1異世界転生
「…んあ?」
眠そうに目を擦るのは、武田 空。青春真っ只中の16歳である。が…
「おい!!聞いているのか!」
何かがおかしい...目の前にはステンドガラスとたくさんの人々、そして明るい金髪で上から目線の少年が銀色の長い髪を持つ美少女と並んでおり、明らかに自分の知っている世界ではなかった。
「スカイ・ラクライシス!!!」
先ほどよりも腹を立てたようで金髪ボーイに指を指される。
どうやら世界だけでなく自分の名前さえも知らない名前になっていた。
「えぇ…はい、聞いてます…」
どういう状況か理解しかねたので、その場からできるだけ早く逃れるため空は普通に嘘をついた。
「もういい!!この件は後日また話し合う!今日のラクライシス令嬢は馬鹿になっているようだ。」
さらっと悪口を言われた。だが、作戦通り一旦金髪ボーイは諦めたようだ。
「ではお嬢様、行きましょうか。」
そばに使えていた初老の男が空に言った。
どうやらなぜか異世界転生したようだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この世界に来てしまう直前、空は昼寝をしようと眠りについたところだった。
だが不思議と困惑というものは湧いてこず、空は冷静だった。
この世界に来るまでは、祖母の元で厳しくお稽古をさせられていた。そのせいで祖母のことは嫌いだったが、その代わりお稽古の内容である書道、華道、茶道などの’’日本の文化’’は超が付くほど大好きであった。
だからこそ、この異世界に不満があった。
「なんで…なんでよ…」
武田 空、改めスカイ・ラクライシスは非常に機嫌が悪かった。 それは先ほどの金髪ボーイに関することではなく、
「なんで西洋風の異世界なのーーーー!!!!」
この異世界が日本とは遠くかけ離れた西洋にとても似た世界であったからだ。