錬金キッチンと甘い失敗
氷原の疲労を癒やすには “甘味ポーション” ──そんな名目で、錬金術師エリーが深夜の台所をラボ化する
。
虹色花蜜、雷に似た痺れ、そして――エプロン一枚に透ける布。
峠を越えた草海域の町で、私は錬金用ハーブを手に入れた。雷疲労を癒やす甘味ポーションを作るため、宿の台所を借りて夜な夜な実験を開始。
「料理というより化学実験だね」
見物に来たノーランが笑う。私はエプロンの紐を結び直し、煎じ鍋へ虹色の花蜜を垂らす。
が、火加減を誤り、鍋がぼふっと膨張。花蜜が泡となり私の胸と腹に飛び散った。エプロンの下に染み込み、薄布がぴたりと肌へ貼り付く。
「うぅ、冷たい……」
ノーランは慌てて拭き布を投げ、「大丈夫?」と駆け寄る。私の胸元を拭こうとして手が止まった。「ここ……丸見え……」
見ると布地が透け、下着のレースがかろうじて守りを保つ。私は真っ赤になりつつ意地を張る。「錬金失敗も記録が大事!」
「裸エプロンは貴重な記録かも」
「メモに書いたら凍らせるわよ」
再び鍋を煮詰め、今度は浅い金皿で冷却。淡桃色のゼリー状ポーションが完成する。
匙ですくいノーランの唇へ差し出す。「味見係」
「えっ……間接キス……」
「成分検査」
彼は顔をこわばらせながら舌先でゼリーを舐め、一拍置き「甘い。あと電気が走るみたい」
「成功!」
私は嬉しさでエプロンを翻し、残るゼリーを冷蔵箱へ。だが布が跳ねた拍子に再び胸へぴとり。ノーランの視線が逃げ、私は鍋で湯を沸かし直した。
夜更け、試作品を仲間へ配るとフレイヤが「甘すぎ」とこぼし、イヴが尻尾を振りながら「悪くない」と満足げ。トカリヤは雷紋を撫で「痺れが治まる」と喜んだ。
台所の片隅、ノーランはまだ頬を赤くしながらメモ帳に「裸エプロン効果?」と書きかけ、慌てて線で消した。私は背後から覗き込み、「凍結符、使う?」と耳元で囁いた。
実験も甘味もスリル満点。錬金キッチンの夜は、花蜜より甘い失敗で更けていった。
お付き合いありがとうございました!
失敗→透け→味見という三拍子で、エリーとノーランの温度が一気に上昇。
“裸エプロン”は決して狙ったわけじゃない――と言い張りつつ、実は全員をほんのり癒やす最高の調味料になったようです。




