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普通人転生-だけど前世知識で世界を変える-  作者: NOVENG MUSiQ
焦熱に沈む罪と赦しの迷宮

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17/60

ハルトの警鐘、エリーの秘術

 小雨の夜から一転、翌日は晴天の下で森の道を進むノーランたち。しかし、王家の追撃をかわそうと、人里離れたルートを取れば取るほど危険も増していく。案の定、ハルトの警戒通り、王家の偵察隊がすぐ近くに迫る気配が漂いはじめ、気が抜けない旅が続くことに。

 新顔のエリーは、独自の結界魔法を使って仲間たちをカモフラージュしてみせるものの、その反動で服が破れてしまうという思わぬアクシデントも発生。イヴのツンとした態度や、トカリヤの雷の調整、フレイヤとクロエの頼もしさ、そして武器が乏しいノーランが感じる「何もできない」もどかしさが、絶妙に交錯する道のりだ。地図を睨むハルトもまた、一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出しており、ただの小休止で終わるはずの時間が、どこか不穏な空気さえまとっている。

 翌朝、森の木漏れ日を浴びて早めに出立した俺たちだが、正午前にハルトが唐突に立ち止まった。

 「どうしたの、ハルト?」

 フレイヤが怪訝な顔で声をかけると、ハルトは軽く指を鳴らして「妙に静かだ。たぶん王家の偵察隊が周辺を探っているかもしれない」と言う。


 森の中は確かに鳥の声が少なく、ひんやりした空気が漂っている。クロエが弓を握り、トカリヤが「雷の準備を……」と構えかける。イヴは狼耳をピンと立て、「確かに変ね。匂いも薄い気がする」と小さく呟いた。エリーは魔法陣を展開しかけるが、ハルトが「今は隠れる方が先だ」と制止した。

 「隠れるって言ったって、このあたり視界が開けてきたし……」

 俺が辺りを見回すと、背の高い木々が減り始め、半ば原っぱのような場所が広がっていた。王家の兵がいたらすぐ目立ちそうだ。


 エリーが思いついたように杖を掲げ、「私に任せて」と微笑む。どうやら古代呪文の一種で、周囲の景色と同化するように見せる迷彩結界を張るつもりらしい。

 「ただ、少し大掛かりだから魔力の反動があるの。準備中はあまり動かないで」

 エリーの表情に真剣さが宿る。フレイヤやクロエは「助かる」と頷き、トカリヤは「私も雷で援護できる?」と尋ねるが、エリーは「ううん、干渉し合うと失敗しやすいから」と静かに断る。


 結界の詠唱が始まり、エリーが呪文書に手をかざすと、薄緑色の魔力が宙を揺れる。まるで周囲の木々や草むらがぼんやりと溶けあい、俺たちの姿を覆い隠すかのようだ。クロエが「すごい……」と呟き、フレイヤも「こんな魔法があるなんて」と感心している。ハルトは腕を組んで黙って見守る。


 しかし、呪文も終盤に差し掛かった瞬間、エリーが小さく悲鳴を上げた。「くっ……やっぱり魔力の負担が……!」

 光が一瞬激しく点滅し、結界が完成したかと思いきや、エリーの服に亀裂が走ってしまう。恐らくは魔力の反動で耐久が落ちたのだろう、布が焼きつくように焦げ、薄手のシャツが破れかける。

 「あっ……」

 俺はとっさに目を背けるが、どうしても視界に入る。露わになりかけた肌が艶めいて見えて、内心ドキドキしてしまう。フレイヤやトカリヤ、クロエも視線を逸らすが、ハルトは「ふむ」と静かに目を細めている。イヴは「そんな格好で恥ずかしくないの?」と呆れ顔。


 エリーは頬を染めながら「悪いわね、ちょっと計算外だったわ。でも、結界は成功よ」と声を弾ませる。確かに周囲を見回すと、空気の屈折が歪んでいるのがわかり、俺たちの姿を隠してくれているようだ。しばらくして、遠くから馬の足音と人の声が聞こえた。

 「たぶん、王家の偵察隊……」

 ハルトが囁き、全員が息を潜める。兵士らしき者たちが少し離れた林道を通過する音がしばらく続き、やがて遠ざかった。その間、結界のおかげでこちらを発見されずに済んだらしい。

