第6話:初の討伐と格上に勝つ方法
初任務中に急に巻き起こった嵐!?
目覚めた高ランクモンスターや様々なモンスター。
そんな危機的状況で、怜は町まで戻ることができるのか!????
雨が少し収まったと思い元居た場所から町へと移動を始めた俺たち一行は、もう一度降り出した雨によって危機的状況に陥っていた。荷物を持って移動すること自体は慣れてはきたのだがそれでもみんなの中で一番遅いのは怜だ。先程の大きな音はカインによると高ランクモンスターが目覚めたらしい。俺たちのパーティのレベルじゃ高ランクモンスターには勝てるはずもない。それに足手纏いの怜を連れているのだから最悪全滅してしまうかもしれないのだ。だからはやく町に戻らなくてはいけない状況のはずなのに、この雨のせいで地面が悪く思った通りに進めなかったりする。しかももと来た道を通っているのかすらわからない。
(俺たちは本当に帰れるのか?)
口にだしたら怒られてしまいそうだ。今みんな少し気がたっている状態にあるから落ち着くまで話しかけるのはやめておこう。
町までの距離はそう遠くなかったはずだが森から抜けてすらいない。それほど進んでいないのだろうか。
それとも道を間違えてしまっているのだろうか。
そんな少し間違えたら帰れなくなりそうな状況で、怜は音を注意深く聞いた。
雨の音。風に葉がうたれる音。鳥が飛ぶ音。みんなの足音............
!?
そんな音の中で、ドンという大きなものが動く音が聞こえた。その音はなぜかすこしずつこちらに向かっているような気もする。
(また高ランクモンスターとかいうやつか)
さっきまで聞こえるか聞こえないかくらいだった音は、すこしずつ大きくなっていった。
音がする方角をみる。木が邪魔になってあまりよく見えなかった。そして怜はもう一度耳をすました。
音が聞こえる。やはり音はこちらに向かっている。自分たちが見つかっているのかもしれないと、先を急ごうと向かっていた方角を見たとき、怜は自分の失敗にやっと気が付いた。
「なっ、、」
ほかのメンバーがいるはずの場所に、だれも見当たらなかったのだ。
怜は音を聞くのに夢中になって、早く動くのをおろそかにしてしまった。それに音のする方を向いたことでほかのメンバーが先にいっていることに気が付かなかったのだ。
怜が焦りだしパニックになるには十分な状況だった。だが怜はいたって冷静だった。冷静すぎた。
すぐに今持っている荷物を雨が当たらない位置で広げ、その中からも最低限必要なものだけを取り出し、荷物をもう一度しっかりと閉じ、もう一度背負った。
「もし危ねぇ状況になったら荷物は捨てて逃げる。命大事にってゲームであっただろ、それだ。」
自分に言い聞かせ、少しずつひどくなる雨に打たれながら町の方角だと思う方向へと向かった。
移動を再開して少し経ったとき、近くで物音がした。自然では起こらないような音が。
「なにかいるのか」
すぐに警戒する。もしこれがモンスターだったら逃げる。逃げる手段を考えてた矢先、本当にモンスターがでてきた。
出てきたモンスターはゴブリンだった。そして怜はすぐに後ろに下がろうとする。しかしゴブリンが怜が逃げる前に攻撃をしようと飛び掛かってきた。重い荷物を持ちながらも怜は軽くかわし、護身用で持っていた短剣(協会支給)で体重を乗せながら突き刺す。刺さった場所がよかったのか、一度刺しただけでゴブリンを倒すことができた。
この世界のモンスターは、ゲームのようなもので、倒すと体などは消え、アイテムがドロップするみたいだ。アイテムといっても肉なども落ちる。ゴブリンの肉なんていらないので捨てるのが一般的だ。
ドロップするアイテムの中でも本当にいるもの(金になるもの)だけを取り、また歩み始める。
「結構簡単なんだな、今までビビってたのだ馬鹿みたいだ」
ここで一つ疑問が生まれる。最初目が覚めた森で出会った獣(セシリアからモンスターだと教わった)がセシリアによって首を取られたとき。身体は消えていなかった。それはなぜか、それは倒し方が関係している。
首を素早く落としたため、狼の脳は少しの間働いていたからだ。
(この世界の死亡の定義は、脳が活動を停止したら、ってことか)
これはあくまで怜の憶測にすぎない。
進むにつれて、ゴブリンとの戦闘が増えていった。高ランクモンスターの音は聞こえなかった。
「結構進んだのに森からでれねぇ、やっぱ方向が違ったのか?」
ゴブリンには勝てる。他のモンスターとはまだ戦っていないからわからないが、学校で教わった人体構造が同じような人型モンスターは、急所がわかっているので簡単に倒せる。
だが狼などのモンスターはどうだ?人型のように簡単に勝てるものか?
「戦ってみないとわかんねぇよなぁ」
ちょうど四足歩行のモンスターが出てきた。
「ゲームとかなら動きを止めることで無力化できたよな」
しかし足なんか狙ってたら時間がかかりすぎてしまう。最初から頭を狙う。
「刺さった」
またも一撃。今回も急所に刺さったのか。それともたまたまなのか。
どんな攻撃をしても一撃で死ぬ。運がいいだけなのか。
「結構進んだんだがな、こりゃ遭難しちまってるな」
ドーンッ!
またも聞こえ始めた。高ランクモンスターだ。今回は今までの音とはちがう。近い!
「まずいぞこれは......」
今 怜の目の前にいるのがさっきからの音の正体。Cランクモンスター、オークだ。
さっきまで戦っていたゴブリンはFランクのモンスターだ。つまりはどれくらい強いのかわからないってことだ。だが怜は冷静だ。すぐに危険を察し、即撤退。荷物を捨てるのすら躊躇しなかった。
「さすがに追いかけてくるかぁ、これ、逃げ切れるか?」
荷物がなくなった分動きやすくはなった。多少は、だ。少し早くなったくらいで圧倒的にでかいオークに移動速度で勝てるわけがなかった。
「これこそ本当に足を狙ったらいいだろ」
足を斬る。しかしただの短剣にはオークの足を切断するほど刃は長くない。
「なぁオークさんよ。もし一回で切れない木があった場合。人間はどうやって切ると思う」
答えは単純だ。
「切れるまで斬る」
さっきまでは刺していた。だから斬る。足が切断できるまで斬る。
動きは鈍い。回避自体はできる、そこから足を斬る。これをずっと繰り返す。
同じことをするだけで有利な状況になっていた。しかし、そんなことで倒せるモンスターなら、Cランクになんかなるはずない。それを見逃していた。オークには動きが遅いという欠点があるのだが、それをカバーできるほどの圧倒的な力があるのだ。さっきまでは避けていたのだが、オークも脳がある。当たらないなら範囲攻撃をすればいい。地面を攻撃し、足場をわるくする。石を投げる。好き放題暴れ始めてしまった。
今の怜にそれを止められるほどの力はない。足場が悪くなって攻撃をよけることが難しくなった。
少し距離を取ったら石や岩を投げられる。近距離も遠距離も強い。今の怜には勝てないかもしれない。
「コイツ、暴君じゃねぇかッ」
飛んでくる岩をギリギリでかわす。次は避けられないかもしれない。そんな限界的な状況。その中で、怜は考えた。
(コイツの足をいちいち落とそうとしてたら先に自分がやられてしまう。)
そこで怜が出した決断は、一瞬でケリをつけることだった。
今回は結構頑張ったと思います。いつもよりは長くしたから全然投稿しなかったの許して。。。