第8話:この世界の力
「俺は魔法を使えるのか?」
そんな不安を抱きながらも魔法の使い方を調べる。
手っ取り早く調べる方法はやはり魔法を使う人に聞くことだろう。
冒険者協会に行けば多少魔法使いがいるだろうか。
まずは冒険者協会に向かうとしよう。
「たしか協会はあっちか」
街並みを眺めながら進んでいたが気が付くと協会の前に来ていた。
(魔法使いらしき人はっと、)
周りを見渡した結果それらしい人は何人か見つけた。
その中でも一番話しかけやすそうな魔法使いに話しかけに向かう。
「あの。初めまして、俺最近冒険者になったばっかで魔法について教えてい欲しくて。」
怜が話しかけた魔法使いは怜よりは年上だがまだまだ若そうで陽気そうな男性だった。
その男性は少し考えた後、少し笑いながら答えた。
「新人かぁ、魔法について教えるのはいいんだけど魔法は難しいよ?」
彼の言っていることは正論だ。まだ自分の仕事すらこなすことができるか怪しい新人なのだから。
「確かに新人の身ではありますが、俺は魔法剣士というものを目指しているのです」
これは嘘ではない。魔法を使いながら剣を巧みに扱う魔法剣士に前世から惹かれていたのだ。
「確かにそれならば魔法を教えても構わないのだが、、本当に大丈夫か?」
なんども確認を取られたが怜の意志が変わることはなかった。
「大丈夫です。お願いします。」
「まぁ教えるといっても教師ではないから我流で教えるからな。わかりにくくても文句はいわんでくれよ」
魔法の使い方を教えてくれるのなら多少は問題ない。
「なら今から教えてやるからついてきな」
俺は彼に連れられて町を出るのであった。
「魔法ってのは体内にある魔力に属性を付与し、事象を引き起こすものだ」
めちゃくちゃわかりやすい説明だ。
「例えばこの『プチファイヤ』これは生活系魔法に分類される火属性魔法だ。魔法ってのは魔法陣を展開することで魔力に属性を与えるのを短縮しているんだ」
「つまりは補助装置みたいなものってことか?」
俺は気になったことを聞いたみた。
「いーや、そういうわけではない。魔法を使うのにこの魔法陣を使わずに魔法を使用しようとするととてつもなく魔力を消費してしまったりして魔法の発動が極めて難しくなるんだ」
彼(名前を知らない)の魔法についての説明はとてもわかりやすかった。
「座学はこれまで。次は実際に練習してみようか」
先程までの座学は頭さえついていければよかったが実際の練習ともなるとそうはいかない。
魔法を使用する上で圧倒的に必要な生まれ持った才能。それが俺にあるのか。それが今わかるんだ。
「まずは魔力を感じるところからだ。空気中に流れる魔力もそうだが最初は体の中に流れる魔力にしよう。よし、目をつむって、体の中に流れるものを感じるんだ。」
言われたとおりに目をつむり、体中に流れる何かを意識してみたが、何も感じることができなかった。
「なにも、感じません。」
「そうかそうか。確かに初めてだと難しいからな。なら改めて、今から微量ではあるが君の体に魔力をながす。それを感じてくれ。」
そういわれて手を握る。握って少し経ったとき。手から身体の隅々へと伝わる不思議な感触を感じた。
ジェットコースターに乗っているような変な感覚に陥りながらも魔力とやらを精一杯感じてみた。
結果はうまくいったらしい。魔力を感じることができるようになった。
「これが、魔力か」
「魔力を感じれるようになったか?次はその魔力を掌一か所に集めてみろ」
魔力を一点に動かす。感覚をつかむまでに多少時間は時間はかかったが少しずつ魔力を動かすことができた。
(もう少しだ、もう少し。)
魔力を一点に集めることができた後は、魔法陣を介し属性を付与、それを形にして発射する。
大体1時間ほどで怜は習得することができた。
今は簡単な魔法しか使えないが、一日目にしては上出来。
「ありがとうございました。これで魔法の使い方はわかりました。」
流石に礼くらいは言っておこうとは思っていた。
「今日は暇だったんだ。それに、新人を育てるのはベテランの仕事だからよ」
(本当にいい人だ)
彼の名前は聞くこともなく、二人は別れて行った。町に戻った時にはもう日が沈みかけていた。
「今からできる依頼なんてないよな。ならもう宿に戻るしかないよなぁ」
今日のところはこれで終わり。
宿に戻った後、少し気になっていたことをやってみた。それは、魔力を体中に巡らせることでなにか身体に影響がでるのではないか、ということだ。
「さっきやった一点に集まらせることの応用だな」
体内の魔力を時計回りに巡らせる。最初は遅くてもいい。すこしずつスピードを上げればいい。
魔力のスピードが上がっていくと、体に変化が起きた。
「体が軽い、、!」
外に出て軽く体を動かしてみた。
「いつもより動きがはやいぞ!魔力を巡回させることで身体能力が向上するのか!」
これは簡単で使いやすい。魔力をほとんど消費しないこれは、戦闘中ずっと発動し続けることだってできる。とても強力な技術だ。
「今はこれを使い続けて体に慣らすしかないか」
そのあと少し練習したことでわかったことがあった。この技術は魔力の巡回速度を上げることで身体能力の向上する度合いが増すということだ。だが速度を上昇させるには集中しなければいけない。しかし魔力に集中していると戦闘に影響を及ぼす。使い方はしっかり選ばなければいけない。
「今日はこの辺にして寝るか!」