 「助かったわ、エリー。大成功ね」

 クロエが安堵の息を吐く。エリーは「どうにか持ちこたえたわ」と微笑むが、破れかけた服を押さえて困り顔だ。ノーランの俺は「着替えか何かある?」と声をかけると、エリーは「少し余分に持ってるわ。あとで着替えるから大丈夫」と答える。


 結界が解除されると、ハルトが「今のうちにここを離れよう。あいつらが再度探索してきたら厄介だからね」と言い、皆も同意。トカリヤとフレイヤが先を急ぎ、クロエとイヴが後方を確認しつつフォローする。俺はエリーの手を引く形で移動。まだ少し足元がふらついているようだ。

 「大丈夫、ノーラン。心配してくれてありがとう」

 エリーが微笑むたびに、胸元が破れた状態で色っぽく揺れていて、正直目のやり場に困る。イヴはそんな俺を見て「またエロい目で見てるんじゃないでしょうね」と冷やかす。フレイヤも「あんた、いい加減慣れなさいよ」と呆れるが、恥ずかしさはどうにもならない。


 やがて林道を離れ、少し開けた草地に出たところで、ようやく休憩をとる。エリーが別の服に着替えに行き、トカリヤが「私も少し雷を整えなきゃ」と呪文の調整を始める。ハルトは黙々と周辺を見渡しながら、「やはり王家の手はすぐそこまで来ている」とポツリと呟く。

 「ハルト、今後どう動くつもり?」

 俺が問いかけると、彼は地図を指先で軽く弾き、「連中が目指しているのは火山地帯にある“紅蓮の遺跡”かもしれない。そこに強大な力が眠っているという噂だ」と回答。

 「また遺跡か……」

 フレイヤが顔をしかめるが、避けて通れない以上、動くしかない。クロエとイヴも険しい表情を浮かべる。


 そうこうしているうちに、着替え終わったエリーが戻ってきた。ハルトがすぐに彼女に近寄り、「君の魔法と俺の道具をうまく組み合わせられないか試してみたい」と提案。二人はまた専門用語を交わし始める。フレイヤは「またあれか」と苦笑いし、トカリヤは雷の制御を自分で試している。イヴは不満げに腕組みをし、クロエは弓の手入れ。俺は何もできず見守るしかない。

 だが、いつまでも指をくわえてはいられない。王家の兵たちが近くまで迫っている以上、早めに火山地帯へ向かって奴らの出鼻を挫くしかない。あるいは、別のルートで先回りする手もあるが、情報は少ない。

 「よし、とにかく進もう。皆、準備ができたら教えてくれ」

 そう宣言すると、フレイヤが「わかった」と頷き、イヴも「別にいいわよ」とつぶやく。エリーとハルトは雑談を打ち切って荷物をまとめ、トカリヤとクロエも合流。まだ昼過ぎだが、次にある程度安全な場所へ出るまで移動を続ける必要がある。


 抜き足差し足で森を進んでいると、遠くの方に兵士らしき影がちらと見えたが、エリーの簡易結界と茂みを利用して無事にやり過ごせた。イヴは警戒モードを保ちながら「ほんとに油断できないわね」と呟く。ハルトは地図を確認しつつ、「この調子なら夜までに森を抜けられるかもしれない」と言う。

 皆の足取りに緊張感が漂うが、先ほどのエリーの服破れ騒ぎや、ツンデレのイヴの態度が頭に残っている俺は、なんだか落ち着かない気分だった。ハーレム状態が深まっているのを感じながらも、王家との戦いはこれからが正念場なのかもしれない――そんな思いを抱きつつ、俺は一歩ずつ前へ進んだ。

 エリーの魔法による大胆な服破れや、ハルトの冷静な観察力など、賑やかなメンバーがさらに絆を深める一幕でした。一方で、王家の兵たちがどんどん近づいているという現実や、火山地帯にある「紅蓮の遺跡」の噂が、物語に新たな危機を予感させます。

 結界が解けた後、軽口を叩きながら移動を急ぐパーティ。大勢の女性陣とツンデレなイヴとのやり取りに戸惑うノーランの姿も微笑ましいですが、目指す先に待ち受ける試練を思えば、気を緩めるわけにはいきません。次なるステージとなる火山遺跡で、彼らは再び、王家の陰謀と真っ向からぶつかることになるのでしょう。

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