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4男装をすることになった






失敗したら死


役に立たなかったら死


機嫌損ねたら…




「とにかく死ぃぃぃ!!!!!」




「ああ!!お嬢様!!おいたわしや!!」


元の世界に帰りたい!!敵国に忍び込むなんてバレたら死ぬし、寝返っても父様に殺されるじゃないか!!








西の王国ヘリストは、東の隣国、ディバンカと長年対立している。

そしてスカイはそこに間者として乗り込むことになってしまった。



「もしかしたら何も出来ずに、そのまま野垂れ死ぬんじゃ…」


不安を抱えながら時間は早々と過ぎていった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




父との対談からしばらくたったある日。

「お嬢様、旦那様からお手紙が届いております。」


「父様から…?」

手紙なんて珍しい。そう思いながらペーパーナイフを手に取り丁寧にゆっくりと開けてみる。


「これは…」


それは任務に関しての手紙だった。だが…








「…は?」


手紙にはヴァレットの見習い(従僕)としてディバンカの公爵家に仕えるようにと書かれていた。


「…ヴァ、ヴァレットって」







「ヴァレットって’’男性’’しかなれないんじゃないの…?」

おそらく主人と多く関わる使用人、ヴァレットとして使えさせ、有益な情報を集めたいんだろうがヴェンテス・ラクライシスは何を考えているのか、スカイにはさっぱり理解できなかった。



「…理解できない。どういうわけ…?」


「お嬢様、お父様から伝言が。」


「…」

スカイはゆっくりと使用人の方へ顔を向ける。







「男装をして公爵家に仕えるようにとのことです。」


「...はぁ!!??」


その日から男性のフリをする練習が始まった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「クソ〜!!ヴェンテス・ラクライシスめ…許さん…」

スカイは屋敷から抜け出し、東側の街を探索していた。


毎日のように男性のフリをする練習をし、使用人に叱られるのが嫌でこっそり家から抜け出していた。


「しっかし今日は人が多いな、どうしたんだろ…」

どうやら人が集まっているようだ。その中心部から悲鳴が聞こえる。


「悲鳴?一体何が…」

スカイは人混みをかき分け中心部へ近づく



「やめてっ!離してよっ!!」


「てめえが俺を裏切ったからだろうが!!」


「そんなことしてない!!誤解よっ!」


男女が争っている。周りの人々から盗み聞きをするには男が嫉妬で暴力を振るい、女が家から飛び出してきたらしい。


「何やってるの!」

それを聞きスカイが2人に近寄る。


「あぁ!?ガキが口出してんじゃねえよ!!」

男が叫ぶ


「何があったか知らないけど、暴力より先に話し合いをしたら?」


「生意気なッ!!」

手を上げた瞬間、スカイは走り出した。


「生意気言われたくないんなら追いかけてきな!」


「テメェ…挑発しやがって…」

男も走り出す。


スカイは街を駆け回り、男を撒いて女から遠ざけるつもりだった。だが追いつかれそうになり、慌てて線路を越えて逃げようとした。





その時、ポーーーーッッっという大きな音が鳴る。スカイに汽車が近づいた。




「あ…やばっっ




ドンッ!!





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





気がついたら私は地面に横たわっていて、知らない少年がこちらを覗き込んでいた。


「...ここが天、国?」


「違いますよッ!」

少年が素早くツッコミを入れる


「全く!なんで線路を飛び出したんですか!?」


「ご、ごめ「僕が引っ張らなかったら貴女、死んでいましたよ!」

どうやらこの少年が助けてくれたらしい。


「いやぁ、ありがとう!実は色々あって...ってあれ?」

周りを見渡し、少し日が落ちかけているのと同時に追いかけて来ていた男がいないことに気がつく。


「ねえ。近くに怖そうな男の人居なかった?」


「え?」

反応からして少年は見かけていないようであった。


「いや...まあいいや」

そう呟いて、改めて少年を見つめた。




(この人、なんだか...)


まっすぐで黒い髪、焦げ茶色の瞳にこの世界では珍しい顔立ちはまるで



「日本人みたい...」


「...は?」

言葉が理解できなかったようで困惑している。


「いや、なんでも...」


「それより、怪我などはありませんでしたか?」


「うん、大丈夫。本当にありがとう!そろそろ帰らないと。また会ったら恩返しさせて!」


「え?ち、ちょっと!?」

少年が心配そうに走っていくスカイを見つめる。


「あっちはヘリスト...?ならあの子は...」




スカイが渡った線路は国境であった。

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