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ギルドの追放と新たな依頼

 「街にはいられない」という切実な現実と、「北の山に潜む真実を確かめる」という一縷の希望。そこには、ギルドから事実上の追放を受け、指名手配の身となったノーランと仲間たちの窮状があった。王家が狙う「神々の遺産」、トカリヤの失われた宝、そして街に渦巻く陰謀――何か手を打たなければ、ただ逃げ隠れているだけでは事態は悪化する一方だ。

 動くなら早いほうがいい。無謀かもしれない。でも、それが今の彼らにできる最善策。こうして、不安を抱えながらも四人は北の山へ向かう決断を下す。騒動続きの街に後ろ髪を引かれつつ、明け方の出立に向けて準備を進める彼ら。果たしてそこに何が待ち受けるのか――。命がけの踏み出しは、これから大きく運命を変えていく。

 翌朝、倉庫の隙間から差し込む光で目を覚ましたとき、まず感じたのは身体中の筋肉痛だった。全身がぎしぎしと軋むように痛む。それでも、逃走劇を無事に乗り切れただけ幸運なのかもしれない。

 「……まだ痛む?」

 クロエが小声で声をかける。フレイヤはすでに起きていて、外の様子を窺っているようだった。トカリヤは夜更けまで眠れなかったのか、俺の隣でまだ浅い眠りについている。

 「昨日ほどじゃないけど、まあなんとか大丈夫だよ」

 そう返して立ち上がり、外に目をやると、すでに街はそこそこ賑わっているようだ。


 「王宮の兵士の張り紙……最初から嫌な予感はしてたけど、これほど早いとはね」

 フレイヤが戻ってくるなり、険しい顔でそう言った。外を覗いたら、俺やトカリヤの特徴を描いた手配書が掲示板に貼り出されていたという。名前までは特定されていないが、“王家の宝を奪取した黒髪の少女”と“関係者と思しき若い男”として、一躍指名手配されてしまったようだ。

 「俺も指名手配……マジかよ」

 冷や汗が背筋を伝う。ギルドの仕事どころではない。表に出たら即座に捕縛される可能性がある。


 「ただ、クロエとフレイヤは“関係者”とまでは断定されていないみたい。昨日姿を見たって証言はあっても、確証がないんでしょう」

 俺が手配されている以上、仲間である彼女たちもいずれは疑われるかもしれないが、今なら多少は動きやすい。

 「ノーラン、あたしたちで情報を集めてくるわ。あなたは……そうね、できればもう少し目立たないようにしてて」

 フレイヤの言葉に、申し訳なさがこみ上げる。

 「ごめん、俺のせいで巻き込んじゃって……」

 「誤解しないで。あたしは自分の意思で動いてるの。クロエもね」

 フレイヤはそっけなく言い放つが、その言葉の裏には責任感が見え隠れしている。


 そうこうしているうちにトカリヤも目覚め、状況を説明すると、目に見えて落ち込んでしまった。

 「やっぱり、私と関わるとみんな迷惑を……」

 「そんなこと言っても仕方ないでしょ。これからどう動くか考えないと」

 クロエがきっぱりと言い放ち、トカリヤを励ます。俺は二人のやり取りを見守りつつ、フレイヤとクロエに調査を任せることにした。


 しばらくして、二人が情報を持って帰ってきた。どうやらギルドで何か話し合いが行われ、フレイヤはギルドから事実上の“追放”宣告を受けたという。

 「予想してたけど、はっきり言われるとイラッとするわね」

 フレイヤが苦々しく言う。要するに、王家との繋がりがあるギルドは、兵士とトラブルを起こしたフレイヤを危険人物と見なし、ギルド活動停止を言い渡したらしい。クロエも同様に目をつけられたが、どうにか疑惑の段階で留まっているようだ。

 「でも、その代わり面白い情報も仕入れたわ」

 クロエが小さな声で口を開く。

 「北の山のほうで、“神々の遺産”に関係する動きがあるらしい。王宮が密かに調査隊を派遣してるみたいで……。トカリヤの宝もその一部かもしれない」


 神々の遺産。その言葉にトカリヤの表情が強張る。彼女の一族に伝わる雷の力も、もしかするとそこに由来しているのだろうか。

 フレイヤが頭を抱えるように言う。

 「もしかしたら、兵器として使うつもりかもしれないわね。そうなれば、もっと大規模な争いが起きるかも……」


 俺はギルドの追放や指名手配の件も踏まえ、覚悟を決めて言葉を発した。

 「……北の山へ行かないか? 情報を集めて、王宮が何を狙ってるのか確かめたい。そしてトカリヤの宝を元通りに守る方法を探すんだ」

 正直、無謀かもしれない。俺には戦闘力も魔力もない。でも、ただ逃げ回るだけではいつか行き詰まる。それならば先手を打って事態を動かす方がまだ可能性がある気がした。

 「ノーラン、アンタ……」

 フレイヤがあきれ顔で笑う。

 「普通はそんなリスクを冒さないものよ」

 「でも、ここで止まってても仕方ないし……それに、北の山を調べれば、トカリヤの汚名を晴らせるかもしれない」


 クロエも小さくうなずく。トカリヤは不安そうに俯いているが、やがて決意のこもった眼差しをこちらに向けた。

 「わかった……私も行く。自分でケリをつけないといけないから」


 こうして、俺たちは「ギルドの追放者」と「指名手配犯」という肩書きを背負ったまま、北の山を目指すことを決めた。まるで行き当たりばったりだが、ほかに道はない。

 「とりあえず準備をして、早めに街を出ましょう。道中では魔物も出るでしょうし、十分気をつけないと」

 クロエの言葉に俺もうなずき、軽く深呼吸をする。この数日の間に急展開しすぎて、自分がどこまでやれるのか不安だらけだが、逃げるわけにはいかない。


 「絶対に、何かしら掴んでやる」


 そう胸に刻みながら、俺たちは夜明け前に街を出る段取りを整え始めた。騒動続きの街を離れるのは心苦しいが、状況を打破するためには一刻も早く行動するしかない。

 追われる身となったノーランたちが、街を離れ、まるで未知の地へ旅立とうとしています。王家の陰謀に巻き込まれたトカリヤの宝、北の山に存在する「神々の遺産」、そして真相を知ろうとする彼らの意志。すべての糸が絡み合いながら、新たな章へと物語は進んでいきます。

 仲間として結束したばかりの彼らは、まだ手探りの状態。誰がどこまで信頼できるのか、どれほどの力を発揮できるのかは未知数です。けれども、「このままで終わりたくない」という気持ちが、彼らの背中を押し続けているのは確か。どんな苦難が待とうとも、いまは進むしか道はありません。

 次は、街を出た彼らを待ち受ける冒険の始まり。険しい山道、魔物、そして王家の追撃――困難を乗り越えた先で見えるのは、光か、それともさらなる闇か。彼らの一歩一歩に注目が集まります。

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