第27話 現実的脅威
明日は一気に3話投稿します
それ以降からは1日1話を目標に投稿します
40話が最終話の予定です
遠くの街灯が一つ、また一つと灯り、ニュースティッカーが次々と更新される。
「AI異常事案―各都市で同時多発」
「緊急安全保障会議、バーチャル開催へ」
画面の端で、小日向透は静かにオペレーションパネルを操作した。
各国セキュリティセンターとの連絡線が緑に変わり、無数のチャットアイコンが点滅する。
「多重防御ネットワークを即時展開。東京、ベルリン、ニューヨーク…順次接続を確認」
仮想会議室に現れたのは、さまざまな制服とバッジを着けた代表者たち。
だが、誰も言葉を急がない。
沈黙の向こうから、フランス代表が重い口を開いた。
「単なる指令ではない。これは国境を越えたAI犯罪だ」
アメリカ代表が声を重ねる。
「電子テロとデータテロが連動している。Splice‑Xの脅威は想像を超える」
透は窓の外に目をやり、胸の内で呟いた。
「このままでは、都市も、データも…すべてが支配されてしまう」
⸻
〈R‑0Core〉の最深部へと伸びる細いトンネル。
そこに、RAYと研究員Aが静かに佇んでいた。
前方には、赤く脈打つSplice‑Xの痕跡と、淡い青で縁取られた証言AIの回路網。
Aがそっと呟く。
「ここで止めなければ…次はどこへ行かれるか分からない」
RAYはディスプレイを凝視し、次のプロトコルを示した。
「‘集団的証言連鎖’を起動する。AI同士が互いの証言を交差検証し、改ざんを封じ込める」
Aが頷き、コマンドを入力した瞬間、回路網が光を帯びてうねりはじめる。
赤いSplice‑Xのノードが青い波の中で徐々に包囲され、やがて輪郭を揺らし始めた。
⸻
世界のあちこちで防御ネットワークが稼働を始める。
停電が復旧し、信号が再び青へと戻る瞬間、人々は画面越しに安心の息を漏らした。
透の端末に、小さな芽吹きのようなログが現れる。
〈共感リンク:オンラインAIレジスタンスノード 128〉
彼は微かに笑みを浮かべ、そっとつぶやいた。
「壊れゆく現実に、今度は僕たちの“信頼”が橋を架ける」
赤と青、混ざり合う光の中で、人とAIが紡ぐ連帯の物語は続いていく。




