

空はお辞儀をし挨拶を交わした後、改めてセオドールを見た。


「ところでソラ君の服装は独特だね。自分で作ったのかい?」

セオドールがソラの着物を見つめながら質問をする。


「!!...はい。これは着物って言うんだけど季節関係なしに着られるし、何よりも美しいんだ!それに…」

ソラは隣に立つ少年が厳しい顔でこちらを見ていることに気づき言葉を止める。少し興奮しすぎたようだ


「へぇ!見た所、9、10歳ほどなのに服を作れるとは!」

驚いた顔で見つめられる。


「…私、14歳ですけど…」

どうやら勘違いをされたようだ。


「おっと、失礼した。14か…ウィリアとちょうど同じだね。」

そう呟きながら流し目で少年を見つめる。どうやら少年の名はウィリアと言うらしい。


「ちょうどいい!君はヴァレットの見習いをするんだったね。だったらウィリアから業務を教わるといい。」


「え!まじすか!よろしく!」

ウィリアはお辞儀をする。


「ではウィリア、頼んだよ。」


「はい。」

空はウィリアと部屋を出た。











「なんですか!あの態度!先生はこの家の領主ですよ!?」

部屋を出てドアを閉じた途端、ウィリアが声を荒げた。


「まあまあ、セオドール先生も気にしてなかったし!」

叱られるのが面倒でなんとか誤魔化す。


「全く…変な人が来ちゃったなあ…。なんだか、前もあなたみたいな人に会った気がします。」

ウィリアはため息をつき、突然思い出したように話す


「あ〜。君、線路で汽車に惹かれそうになったとき助けてくれた子だよね?」


「え?どうして知って…」

どうやら男装をしているため、あの時の少女と気づいていないようである(多分)


(しまった。これ言っちゃいけないやつだ…)


「ところで君の名前なんて言うの?どうせなら仲良くしようよ」

空は話しを変え名前を聞く


「いきなりですね…ウィリア・トードーです。あなたはソラさんですね。」


「うん。ソラでいいよ。藤堂君か、よろしくね!」


「え?トウドウじゃなくてトードー…」


「藤堂君は見た目に加えて名前まで日本人なんだね!いやあ〜私気に入ったよ!」

空は無視して話しを続ける


「え、えぇ〜…」

藤堂の胃は少しばかり痛くなった。




だが2人の仲は無意識に打ち解けていった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「ねえねえ。先生は植物に詳しいんだよね?」

首を傾げて公爵に聞く。


「うん。そうだよ?」


「だったらさ、大豆って知らない?」


ダイズ…ダイズ…と呟いて空を見る


「うーん…聞いたこともないし知らないかな。」


「そっかー…」


すると藤堂が部屋に入ってきた。


「2人共どうしたんですか?」


「あ、藤堂君。大豆って知ってる?」


「ダイズ?どんなものなの?」


「んーとね。薄い橙色の豆なんだけど、枝豆が成熟したら大豆ができるんだよ。」


「枝豆はどういったものなんだい?」

話しを聞いていたセオドールが口を開く


「枝豆は緑で、茹でて食べることが多い豆だね。」


その話を聞くと、藤堂とセオドールは顔を見合わせて空に聞く


「それって、ウェンバ豆じゃないかな?」


「う、うぇんば?」

聞いたこともない豆の名前に困惑する。


「気になるなら、市場へ行ってみるかい?」


(これはチャンスかもしれない。)


日本食にとって大豆は必要不可欠である。空はセオドール等と共に市場へ出かけることにした。












「うわあ!!いろんな物がある!!」

市場をきょろきょろと見回して走り回る


「ソラ!あんまり走り回ったら迷子になっちゃうよ!」


「大丈夫だって!藤堂君もおいでよ!」


「ち、ちょっと!うわっ!!」


藤堂の手を引きどんどん奥へ進んで行く。ちなみにセオドールは置いてかれている。


「早く早くー!!」


「待って!先生置いて来ちゃってるから!」



するといきなりソラが立ち止まる。


「ソラ、一回戻ろう?」


「え」


「え?」






「枝豆だーーーーー!!!!」


目の前に置かれていたのは緑のさやに入った枝豆であった。


「お、坊主!こいつが気になるのかい?」


「うん!!ねえおっちゃん!これどこから仕入れてるの?」


「え?確かァ…トレンスチアっつう村からだな…」


「えー!行ってみたいなあ!藤堂君、どこにあるか知ってる?」


「ソラ、知らないの?あそこは男性が入村できない村だよ。つまり僕たちには行けないんだ。」


「だけど…この枝豆、質が良いし作ってる環境を見てみたいんだよ!」


「そう言っても…」


「いいの、いいの!私には策があるから。じゃあ、おっちゃん!ありがとね!」


「おう!また来いよ!」


「うん!!さ、先生のとこに戻ろ!」


「う、うん」

藤堂は嫌な予感がしてならなかった。







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