3婚約破棄はテキトーに決めといて
翌日、王子のアルメジアはスカイを呼び出し昨日の続きの婚約破棄について話し合いを始めようとしていた。
おい、なんだあの服装…
髪があんなに短く…
恥ずかしくないのかしら…
集まった王国内の貴族達がざわざわと騒ぎ出した。
そして、彼らの目線はスカイ・ラクライシスに向いていた。
「こんにちは殿下。」
なぜならスカイの服装はピシッとした着物に加え、昨日と違い髪が肩まで短くなっていたからだ。
「…ほう。ラクライシス嬢はそんなに婚約破棄されたいのかな?」
貴族らはざわざわしたままスカイをあざ笑う。
「殿下、婚約破棄については殿下がご自由に決めてください。」
スカイがはっきりとアルメジアに告げた瞬間、笑っていた者は居なくなり、騒ぎ声が大きくなった。
「ふん。なら今決めさせていただこう。」
「ラクライシス嬢。今、君との婚約を破棄する。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お、お、お嬢様アアァァッ」
「何?どうしたの?」
「婚約破棄についてですよッッ!!」
「あーそれn「大変ですよッッ!」
婚約破棄をしただけで何が大変なのかスカイはよく理解していなかった。
「だ、だ、だ、旦那様からお話があるそうです….!!」
この世界での父、ヴェンテス・ラクライシスは怒ったら最後、睨みつけられた瞬間相手はそのまま永眠することになると聞いていた。
あぁ、今日が命日か...
スカイはそう悟った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
父と対談の当日。
(終わった…こんなことなら、婚約破棄を防いだ方がよかった...)
スカイの心に残るのは、後悔、恐怖であった。
「旦那様がいらっしゃいました。」
ギギギギギ…
普通のドアが開く音なのに、幻聴だろうか。恐ろしい音が部屋に響き、部屋にいる全員が死を覚悟した。
「久しいな。我が娘よ。」
「は、は、はひ…」
父は体が大きく、まるで軍人、いや化け物であった。
「殿下との婚約が破棄された今、お前は役立たずとなった。」
「」
スカイは言葉が出ない。心の中では王子の悪口を考えなんとか意識を保っている。
「そこでお前には任務を与える。」
「な、な、な、なんでしょう…?」
「お前は敵国にスパイとして潜入し、我が王国に有益な情報を届けよ」
「…出来なかったら?」
「死だ」
その瞬間、部屋の使用人数名が意識を失った。